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32話 側室の心得 その1
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マリアンヌ様とラウド大臣の関係性に触れることも出来、私はどこか満足な表情を浮かべていた。そして、今日はピエトロ宮殿に泊まることができる。これについても、感謝すべき事柄。
そんなことを考えていると、ヨハン様が私に視線を合わせ話し始めた。
「もう、マリアは側室として認定されている。今度からは、ピエトロ宮殿への出入りは自由にしておこう」
「本当によろしいのですか、ヨハン様……?」
私は信じられないという思いでヨハン様に尋ねていた。だって、ピエトロ宮殿への出入りは多くの貴族にとって、夢のような出来事なんだから……。今では懐かしい感じがするけれど、ユリカお姉さまとカンザスがその例にはピッタリよね。
「あたりまえだ、それでこそ側室というものだろう?」
「はい……ありがとうございます」
私はヨハン様に深く頭を下げてお礼を言った。なるほど……私、これからはヨハン様の側室になるんだもの、ピエトロ宮殿への出入りだけで舞い上がっているわけにはいかないのよね。
そう……私にも側室の心得というものを、自覚しないといけないんだから……。
だから……まずは、マリアンヌ様にその辺りのことを聞いてみたいと考えていた。
-----------------------------------------
その日は、マリアンヌ様の私室に泊めてもらうことにした。側室として、私の個人部屋も用意していただけるらしいけれど、まだ準備段階みたい。お風呂へ入り、寝間着に着替えたマリアンヌ様は相変わらず美しかった。
私は早速、側室の心得について聞いてみる。
「側室の心得ですって……? どういうことかしら?」
「は、はい……私もヨハン国王陛下に直接仕える身となるわけですし……。ヨハン様のお世継ぎをこの身に宿す責務がありますので」
側室の最大の責任はヨハン国王陛下のお世継ぎを生むこと。つまりは王子殿下を生むことになるんだけれど。通常の順番で考えれば、マリアンヌ様が第一王子を生んで、私が第二王子を生むって流れになると思うけど。
それから、第一王子と第二王子が王位継承を巡って争って……いえ、それはないか。普通なら、マリアンヌ様のご子息が次期国王陛下になるだろうから。
私はそんな風に考えながら、早めに側室の心得……色々、覚悟していた方が良い部分を伺いたかった。しかし……。
「側室の心得と厳しく言うことは、特にございませんわ。もちろんこれは、相手がマリアだから、というのが大きいですけれど。あなたなら、粗相をする心配もなさそうだし」
「えっ……いえ、あれ……?」
少し拍子抜けしてしまう、マリアンヌ様からの回答。私の緊張感はいつの間にか脱力に変わっていた。ベッドの上にストンと落ちてしまう。それを見計らったのか、マリアンヌ様はゆっくりとした口調で話し始めた。
……どうやら、私の緊張が解れるのを待っていてくださったみたいね。
そんなことを考えていると、ヨハン様が私に視線を合わせ話し始めた。
「もう、マリアは側室として認定されている。今度からは、ピエトロ宮殿への出入りは自由にしておこう」
「本当によろしいのですか、ヨハン様……?」
私は信じられないという思いでヨハン様に尋ねていた。だって、ピエトロ宮殿への出入りは多くの貴族にとって、夢のような出来事なんだから……。今では懐かしい感じがするけれど、ユリカお姉さまとカンザスがその例にはピッタリよね。
「あたりまえだ、それでこそ側室というものだろう?」
「はい……ありがとうございます」
私はヨハン様に深く頭を下げてお礼を言った。なるほど……私、これからはヨハン様の側室になるんだもの、ピエトロ宮殿への出入りだけで舞い上がっているわけにはいかないのよね。
そう……私にも側室の心得というものを、自覚しないといけないんだから……。
だから……まずは、マリアンヌ様にその辺りのことを聞いてみたいと考えていた。
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その日は、マリアンヌ様の私室に泊めてもらうことにした。側室として、私の個人部屋も用意していただけるらしいけれど、まだ準備段階みたい。お風呂へ入り、寝間着に着替えたマリアンヌ様は相変わらず美しかった。
私は早速、側室の心得について聞いてみる。
「側室の心得ですって……? どういうことかしら?」
「は、はい……私もヨハン国王陛下に直接仕える身となるわけですし……。ヨハン様のお世継ぎをこの身に宿す責務がありますので」
側室の最大の責任はヨハン国王陛下のお世継ぎを生むこと。つまりは王子殿下を生むことになるんだけれど。通常の順番で考えれば、マリアンヌ様が第一王子を生んで、私が第二王子を生むって流れになると思うけど。
それから、第一王子と第二王子が王位継承を巡って争って……いえ、それはないか。普通なら、マリアンヌ様のご子息が次期国王陛下になるだろうから。
私はそんな風に考えながら、早めに側室の心得……色々、覚悟していた方が良い部分を伺いたかった。しかし……。
「側室の心得と厳しく言うことは、特にございませんわ。もちろんこれは、相手がマリアだから、というのが大きいですけれど。あなたなら、粗相をする心配もなさそうだし」
「えっ……いえ、あれ……?」
少し拍子抜けしてしまう、マリアンヌ様からの回答。私の緊張感はいつの間にか脱力に変わっていた。ベッドの上にストンと落ちてしまう。それを見計らったのか、マリアンヌ様はゆっくりとした口調で話し始めた。
……どうやら、私の緊張が解れるのを待っていてくださったみたいね。
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