33 / 48
7章
真夜中の刺客
しおりを挟む
浅い眠りを漂っていたリリアルーラは、スウッと眠りから浮上した。うっすらと目を開け、帳越しにも眩いランタンにもう一度目を閉じる。隣にはまだ、愛するサジャミールの姿はない。彼が来るのはともすれば夜明け近くとわかっているのに、訪れが心待ち過ぎて何度も目を覚ましてしまう自分に微笑み――かすかに空気が動く気配に気づいた。
もしかして、扉が開く音で目覚めてしまったのだろうか? 今が何時かはわからないが、思っていたよりサジャミールの訪れは早かったらしい。いや、何度も目覚めたからこそどれだけ寝られたのかもわからないから、もう随分遅いのかも……そんなことをくるくると考えながら、リリアルーラは寝たふりを決め込む。彼がベッドに入ってきたら驚かせるつもりなのだ。
だが、人の気配を感じはするのに、ベッドへと入り込んでは来ない。サジャミールは何をしているのだろう?
そっと目を開けたリリアルーラの心臓が跳ねた。
天蓋から下りた薄い帳の向こうに誰かがいる。だが、それはサジャミールではない。ランタンの灯りに照らされてなお闇のように黒い衣に包まれた姿は、愛する金獅子よりも細く見える。
(誰?)
こんな時間に訪れてくるなど、サジャミール以外には考えられない。リリアルーラはできる限り目を細め、起きていることを悟られぬよう呼吸を続ける。ドクリドクリと鳴る鼓動が帳の向こうに聞こえてしまいそうだが、こればかりは彼女にもどうしようもない。
サジャミールに及ばない体格とは言え、男性であることは間違いないだろう。部屋の前には護衛がついているはずだが、彼らの目をかいくぐって入り込んできたのだろうか? ああ、だとしたらこの男の目的は――。
静かに帳が上げられる。リリアルーラは咄嗟に起き上がり男から距離を取った。男は身体のみならず顔も黒い布で覆っていて、ギラリと光る黒い瞳だけが個を示している。彼女が目覚めていたことに気づき一瞬虚をつかれたようだが、起きているなら遠慮は無用とでも決めたのか、男はベッドへと乗り上げた。しかし勢いが良かったのはそこまで、手を伸ばせばすぐに捉えられる距離だというのに、あえて焦らすかのようにゆっくりと近づいてくる。
「どなた、ですか」
矜持をかき集め果敢に尋ねれば、ふっと鼻で笑う気配がした。
『なに言ってっかわかんねえけど、俺が誰とか訊いてんのか? かっわいい顔して、随分と勇敢なお姫様だ。そりゃあ族長も焦るよなあ』
体格に比して野太い声に、リリアルーラはいっそうすくみ上がる。しかし、男が話したのは何語だろう? シャファーフォン語ともまた違う響きを帯びている気がする。
「何の、ご用ですか」
『だーから、何言ってるかわかんねえって。せめてシャファの言葉で話せよ』
シャファ、と言う言葉は聞き取れた。だがそれ以外は何も。やはりシャファーフォン語ではない。
恐怖に犯されながらもリリアルーラは必死で後退る。髪に何かが触れ、それがベッドの下端に垂らされた帳と気づいた。このまま下がれば床に落ちてしまう――が、それしか逃げる術はない。
『大丈夫、殺しゃあしねえよ。しかし、王女様の初物をいただくなんざあ、こっちが金を払っても良いくらいの仕事だぜ』
下卑た口調にリリアルーラの頭が瞬いた。強烈な既視感が訪れる。黒衣と、下卑た声。聞き取れない言葉。だが、それ以上は思い出せない。そうして今は、そんなことを気にしている場合ではない。
決死の覚悟で逃げようとしたリリアルーラの身体が、ガクンッとベッドに沈んだ。男が細い足首を掴み上げている。
『おおっと、逃がさないぜ。お遊びもここまで、ってな。時間がねえ。ちいっと痛いかもしれないが、悪く思うなよ、王女様』
男が何を話しているのかわからないが、リリアルーラは必死で身を捩ってはジタバタとあがいた。業を煮やしたらしい男が万力のような力でリリアルーラの足首を握り、骨にまで鋭い痛みが走っても、彼女は決して諦めない。
だが、ドスッと鈍い音が響いた途端、リリアルーラは全身を凍りつかせ男を見つめた。何かしらの刃物が寝間着ごと縫い付けるようにベッドに突き立てられている。
『時間がねえって言ったろ』
苛立ちに粘つく声が落ちた。ランタンの灯りに照らされてなお闇に溶けるような黒ずくめの男は、全身で唯一色が異なる白目を不吉に光らせもう片方の足を掴んだ。
絶望に囚われたリリアルーラの視界が涙でけぶる。今すぐ叫ばなければと思うのに喉が張りついて動かない。助けて、と心の中だけで叫ぶ。ただ、サジャミールを求める。
だが、どうあれど男に屈するつもりはない。いざとなれば舌を噛んでしまおうと思いながら、大きく目を開けこぼれ落ちそうな涙を抑えた。
『お、い。聞いてねえぞ』
男はひどく慌てた声で言った。男はリリアルーラの左足首に嵌められた足輪をつまんでいる。サジャミールに送られた足輪。
『かっわいい顔して王女様、あばずれかよ。まあいいさ、せいぜい楽しませてくれよ』
リリアルーラの左足を掴んだまま、男は片手でベッドに突き刺さった刃物を引き抜いた。刃渡りが長く軽く反り返ったそれがダガーだと知れる。しかし、知れたところで切っ先を喉元に突きつけられては、抗う術はない。
カラカラに乾いていたリリアルーラの口腔に唾液がどっと湧いた。涙がひとすじこぼれ落ちる。ああ、決して泣きたくはなかったのに。
(サジャミール様……)
愛しさのすべてを込め、心の内で呼びかける。犯されるにせよ殺されるにせよ、もうリリアルーラに逃げ場はない。どちらにせよ、愛する彼には二度と会えないのだから。
純潔を奪われるなら、潔く死を選ぶつもりだ。
どこからか、ピイイイと耳を震わせるような高音が響いた。次の瞬間ドカッっと大きな音を立てて扉が開く。
「リリアルーラ! 無事か!」
その怒声を耳にした途端、リリアルーラの瞳から涙が噴き出した。凍りついていた身体に熱が戻り、刃を突きつけられていることも気にせず身を翻す。どさっと床に落ちた身体に痛みが走るが、駈け寄ってくる足音に目を上げサジャミールを認めれば、安堵以外のすべてが消える。
「リリー!」
かき抱いてくる腕の力強さに、再び涙が噴き出した。もう何も怖くないと思うのに、今さら歯の根がカチカチと鳴り始める。
「怪我は?」
短く問われて首を振れば、サジャミールはくしゃりと顔を歪ませた。それが安堵とリリアルーラが気づいた瞬間、彼は震え上がりそうに冷たい表情に変わる。
『どこの部族の者だ』
答えはない。サジャミールの視線の先で、ダガーを構えた男がじりじりと扉へ向かっている。
『今すぐ私にひれ伏し許しを請え。首謀者さえ明らかにすればお前の家族は助けてやろう。それ以外――死を選ぼうと、必ず突き止め部族全員に罪をあがなわせる。ああ、ここから逃げられるなどと思うなよ』
「――っ」
男が大きく息を呑み、扉へと目を向けた。途端、忙しない足音が響いてくる。
カラン、と乾いた音。床に落ちたダガーの脇で、男が床に額をつけ黒衣の身体を投げ出すようにひれ伏した。それを目にしたリリアルーラの脳裏がチカッと閃く。いつかこんな光景を見た気がする。降って湧いた困惑に包まれた瞬間、部屋にどっと兵士たちがなだれ込んできた。サジャミールがリリアルーラの頭をぎゅっと抱え、自らの胸元に押しつける。男が捕縛される姿など、見せたくはないのだろう。
「リリアルーラ、怖かったでしょう。もう大丈夫ですよ」
サジャミールに優しく話し掛けられているのに、まるで落ち着かない。なだれ込んできた兵士たちの姿にも、強烈な既視感があったのだ。ドッドッドッと騒がしい鼓動に干上がりそうで、リリアルーラはゴクリと唾液を呑み込む。
『一時間以内にすべて吐かせよ。手段は問わぬが、殺すな。ああ、お前、早く話した分だけお前にくれる焼きごてを減らしてやろう』
『ぞ、族長だ! ゾマ族長!』
男の絶叫に、サジャミールの身体が強張り、リリアルーラを抱える腕の力が緩んだ。何ごとかと恐る恐るそちらを見やると、なおも叫ぶ男を兵士が殴りつけている。吹き出した鼻血が兵士の白い長衣に散った。
リリアルーラの脳裏に再び閃光が走る。逃げるようにサジャミールを見上げると、男を見据える彼の瞳は冷徹な光を宿していた。その、色。ああ、ああ、ああ!
砂漠の夜。おぞましい布を被った男たちの視線。突然現れた兵士たちと、絶叫。赤が散る白。どんな青よりも深い紺碧の瞳。記憶の奔流が、リリアルーラを襲った。
「イヤーーーー!」
絹を裂くような悲鳴が響き渡る。リリアルーラはそのまま意識を手放した。
もしかして、扉が開く音で目覚めてしまったのだろうか? 今が何時かはわからないが、思っていたよりサジャミールの訪れは早かったらしい。いや、何度も目覚めたからこそどれだけ寝られたのかもわからないから、もう随分遅いのかも……そんなことをくるくると考えながら、リリアルーラは寝たふりを決め込む。彼がベッドに入ってきたら驚かせるつもりなのだ。
だが、人の気配を感じはするのに、ベッドへと入り込んでは来ない。サジャミールは何をしているのだろう?
そっと目を開けたリリアルーラの心臓が跳ねた。
天蓋から下りた薄い帳の向こうに誰かがいる。だが、それはサジャミールではない。ランタンの灯りに照らされてなお闇のように黒い衣に包まれた姿は、愛する金獅子よりも細く見える。
(誰?)
こんな時間に訪れてくるなど、サジャミール以外には考えられない。リリアルーラはできる限り目を細め、起きていることを悟られぬよう呼吸を続ける。ドクリドクリと鳴る鼓動が帳の向こうに聞こえてしまいそうだが、こればかりは彼女にもどうしようもない。
サジャミールに及ばない体格とは言え、男性であることは間違いないだろう。部屋の前には護衛がついているはずだが、彼らの目をかいくぐって入り込んできたのだろうか? ああ、だとしたらこの男の目的は――。
静かに帳が上げられる。リリアルーラは咄嗟に起き上がり男から距離を取った。男は身体のみならず顔も黒い布で覆っていて、ギラリと光る黒い瞳だけが個を示している。彼女が目覚めていたことに気づき一瞬虚をつかれたようだが、起きているなら遠慮は無用とでも決めたのか、男はベッドへと乗り上げた。しかし勢いが良かったのはそこまで、手を伸ばせばすぐに捉えられる距離だというのに、あえて焦らすかのようにゆっくりと近づいてくる。
「どなた、ですか」
矜持をかき集め果敢に尋ねれば、ふっと鼻で笑う気配がした。
『なに言ってっかわかんねえけど、俺が誰とか訊いてんのか? かっわいい顔して、随分と勇敢なお姫様だ。そりゃあ族長も焦るよなあ』
体格に比して野太い声に、リリアルーラはいっそうすくみ上がる。しかし、男が話したのは何語だろう? シャファーフォン語ともまた違う響きを帯びている気がする。
「何の、ご用ですか」
『だーから、何言ってるかわかんねえって。せめてシャファの言葉で話せよ』
シャファ、と言う言葉は聞き取れた。だがそれ以外は何も。やはりシャファーフォン語ではない。
恐怖に犯されながらもリリアルーラは必死で後退る。髪に何かが触れ、それがベッドの下端に垂らされた帳と気づいた。このまま下がれば床に落ちてしまう――が、それしか逃げる術はない。
『大丈夫、殺しゃあしねえよ。しかし、王女様の初物をいただくなんざあ、こっちが金を払っても良いくらいの仕事だぜ』
下卑た口調にリリアルーラの頭が瞬いた。強烈な既視感が訪れる。黒衣と、下卑た声。聞き取れない言葉。だが、それ以上は思い出せない。そうして今は、そんなことを気にしている場合ではない。
決死の覚悟で逃げようとしたリリアルーラの身体が、ガクンッとベッドに沈んだ。男が細い足首を掴み上げている。
『おおっと、逃がさないぜ。お遊びもここまで、ってな。時間がねえ。ちいっと痛いかもしれないが、悪く思うなよ、王女様』
男が何を話しているのかわからないが、リリアルーラは必死で身を捩ってはジタバタとあがいた。業を煮やしたらしい男が万力のような力でリリアルーラの足首を握り、骨にまで鋭い痛みが走っても、彼女は決して諦めない。
だが、ドスッと鈍い音が響いた途端、リリアルーラは全身を凍りつかせ男を見つめた。何かしらの刃物が寝間着ごと縫い付けるようにベッドに突き立てられている。
『時間がねえって言ったろ』
苛立ちに粘つく声が落ちた。ランタンの灯りに照らされてなお闇に溶けるような黒ずくめの男は、全身で唯一色が異なる白目を不吉に光らせもう片方の足を掴んだ。
絶望に囚われたリリアルーラの視界が涙でけぶる。今すぐ叫ばなければと思うのに喉が張りついて動かない。助けて、と心の中だけで叫ぶ。ただ、サジャミールを求める。
だが、どうあれど男に屈するつもりはない。いざとなれば舌を噛んでしまおうと思いながら、大きく目を開けこぼれ落ちそうな涙を抑えた。
『お、い。聞いてねえぞ』
男はひどく慌てた声で言った。男はリリアルーラの左足首に嵌められた足輪をつまんでいる。サジャミールに送られた足輪。
『かっわいい顔して王女様、あばずれかよ。まあいいさ、せいぜい楽しませてくれよ』
リリアルーラの左足を掴んだまま、男は片手でベッドに突き刺さった刃物を引き抜いた。刃渡りが長く軽く反り返ったそれがダガーだと知れる。しかし、知れたところで切っ先を喉元に突きつけられては、抗う術はない。
カラカラに乾いていたリリアルーラの口腔に唾液がどっと湧いた。涙がひとすじこぼれ落ちる。ああ、決して泣きたくはなかったのに。
(サジャミール様……)
愛しさのすべてを込め、心の内で呼びかける。犯されるにせよ殺されるにせよ、もうリリアルーラに逃げ場はない。どちらにせよ、愛する彼には二度と会えないのだから。
純潔を奪われるなら、潔く死を選ぶつもりだ。
どこからか、ピイイイと耳を震わせるような高音が響いた。次の瞬間ドカッっと大きな音を立てて扉が開く。
「リリアルーラ! 無事か!」
その怒声を耳にした途端、リリアルーラの瞳から涙が噴き出した。凍りついていた身体に熱が戻り、刃を突きつけられていることも気にせず身を翻す。どさっと床に落ちた身体に痛みが走るが、駈け寄ってくる足音に目を上げサジャミールを認めれば、安堵以外のすべてが消える。
「リリー!」
かき抱いてくる腕の力強さに、再び涙が噴き出した。もう何も怖くないと思うのに、今さら歯の根がカチカチと鳴り始める。
「怪我は?」
短く問われて首を振れば、サジャミールはくしゃりと顔を歪ませた。それが安堵とリリアルーラが気づいた瞬間、彼は震え上がりそうに冷たい表情に変わる。
『どこの部族の者だ』
答えはない。サジャミールの視線の先で、ダガーを構えた男がじりじりと扉へ向かっている。
『今すぐ私にひれ伏し許しを請え。首謀者さえ明らかにすればお前の家族は助けてやろう。それ以外――死を選ぼうと、必ず突き止め部族全員に罪をあがなわせる。ああ、ここから逃げられるなどと思うなよ』
「――っ」
男が大きく息を呑み、扉へと目を向けた。途端、忙しない足音が響いてくる。
カラン、と乾いた音。床に落ちたダガーの脇で、男が床に額をつけ黒衣の身体を投げ出すようにひれ伏した。それを目にしたリリアルーラの脳裏がチカッと閃く。いつかこんな光景を見た気がする。降って湧いた困惑に包まれた瞬間、部屋にどっと兵士たちがなだれ込んできた。サジャミールがリリアルーラの頭をぎゅっと抱え、自らの胸元に押しつける。男が捕縛される姿など、見せたくはないのだろう。
「リリアルーラ、怖かったでしょう。もう大丈夫ですよ」
サジャミールに優しく話し掛けられているのに、まるで落ち着かない。なだれ込んできた兵士たちの姿にも、強烈な既視感があったのだ。ドッドッドッと騒がしい鼓動に干上がりそうで、リリアルーラはゴクリと唾液を呑み込む。
『一時間以内にすべて吐かせよ。手段は問わぬが、殺すな。ああ、お前、早く話した分だけお前にくれる焼きごてを減らしてやろう』
『ぞ、族長だ! ゾマ族長!』
男の絶叫に、サジャミールの身体が強張り、リリアルーラを抱える腕の力が緩んだ。何ごとかと恐る恐るそちらを見やると、なおも叫ぶ男を兵士が殴りつけている。吹き出した鼻血が兵士の白い長衣に散った。
リリアルーラの脳裏に再び閃光が走る。逃げるようにサジャミールを見上げると、男を見据える彼の瞳は冷徹な光を宿していた。その、色。ああ、ああ、ああ!
砂漠の夜。おぞましい布を被った男たちの視線。突然現れた兵士たちと、絶叫。赤が散る白。どんな青よりも深い紺碧の瞳。記憶の奔流が、リリアルーラを襲った。
「イヤーーーー!」
絹を裂くような悲鳴が響き渡る。リリアルーラはそのまま意識を手放した。
0
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」
「え、じゃあ結婚します!」
メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。
というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。
そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。
彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。
しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。
そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。
そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。
男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。
二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。
◆hotランキング 10位ありがとうございます……!
――
◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ
大嫌いなアイツが媚薬を盛られたらしいので、不本意ながらカラダを張って救けてあげます
スケキヨ
恋愛
媚薬を盛られたミアを救けてくれたのは学生時代からのライバルで公爵家の次男坊・リアムだった。ほっとしたのも束の間、なんと今度はリアムのほうが異国の王女に媚薬を盛られて絶体絶命!?
「弟を救けてやってくれないか?」――リアムの兄の策略で、発情したリアムと同じ部屋に閉じ込められてしまったミア。気が付くと、頬を上気させ目元を潤ませたリアムの顔がすぐそばにあって……!!
『媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした』という作品の続編になります。前作は読んでいなくてもそんなに支障ありませんので、気楽にご覧ください。
・R18描写のある話には※を付けています。
・別サイトにも掲載しています。
未亡人メイド、ショタ公爵令息の筆下ろしに選ばれる。ただの性処理係かと思ったら、彼から結婚しようと告白されました。【完結】
高橋冬夏
恋愛
騎士だった夫を魔物討伐の傷が元で失ったエレン。そんな悲しみの中にある彼女に夫との思い出の詰まった家を火事で無くすという更なる悲劇が襲う。
全てを失ったエレンは娼婦になる覚悟で娼館を訪れようとしたときに夫の雇い主と出会い、だたのメイドとしてではなく、幼い子息の筆下ろしを頼まれてしまう。
断ることも出来たが覚悟を決め、子息の性処理を兼ねたメイドとして働き始めるのだった。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる