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3話 裏切りと救済 その3
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「……ご覧になっていらしたのですか……?」
私はヨハン国王陛下が、婚約破棄の場を見ていたと知り、恥ずかしさのあまり口調が強くなっていた。よりにもよって、あんな場面を国王陛下に見られるなんて……! テオドア家の恥以外のなにものでもないような……。
「うむ、悪いとは思っていたのだがな……。ただごとではない雰囲気を感じ取り、歩を止めてしまっていた」
「さ、左様でございますか……」
人の気配はなかったように感じていたけれど、しっかりと見られていたのね。どうしよう……ユリカ姉さまに婚約者のカンザスを取られたところまで聞かれていたとしたら……私は国王陛下の次の言葉を待っていた。
「話しの全てを聞いていたわけではないが……どうやら、婚約者であるカンザス・オリヴェイラに一方的に婚約破棄を言い渡されたようだな。間違っているだろうか?」
ああ……ほぼ、全て把握されていらっしゃるのね……。私は顔が熱くなっていくのを感じていたけれど、国王陛下に嘘を言うわけにもいかないので、正直に話すことにした。
----------------------------------
「……と、いうことがございまして……」
「なるほど……其方の姉君とカンザス・オリヴェイラの二人がな……。ふむ……」
ユリカ姉さまと、婚約者のカンザスの裏切り行為……私はヨハン様に全てを伝えた。それを聞かれたヨハン様は神妙な顔つきになっている。
「マリア・テオドア嬢、心中をお察しするよ。大変な目に遭ったな」
「いえ……」
ヨハン様は私に気を遣ってくれたのか、この場ではそれ以上、詳細を確認することはなかった。でも、ヨハン様の表情がとても真剣だったことは、非常に印象的だった。
「しかしだ、マリア・テオドアよ。お前は非常に運が良いと言えよう。なにせ、ヨハン国王陛下がお傍で聞かれていらっしゃったのだからな」
「ラウド……少し黙っていてくれないか?」
「はっ、も、申し訳ありません……」
ラウド大臣はヨハン様に言われて引き下がった。なんだか、ラウド大臣って面白い方かも……ムードメーカー的ななにかを持っていそうな……。でも、そんなことをはっきり言うと、不敬罪になりそうだから自重しておく。
「運が良い……とは、どういったことを意味するのでしょうか……?」
「ああ。別に大したことではないが……よければ今度、宮殿に遊びにくると良い。いい気分転換になるだろう」
宮殿? それって、国王陛下のいらっしゃるピエトロ宮殿よね……?
「ピエトロ宮殿へ? よ、よろしいのですか……?」
「ああ、招待しよう」
貴族といえども、特別なことがなければ入ることはできない、首都にあるピエトロ宮殿。ひょんなことから、私はそこに気分転換をしに行くことになったのだった……。婚約破棄の一件があるとはいえ、一介の伯爵令嬢を招待してくれるというのは、とても珍しいことだと思う。知り合いが聞いたら羨ましがられそうね。
私はヨハン国王陛下が、婚約破棄の場を見ていたと知り、恥ずかしさのあまり口調が強くなっていた。よりにもよって、あんな場面を国王陛下に見られるなんて……! テオドア家の恥以外のなにものでもないような……。
「うむ、悪いとは思っていたのだがな……。ただごとではない雰囲気を感じ取り、歩を止めてしまっていた」
「さ、左様でございますか……」
人の気配はなかったように感じていたけれど、しっかりと見られていたのね。どうしよう……ユリカ姉さまに婚約者のカンザスを取られたところまで聞かれていたとしたら……私は国王陛下の次の言葉を待っていた。
「話しの全てを聞いていたわけではないが……どうやら、婚約者であるカンザス・オリヴェイラに一方的に婚約破棄を言い渡されたようだな。間違っているだろうか?」
ああ……ほぼ、全て把握されていらっしゃるのね……。私は顔が熱くなっていくのを感じていたけれど、国王陛下に嘘を言うわけにもいかないので、正直に話すことにした。
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「……と、いうことがございまして……」
「なるほど……其方の姉君とカンザス・オリヴェイラの二人がな……。ふむ……」
ユリカ姉さまと、婚約者のカンザスの裏切り行為……私はヨハン様に全てを伝えた。それを聞かれたヨハン様は神妙な顔つきになっている。
「マリア・テオドア嬢、心中をお察しするよ。大変な目に遭ったな」
「いえ……」
ヨハン様は私に気を遣ってくれたのか、この場ではそれ以上、詳細を確認することはなかった。でも、ヨハン様の表情がとても真剣だったことは、非常に印象的だった。
「しかしだ、マリア・テオドアよ。お前は非常に運が良いと言えよう。なにせ、ヨハン国王陛下がお傍で聞かれていらっしゃったのだからな」
「ラウド……少し黙っていてくれないか?」
「はっ、も、申し訳ありません……」
ラウド大臣はヨハン様に言われて引き下がった。なんだか、ラウド大臣って面白い方かも……ムードメーカー的ななにかを持っていそうな……。でも、そんなことをはっきり言うと、不敬罪になりそうだから自重しておく。
「運が良い……とは、どういったことを意味するのでしょうか……?」
「ああ。別に大したことではないが……よければ今度、宮殿に遊びにくると良い。いい気分転換になるだろう」
宮殿? それって、国王陛下のいらっしゃるピエトロ宮殿よね……?
「ピエトロ宮殿へ? よ、よろしいのですか……?」
「ああ、招待しよう」
貴族といえども、特別なことがなければ入ることはできない、首都にあるピエトロ宮殿。ひょんなことから、私はそこに気分転換をしに行くことになったのだった……。婚約破棄の一件があるとはいえ、一介の伯爵令嬢を招待してくれるというのは、とても珍しいことだと思う。知り合いが聞いたら羨ましがられそうね。
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