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5話
しおりを挟む 最近ヤマトタマムシを見ていない。
初めてタマムシに会った場所は、小学生の頃くらいに連れて行ってもらった、緑豊かな遊園地だ。そこで誰かからタマムシをもらった。
喜んで連れて帰ったが、持っていた図鑑を見ても、タマムシに関しては幼虫の餌しか書いていない。成虫が何を食べるのか分からない。
結局そのまま何日か虫かごに入れて観察していたが、弱ってしまったので、泣きながら逃がした。
弱る前に逃がしてあげれば良かった……。可哀想なことをしてしまった。
しかし、本当は他の地域で取った生き物を別の地域に放すのは良くない。
そこにその生き物が生息しているかどうか分からないし、本来の生息地ではない場所で、逃がされた生き物が繁殖してしまうこともある。
また、その生き物の生息地であったとしても、生き物には地域差というものもあるそうで、むやみに移動させて放すのは良くない。
さて、二度目にヤマトタマムシと出会ったのは近所でのことだった。
なんと、珍しいと思っていたタマムシが近くにいたのだ。
ブンブンと元気に足元を飛んでいた。
その姿を確認しつつ、歩き去った。
そんなタマムシ……近年見ていない。
近年というか、そもそも数えるくらいしか会ったことがないのだけれど。
数日前、ぼんやりとタマムシのことを思い出していた。
また会いたいなぁと。
すると数日後……樹液を奪い合って喧嘩するカナブンを眺めつつ思ったよりアグレッシブだなーと思っていたところ、木の上空にカナブンとは違う飛び姿の昆虫がいるのが目に入った。
カナブンやハナムグリは鞘翅を閉じたまま中翅を広げて飛ぶそうで、飛ぶときは背中の鞘翅が緑や銅色に輝いている。
一方、その時上空にいた昆虫は細長く、鞘翅が開いているようだ。……よく分からないけれど。巨大コメツキムシみたいなのが飛んでいたのだ。
その鞘翅は緑に輝いている。これはもしや……!
なんと、その虫は飛びながらこちらへ近づいてきた。
その姿……間違いない、ヤマトタマムシだ!
おお、会いたかったぞタマムシよ……
私の願いを聞いてくれたのかな!?
しかしタマムシが近くに止まることはなかった。
タマムシは飛んでいって家の壁に止まり……
急いでカメラを用意し、もう一度壁を見たのだがもう姿はなかった。
会いに来てくれたわけじゃないんかいっ。
その後も飛び姿はちらりと見えたが、結局タマムシは近くに止まってくれなかった。カナブンもタマムシも木に用事があるらしく、木のないエリアへは止まろうとしない。
あんなに小さいのに、闇雲に飛んでいるわけではなく、ちゃんと目的を持って着地しているんだなぁ……。
人間の目では何年かに一度しか見かけないような虫でも、虫たち自身は私たちより短い虫生の中で相手を見つけ、繁殖している。だから絶滅せず、ずっと存在している。
エサも水もちゃんと見つける。これってすごいことだと思う。
というわけでタマムシは間近までは来てくれず、運命を否定するのかよと少ししょんぼりしたが、これはソーシャルディスタンスな中でも交流に喜びを感じろという天からのお告げに違いない。これ以上のお近づきは無理に求めず、姿を見せてくれたタマムシに感謝しようと思う。
とはいえ、ヤマトタマムシが目的を持ってこのあたりを飛んでいるらしいということは分かったので、しばらく木の周辺を注意深く観察し、気長に待ってみることにする。
今までこのあたりで見かけなかったシデムシ幼虫を庭で見た途端、数日以内に何匹か目撃したということもあったし、今ある種の虫がいるということは、その虫にとって環境が整っているということかもしれない。
初めてタマムシに会った場所は、小学生の頃くらいに連れて行ってもらった、緑豊かな遊園地だ。そこで誰かからタマムシをもらった。
喜んで連れて帰ったが、持っていた図鑑を見ても、タマムシに関しては幼虫の餌しか書いていない。成虫が何を食べるのか分からない。
結局そのまま何日か虫かごに入れて観察していたが、弱ってしまったので、泣きながら逃がした。
弱る前に逃がしてあげれば良かった……。可哀想なことをしてしまった。
しかし、本当は他の地域で取った生き物を別の地域に放すのは良くない。
そこにその生き物が生息しているかどうか分からないし、本来の生息地ではない場所で、逃がされた生き物が繁殖してしまうこともある。
また、その生き物の生息地であったとしても、生き物には地域差というものもあるそうで、むやみに移動させて放すのは良くない。
さて、二度目にヤマトタマムシと出会ったのは近所でのことだった。
なんと、珍しいと思っていたタマムシが近くにいたのだ。
ブンブンと元気に足元を飛んでいた。
その姿を確認しつつ、歩き去った。
そんなタマムシ……近年見ていない。
近年というか、そもそも数えるくらいしか会ったことがないのだけれど。
数日前、ぼんやりとタマムシのことを思い出していた。
また会いたいなぁと。
すると数日後……樹液を奪い合って喧嘩するカナブンを眺めつつ思ったよりアグレッシブだなーと思っていたところ、木の上空にカナブンとは違う飛び姿の昆虫がいるのが目に入った。
カナブンやハナムグリは鞘翅を閉じたまま中翅を広げて飛ぶそうで、飛ぶときは背中の鞘翅が緑や銅色に輝いている。
一方、その時上空にいた昆虫は細長く、鞘翅が開いているようだ。……よく分からないけれど。巨大コメツキムシみたいなのが飛んでいたのだ。
その鞘翅は緑に輝いている。これはもしや……!
なんと、その虫は飛びながらこちらへ近づいてきた。
その姿……間違いない、ヤマトタマムシだ!
おお、会いたかったぞタマムシよ……
私の願いを聞いてくれたのかな!?
しかしタマムシが近くに止まることはなかった。
タマムシは飛んでいって家の壁に止まり……
急いでカメラを用意し、もう一度壁を見たのだがもう姿はなかった。
会いに来てくれたわけじゃないんかいっ。
その後も飛び姿はちらりと見えたが、結局タマムシは近くに止まってくれなかった。カナブンもタマムシも木に用事があるらしく、木のないエリアへは止まろうとしない。
あんなに小さいのに、闇雲に飛んでいるわけではなく、ちゃんと目的を持って着地しているんだなぁ……。
人間の目では何年かに一度しか見かけないような虫でも、虫たち自身は私たちより短い虫生の中で相手を見つけ、繁殖している。だから絶滅せず、ずっと存在している。
エサも水もちゃんと見つける。これってすごいことだと思う。
というわけでタマムシは間近までは来てくれず、運命を否定するのかよと少ししょんぼりしたが、これはソーシャルディスタンスな中でも交流に喜びを感じろという天からのお告げに違いない。これ以上のお近づきは無理に求めず、姿を見せてくれたタマムシに感謝しようと思う。
とはいえ、ヤマトタマムシが目的を持ってこのあたりを飛んでいるらしいということは分かったので、しばらく木の周辺を注意深く観察し、気長に待ってみることにする。
今までこのあたりで見かけなかったシデムシ幼虫を庭で見た途端、数日以内に何匹か目撃したということもあったし、今ある種の虫がいるということは、その虫にとって環境が整っているということかもしれない。
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