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4話 揺らぐ想い その1
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ライジング公爵様に見送られ、馬車が屋敷に到着した頃……私の心臓は激しく高鳴っていた。この時は、原因については深く考えないようにしていたんだけど……。
それから3日くらいが経過した現在、胸の高鳴りはさらに大きくなっていた。もしかして病気? とか考えながら、私は過ごしている。
ザイン様に婚約破棄されたのもお父様に伝え、悲しいことではあったけれど……今の私の心には……。
「どないしたんや? ファリーナ? お父さん、悲しいでいつまでも塞ぎ込んでんのは」
「お父様……ええと……」
私が上の空ということを察知したのか、お父様が私に声を掛けて来た。この特徴的な話し方をする人物こそが、私のお父様……バロンド・オルスト伯爵になる。とても頼りになる人ではあるんだけれど……なんというか……親しい人にはとても軽い話し方をする。
「マクレガー家の御曹司の件は災難やったな。賠償金の請求などは必ずする。あんまり気を落とさんことやで」
ザイン様に対しての制裁は既に固まっているみたい。まあ、それはいいとして……お父様が勘違いをしていることが私には面白かった。
「違うんです、お父様。別に悲しんでいるわけじゃなくて……いえ、ザイン様の件は悲しくはあるんですが」
「ん? どういうことや?」
お父様も意味がわからないのか、首をかしげて質問していた。黙っている必要もないので、私は順を追って話していく───。
---------------------------------------
「ホンマかいな!? あの、ハンニバル・ライジング公爵が助けてくれたんかいな!?」
「は、はい……まあ、そういうことになります……」
「ほえ~~~、運の良いこっちゃな! しかも、前髪を上げた方が良い言われたんやろ?」
「は、はい……」
お父様に話したのはいいんだけれど……食いつきが半端ではなかった。普段は細い目をキラキラさせている。ライジング公爵がそれ程にすごい方だというのは同意だけれど。
「でも、決まったな、ファリーナちゃん」
「えっ? どういうことでしょうか?」
お父様はキラキラした目のまま答えた。
「決まってるやんか、公爵様の言う通り、髪を上げて美人度をアピールするんや! 上手くいけば公爵様のハートをゲット出来るで!」
「お、お父様……!?」
婚約破棄をされたばかりの娘に、なんてことを……と思ったけれど、バロンド・オルストという人物はそういう方だったわね……全くもう……。
でも、髪を上げて整え、お洒落にすることは考えていたこと……別に公爵様に言われたからではないけど……私は顔を赤くしながら、手鏡で自分の顔を確認していた。
それから3日くらいが経過した現在、胸の高鳴りはさらに大きくなっていた。もしかして病気? とか考えながら、私は過ごしている。
ザイン様に婚約破棄されたのもお父様に伝え、悲しいことではあったけれど……今の私の心には……。
「どないしたんや? ファリーナ? お父さん、悲しいでいつまでも塞ぎ込んでんのは」
「お父様……ええと……」
私が上の空ということを察知したのか、お父様が私に声を掛けて来た。この特徴的な話し方をする人物こそが、私のお父様……バロンド・オルスト伯爵になる。とても頼りになる人ではあるんだけれど……なんというか……親しい人にはとても軽い話し方をする。
「マクレガー家の御曹司の件は災難やったな。賠償金の請求などは必ずする。あんまり気を落とさんことやで」
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「違うんです、お父様。別に悲しんでいるわけじゃなくて……いえ、ザイン様の件は悲しくはあるんですが」
「ん? どういうことや?」
お父様も意味がわからないのか、首をかしげて質問していた。黙っている必要もないので、私は順を追って話していく───。
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「ホンマかいな!? あの、ハンニバル・ライジング公爵が助けてくれたんかいな!?」
「は、はい……まあ、そういうことになります……」
「ほえ~~~、運の良いこっちゃな! しかも、前髪を上げた方が良い言われたんやろ?」
「は、はい……」
お父様に話したのはいいんだけれど……食いつきが半端ではなかった。普段は細い目をキラキラさせている。ライジング公爵がそれ程にすごい方だというのは同意だけれど。
「でも、決まったな、ファリーナちゃん」
「えっ? どういうことでしょうか?」
お父様はキラキラした目のまま答えた。
「決まってるやんか、公爵様の言う通り、髪を上げて美人度をアピールするんや! 上手くいけば公爵様のハートをゲット出来るで!」
「お、お父様……!?」
婚約破棄をされたばかりの娘に、なんてことを……と思ったけれど、バロンド・オルストという人物はそういう方だったわね……全くもう……。
でも、髪を上げて整え、お洒落にすることは考えていたこと……別に公爵様に言われたからではないけど……私は顔を赤くしながら、手鏡で自分の顔を確認していた。
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