私の婚約者はお姉さまが好きなようです~私は国王陛下に愛でられました~

安奈

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39話 レディアとマルクス その3

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 レディア様は言い方は悪いかもしれないけれど、あまり好きになれるタイプの人ではないわね……。ヨハン様の妹だったとしても、私だって側室の身。隣国の公爵夫人であれば立場として負けてはいないはずなんだけれど。

 明らかに私を下に見ている態度はどうしても、ユリカお姉さまと被ってしまっていた……。マリアンヌ様が言っていた通りと言えるわね。


「兄上! 兄上はいらっしゃるのか!?」

「あ……」


 そんな時に、兵士の制止を振り切って私たちの部屋へと入って来たのはマルクス大公様……。元王家の第二王子という肩書きだった方ね。まあ、この方であれば、ピエトロ宮殿に入っても自然なんだろうけど。


「あら、マルクスじゃない。意外と早かったわね」

「むむ、姉上ではないか! ウーバーカムからの参上にしては随分と早い到着だな?」

「まあ、側室の顔を早く見たかったし、早馬を走らせたのよ」


 二人の姉弟の会話を見ながら、私は居心地がとても悪くなっていた……なんというか、味方が居ない状態だから。ヨハン様やマリアンヌ様、ラウド大臣の到着を切に願っていたけれど……先にマルクス様が到着したようね。


「お主が兄上の側室のマリア・テオドア嬢だな?」

「は、はい、マルクス大公……マリア・テオドアと申します」


 私は立ち上がり、マルクス大公に深々と頭を下げた。その様子を見て、マルクス様は舌打ちをしている。


「そのような偽善的な態度などしてもらわなくても良い。まったく、兄上も兄上だ……なぜ、テオドア家のような身分の低い出の者を側室に選んだのか……」

「お兄様も面食いというか……側室だし、その辺は適当なんでしょう。マリアンヌの方はちゃんとした家系なんだし、問題ないわよ」

「兄上……やはり、国王には私がなるべきだったのだ! そんな下らないことにうつつを抜かしているから……!」


 テオドア家はそこまで低い身分でもないんだけれど……確かに、大公様からしたら低いけれど。言い返そうと思ったけれど、焼石に水のような気がしたので黙っておくことにする。


 それにしても……ここまでを見るだけで、二人が偏屈だというのは理解することが出来た。どちらも柔軟性に欠け、偏った考え、正義を持っていそうね……。


 そうこうしている間に、やっとヨハン様とマリアンヌ様が部屋へと入って来た。私の味方の登場である。その後ろからはラウド大臣の姿もあった。


「兄上!」

「お兄様! 久しぶりね」


「レディア、マルクス……もう来ていたのか」


 ヨハン様はあまり歓迎している様子はないようだった。口調と表情がそれを物語っている……。


 
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