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38話 レディアとマルクス その2
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それから数日の期間が経過した。私は再び、ピエトロ宮殿の応接室で待機している。といっても、私は側室の立場だから、宮殿内への出入りはフリーパスなんだけれど。
本日は数日前に話題に上がっていたレディア様とマルクス大公様がお越しになるのだけれど……その時のインパクトは予想以上に凄かった。まずはレディア様だけれど……普段は、他国に住まいを築いているわけで……。
-------------------------------------------
「こ、困ります、レディア様……! あなた様はもう、王女という肩書きを持ってはおられないのですよ?」
「はあ? 何を言ってるわけ? 相変わらずピエトロ宮殿の出入りがどうとか、下らない風習があるわけね……お兄様も国王陛下になったんだから、さっさとそんな風習、取り除けばいいのに……」
金髪の髪を短く纏めた女性が応接室に入って来た。うん……もう、その言葉を聞くだけで、インパクトの強い人だとわかってしまう……私は縮み上がっている……。えっと、制止していた兵士達の意見はもっともで……レディア様は隣国の公爵夫人っていう肩書き……いくら、ヨハン様の妹とはいえ、こんなに堂々と入ってくるのは、少し違うような気がしてしまう。
「あんたが、ヨハンお兄様の側室?」
「は、はい……マリア・テオドアと申します。よろしくお願いいたします……」
豪快に私の対面のソファに座ったレディア様は、私の瞳を真っすぐに見据えていた。私を品定めしているのかしら……というより、現在は私以外誰もいないの……。いえ、正確には護衛の人々は居るけれど。本当ならもう少し後にレディア様は入ってくるはずだった。だから、護衛の人が戸惑っていたけれど、想定より早く私たちは出会ってしまったことになるわね……。
「お兄様との側室関係……本当に上手くやれるの?」
「は、はい、レディア様……精一杯、側室としての責務を全うしたいと考えております」
「ふ~ん……でも、マリアンヌが子供を産めば用済みになるでしょう? 側室が下手に子供を産むと争いの火種になるし……」
レディア様は王妃様であるマリアンヌ様を呼び捨てにしている……ウーバーカム王国の重鎮だから、その辺りをわきまえる必要がないという考えなのかしら? 私はこの時、レディア様にユリカお姉さまの影を見てしまっていた……。
本日は数日前に話題に上がっていたレディア様とマルクス大公様がお越しになるのだけれど……その時のインパクトは予想以上に凄かった。まずはレディア様だけれど……普段は、他国に住まいを築いているわけで……。
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「こ、困ります、レディア様……! あなた様はもう、王女という肩書きを持ってはおられないのですよ?」
「はあ? 何を言ってるわけ? 相変わらずピエトロ宮殿の出入りがどうとか、下らない風習があるわけね……お兄様も国王陛下になったんだから、さっさとそんな風習、取り除けばいいのに……」
金髪の髪を短く纏めた女性が応接室に入って来た。うん……もう、その言葉を聞くだけで、インパクトの強い人だとわかってしまう……私は縮み上がっている……。えっと、制止していた兵士達の意見はもっともで……レディア様は隣国の公爵夫人っていう肩書き……いくら、ヨハン様の妹とはいえ、こんなに堂々と入ってくるのは、少し違うような気がしてしまう。
「あんたが、ヨハンお兄様の側室?」
「は、はい……マリア・テオドアと申します。よろしくお願いいたします……」
豪快に私の対面のソファに座ったレディア様は、私の瞳を真っすぐに見据えていた。私を品定めしているのかしら……というより、現在は私以外誰もいないの……。いえ、正確には護衛の人々は居るけれど。本当ならもう少し後にレディア様は入ってくるはずだった。だから、護衛の人が戸惑っていたけれど、想定より早く私たちは出会ってしまったことになるわね……。
「お兄様との側室関係……本当に上手くやれるの?」
「は、はい、レディア様……精一杯、側室としての責務を全うしたいと考えております」
「ふ~ん……でも、マリアンヌが子供を産めば用済みになるでしょう? 側室が下手に子供を産むと争いの火種になるし……」
レディア様は王妃様であるマリアンヌ様を呼び捨てにしている……ウーバーカム王国の重鎮だから、その辺りをわきまえる必要がないという考えなのかしら? 私はこの時、レディア様にユリカお姉さまの影を見てしまっていた……。
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