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11話 開催 その2

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「それで、ライジング公爵は──」

「えっ? そうなんですか? 面白いですね~~~!」


 ライジング公爵の別荘地での食事会は滞りなく進んで行った。公爵と話すメイサとシルの二人はとても楽しそうだし、私としても友人が楽しんでくれるのは嬉しい。

「やっぱり、ファリーナって美人ですよね? ライジング公爵様もそう思われませんか?」

「うむ、確かにそうだな」


「ですよね~~」


 と、なんだか時折、メイサとシルの二人は公爵に私を印象付ける会話も挟んでいる。私がペラペラしゃべるのは苦手なのを考慮して言ってくれているのかな? 

 もしかして、私と公爵様の関係を応援してくれている? 友人たちからはそんな友情オーラみたいなものが感じ取れた……。


「……マクレガー卿。食事の内容は好みに合わなかったかな?」

「……いえ、大変おいしく頂いておりますが」


 最初とは逆に、今は本当に蚊帳の外になっているザイル様……同じ食卓を囲んでいるはずなのに、会話にはまったく参加する様子を見せていなかった。いえ、参加するタイミングがなかったと言えるかしら?

「ライジング公爵……わざとやっていらっしゃるのですか?」

「ん? どういう意味かな? マクレガー卿」


 ライジング公爵はザイル様の言葉の意味がわからないとばかりに、首を傾げている。多分、本当はわかっているんだけど、敢えて知らない振りを演じているかのように。ザイル様にもそれは伝わったのか、しかめた表情になっている。

「ライジング公爵……」

「大丈夫だ、オルスト嬢。いや……ファリーナよ、心配するな」


 ライジング公爵はこの場で初めて私のファーストネームを呼んでくれた。嬉しさを享受したいところだったけど、状況が許してくれない。


「……私の元婚約者に随分と慣れ慣れしいですね、ライジング公爵。それは、公爵という王国内でも相当な立場の者として許されないのでは?」


 ……まるで、私のことを所有物とでも見ているかのようなザイル様の発言。というか、まだ私の婚約者のつもりなわけ? 「元」と言ってはいたけど、発言内容が完全に浮気した相手に対してのものだったし……。


「これは驚いたぞ、マクレガー卿。まさか貴殿からそのような言葉が出て来るとは……酷い仕打ちでファリーナに別れを伝えた男の言葉とは思えんな」

「……ファリーナは私のものだ……。誰にも渡さん」

「……えっ? えっ?」


 楽しいお食事会から一変した雰囲気と言えば言いのかしら? いつの間にか、ライジング公爵とザイル様との争奪戦の様相を呈していた……。戸惑っているだけの私は、メイサとシルから軽く小突かれながら、見守ることしかできなかった。
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