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14話 側室のお話 その2
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「あの……お姉さま……!」
このタイミングでのユリカお姉さまのアピールに、気でも狂ったのかと思ってしまった。相手は国王陛下……しかも、婚約者のカンザスが目の前に居るのに……。
「ユリカ、お前……! 私という者がありながら……!」
「何を言っているのよ? これはテオドア家の発展の問題なのよ? 恋愛の結婚とはまた別の話。私にはテオドア家を未来に向けて躍進させる義務があるの」
ユリカお姉さまはカンザスを説得するかのように話している。カンザスのことが好きなことは事実でしょうけれど、流石にこれはないわね。もしも、ヨハン国王陛下の側室になるのだとしたら、カンザスとは別れないといけないし。確か、この国の法律ではそうなっているはず。
「お前……! そんなことで私が納得するとでも思っているのか? 色仕掛けをしてきたのは、お前だろう!? あれがなければ、私は今頃、マリアと付き合ったままだったのだ!」
「なっ! 国王陛下の前でなんてことを言い出すのよ!」
「今更だろうが……!」
痴話げんかではあるんだろうけど……なんというか、とても醜い……。お姉さまの外見は美人だけれど、心が顔に現れているようだわ。
「お前たち二人! 黙れ!」
「ひっ……!?」
そんな時、ユリカお姉さまとカンザスの喧嘩は、怒号により強制的に止められてしまった。怒号を放ったのはラウド大臣だった。びっくりした……ラウド大臣もあんなに怒ることがあるのね。流石に醜すぎると感じたのかしら?
「陛下の御前であるぞ? お前たち二人は運が悪いようだな」
すっかり黙ってしまった二人は、思い出したかのようにヨハン国王陛下の方向を見た。ヨハン様も表情自体は穏やかだったけど、纏っている雰囲気は明らかに違っていた。
「私がユリカ嬢を側室に迎え入れることはあり得ない」
ヨハン様は静かに淡々とした口調で言った。最早、ユリカお姉さまに対する最後通告みたいに……。
「テオドア家の発展の為、か。妹の婚約者を奪う女性にそんなことを言われても、説得力は皆無だな」
「国王陛下……」
ヨハン様はそれ以上、何も言うことはなかった。おそらく、ヨハン様も知っているはず……お姉さまがなぜ、22歳になるまで相手が居なかったのか。実際には何度か婚約の話はあったの。
でも、10代のお姉さまはスリルも求めたのか、他の男性との接点を持ったり、夜の街にすら繰り出したこともあり……。むしろ、テオドア家の汚点になってるのよね。
なぜか、お母様やお父様はこのことに関しては目を瞑っているけれど。これも「娘たちの成長の糧」と思っているのかしら?
「マリア嬢に対する婚約破棄についても、しっかりと反省をしてもらわないとな。そうは思わないか? マリア嬢?」
「わ、私ですか……?」
「ああ」
少しヨハン様がウインクしているような……ああ、そうか。私が側室になれば、国王陛下もテオドア家と関係がないとはならない。つまり、婚約破棄の件にもより介入できると……。
ん? そういうことでいいのよね? 私はとりあえず、ヨハン様に合わせることにした。
「そうですね、ヨハン様。私がヨハン様の側室になるのなら……ヨハン様の名誉にも繋がってしまいます」
その場で考えた言葉だけれど、ヨハン様は満足そうに笑みをこぼしていた。どうやら、当たっていたみたい。私の側室の話はすぐに決定しないとしても、ヨハン様は、婚約破棄の件をどうしかしたいと考えてくれているのかしら?
なんだか、とても申し訳ないけれど……ラウド大臣も力強く頷いていた。「貴様は運が良い!」と言っているんだと思う。
このタイミングでのユリカお姉さまのアピールに、気でも狂ったのかと思ってしまった。相手は国王陛下……しかも、婚約者のカンザスが目の前に居るのに……。
「ユリカ、お前……! 私という者がありながら……!」
「何を言っているのよ? これはテオドア家の発展の問題なのよ? 恋愛の結婚とはまた別の話。私にはテオドア家を未来に向けて躍進させる義務があるの」
ユリカお姉さまはカンザスを説得するかのように話している。カンザスのことが好きなことは事実でしょうけれど、流石にこれはないわね。もしも、ヨハン国王陛下の側室になるのだとしたら、カンザスとは別れないといけないし。確か、この国の法律ではそうなっているはず。
「お前……! そんなことで私が納得するとでも思っているのか? 色仕掛けをしてきたのは、お前だろう!? あれがなければ、私は今頃、マリアと付き合ったままだったのだ!」
「なっ! 国王陛下の前でなんてことを言い出すのよ!」
「今更だろうが……!」
痴話げんかではあるんだろうけど……なんというか、とても醜い……。お姉さまの外見は美人だけれど、心が顔に現れているようだわ。
「お前たち二人! 黙れ!」
「ひっ……!?」
そんな時、ユリカお姉さまとカンザスの喧嘩は、怒号により強制的に止められてしまった。怒号を放ったのはラウド大臣だった。びっくりした……ラウド大臣もあんなに怒ることがあるのね。流石に醜すぎると感じたのかしら?
「陛下の御前であるぞ? お前たち二人は運が悪いようだな」
すっかり黙ってしまった二人は、思い出したかのようにヨハン国王陛下の方向を見た。ヨハン様も表情自体は穏やかだったけど、纏っている雰囲気は明らかに違っていた。
「私がユリカ嬢を側室に迎え入れることはあり得ない」
ヨハン様は静かに淡々とした口調で言った。最早、ユリカお姉さまに対する最後通告みたいに……。
「テオドア家の発展の為、か。妹の婚約者を奪う女性にそんなことを言われても、説得力は皆無だな」
「国王陛下……」
ヨハン様はそれ以上、何も言うことはなかった。おそらく、ヨハン様も知っているはず……お姉さまがなぜ、22歳になるまで相手が居なかったのか。実際には何度か婚約の話はあったの。
でも、10代のお姉さまはスリルも求めたのか、他の男性との接点を持ったり、夜の街にすら繰り出したこともあり……。むしろ、テオドア家の汚点になってるのよね。
なぜか、お母様やお父様はこのことに関しては目を瞑っているけれど。これも「娘たちの成長の糧」と思っているのかしら?
「マリア嬢に対する婚約破棄についても、しっかりと反省をしてもらわないとな。そうは思わないか? マリア嬢?」
「わ、私ですか……?」
「ああ」
少しヨハン様がウインクしているような……ああ、そうか。私が側室になれば、国王陛下もテオドア家と関係がないとはならない。つまり、婚約破棄の件にもより介入できると……。
ん? そういうことでいいのよね? 私はとりあえず、ヨハン様に合わせることにした。
「そうですね、ヨハン様。私がヨハン様の側室になるのなら……ヨハン様の名誉にも繋がってしまいます」
その場で考えた言葉だけれど、ヨハン様は満足そうに笑みをこぼしていた。どうやら、当たっていたみたい。私の側室の話はすぐに決定しないとしても、ヨハン様は、婚約破棄の件をどうしかしたいと考えてくれているのかしら?
なんだか、とても申し訳ないけれど……ラウド大臣も力強く頷いていた。「貴様は運が良い!」と言っているんだと思う。
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