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四章
夜更けの葛藤
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「え……?」
「無論式典自体は行っておりましたし、夜会――というより祝いの酒宴もありました。ですが、砂漠の民の酒宴は、床に料理を並べ、皆でそれを囲んで酒を酌み交わすような無作法なものです。他国の方を招くのにはふさわしくありません」
まるでピクニックね、とリリアルーラは口には出さずに思う。だがそれはそれで楽しそうだ。何がいけないのだろう?
「ふさわしくない、というのは、なぜでしょう。建国の祝いなのですから、その国に則った作法で構わないと思うのですが」
「皆が皆、リリアルーラ姫のように寛大なら良いのですが、万が一にでも砂漠の民に対して良からぬ印象を与えたくはないのです。たとえば、野蛮であるとか。国内の情勢もまだ不安定ではありますが、だからこそ我が国は他国から多くを学ばなければなりません。その協力を仰ぐためにも、不穏な要素は除きたい。……今回の夜会には、ルーユアン殿下に多大な協力を戴いております。何しろ、初めてのことですから」
「協力……そうなんですね……」
初耳だった。ルーユアンが忙しくしているのは、それが大きいのだろうか。そう考えてみると、到着自体が早すぎる理由も知れた。古い付き合いがあるから、長い滞在を促されたのかと単純に考えていた。
「リリアルーラ姫に夜会での同伴をお願いしたのも、その一環ですね」
「……お役に立てるかどうかは、疑問です。バイフーラの夜会には出席してきましたが、あくまで国内のものですから」
「そう気負わなくて構いません。ですが、夜会に出たこともあるのに、男性に慣れていないというのも不思議ですね。国内向けとは言え、社交の場でしょう?」
突然自分に矛先が向いて、リリアルーラは思わず杯の酒をゴクリと飲み込んだ。はしたなく見えなかっただろうかと慌てながらサジャミールを窺うと、彼はいかにも幸福そうな表情でリリアルーラの答えを待っている。少しも酔っていないのに、それを目にした身体が熱くなってしまう。
「私は国外へ嫁ぐ身ですから、夜会で男性と接することはほとんどありませんでした。勿論、挨拶などはいたしましたが、ダンスを踊るのも父や兄とだけでした」
「ダンスまで? 何故です?」
「……お兄様が、気を持たせるような機会は少ない方がいいから、と」
くすりとサジャミールは笑い、手にした杯をぐっと呷った。
「なるほど、リリアルーラ姫の美しさには誰しも目が眩んで当然ですからね」
「そんな……」
「いいえ、リリアルーラ姫。本当のことです。目の前にいる私がいい例でしょう? あなたを前にして、この上なく浮かれております」
とくりとリリアルーラの心臓が高鳴った。本気にしてはいけないとわかっているのに、抑えようもない喜びが胸を突き上げる。だがここで何かしら否定の言葉を返せば、サジャミールが言い募るのは目に見えていた。
リリアルーラは黙って金杯に手を伸ばした。かわし方がわからないのなら、黙っている方がいいだろう。やたらと頬が熱いが、酒を口にしたところでその熱は上がらない。リリアルーラが呑まれているのは酒ではなくサジャミールだ。
「私がまた、戯れを口にしていると思っていらっしゃるんですね。私はそんなにも不実な男に見えますか?」
「……お許しを。どのように返せばいいかもわからない私が不調法なのです」
リリアルーラは意識して微笑みを形作り、サジャミールを見上げた。青い瞳がそれに応える。また、とくりと胸が鳴った。あまり彼を見るのは得策ではないとしみじみ思う。だが、無作法を繰り返してばかりではルーユアンに、ひいてはバイフーラの国民に申し訳が立たない。
「初めて微笑んでくださいましたね」
「……そうでしたか? それは、申し分け……」
「謝らないで」
サジャミールは急に強い口調で言い放ち、酒瓶を手に取った。自らの杯に注ぎ、リリアルーラの杯にも継ぎ足す。
「困らせているのは私です。リリアルーラ姫があまりにもおうつくしく可愛らしいので、どうも節度を忘れてしまう。男性に慣れていないと聞いているのに、抑えが効かないのです。謝るべきは私の方です」
「それは……。ありがとうございます、サジャミール様」
リリアルーラは今度こそ自然に微笑んだ。サジャミールが手にした杯を軽く上げたから、彼女も同じように応える。耳障りのいい言葉は、戯れであっても嬉しかった。
そうして、リリアルーラはあることに気づいた。彼女はサジャミールに惹かれていて、今この瞬間もその想いは増しているが、それはきっと、女性として当然のことだと。
初めてサジャミールを海辺で見たとき、こんな美しい男性に会ったことがないと思った。おまけに彼は国王で、未婚で、簡単に言えば魅力の塊だ。リリアルーラでなくとも運命を感じるに違いない。
リリアルーラの胸が突然軽くなった。彼女の運命の相手が、別にいるような気がしてきたのだ。サジャミールは特別すぎる。だから、勘違いしてしまった。きっとこの世のどこかに、リリアルーラのまだ見ぬ運命が待っている――。
サジャミールの魅力に感じ入りつつ安心しきったリリアルーラは、朗らかな気持ちで酒を口に運んだ。にこにことサジャミールに笑いかける。彼女は、砂漠の金獅子が強引で計算高い男だとすっかり忘れていた。
「ですが、それはそれとして気になることはあります。リリアルーラ姫、少し練習をしましょうか」
「練習、ですか?」
「はい、あなたの美しさを誰もが褒め称えるでしょう。ですが、それを流すことも覚えないと。過ぎた謙遜は嫌みにも繋がりますからね」
「……具体的に、何をするんでしょうか」
足を組み、ソファの背もたれに手を伸ばしたサジャミールは、首を傾げてかすかに笑う。手にした杯をかぱりとひと息に空け、優雅な手つきでそれをリリアルーラに差し出した。
「注いでいただけませんか?」
夜会でなら、給仕が新しい酒を満たした杯を渡すはずだと言いたかった。それなのに、魔法にかけられたようにのろのろと立ち上がり、テーブルに自分の杯を置いて酒瓶を掴んでしまう。ソファには戻らず、立ったまま酒を注ぐと、背もたれを掴んでいたサジャミールの手が伸びてきた。
「っ、サジャミール、様?」
抱き寄せられるのかと思ったが、サジャミールは長い指でリリアルーラの髪をひとすじ掬い取り、くるくると巻き付けていく。褐色の肌に絡みつく白銀が、自分のものとは思えないほど眩しく見えた。
「リリアルーラ姫、何故逃げないのです?」
「逃げても、よろしいのですか?」
「勿論。これは、リリアルーラ姫の美しさに我を忘れた男が、不埒な真似に走った時に逃げるための練習ですから」
「夜会でこんなことをする方が? 人目がございます」
サジャミールは答えを返さなかった。代わりに、指先に巻き付けた白銀に唇を落とす。
逃げるには、まずその髪を解く必要がある。だが、瓶を掴んだ両手が震えて動かないのに、一体どうしてそんなことができるだろう。
白銀の髪に口づけたまま、上目遣いで見上げてくる青い瞳は捕食の鈍い光を帯びている。ほんの少し前にリリアルーラを包んだ安心は、欠片も残さず消えしまった。
「どれほど人の目があろうと、気にしない輩はいるでしょうね」
低く甘い声に追い詰められる。サジャミールこそが、何ひとつ気にしないと告げている。
ぶるりとリリアルーラの身体が震えた。
何故、サジャミール以外の相手がいるなどと思えたのだろう。あまりに圧倒的だからこそ、彼こそが運命と理解したのに、何故、それを間違いと思ったのだろう。
(違うわ……間違いって、思いたかったの)
リリアルーラは、逃げたかったのだ。どうあろうと、サジャミールはリリアルーラの手に負えない。彼の何もかもを知りたいとほんの十数分前に思ったが、彼は知れば知るほどわからなくなる類いの男性に違いない。この状況だってリリアルーラの理解を越えていて、これが何の練習なのか、そもそも彼が何を望んでいるのかがわからない。そもそも、自分が彼に何を望んでいるのかがわからない。
リリアルーラは愛を知っている。それは、温め、守り、安らぎを与えてくれるものだ。だがサジャミールに対する想いはまるで違う。千々に乱れるばかりで、安寧などどこにもない。そんなものから、逃げてしまいたい。
(こんな想いを抱えて、幸福なんてなれないわ……でも、それはもう、わかってた)
蜘蛛の糸に囚われたような絶望の中で、リリアルーラは王女としての矜持をかき集めた。
「無論式典自体は行っておりましたし、夜会――というより祝いの酒宴もありました。ですが、砂漠の民の酒宴は、床に料理を並べ、皆でそれを囲んで酒を酌み交わすような無作法なものです。他国の方を招くのにはふさわしくありません」
まるでピクニックね、とリリアルーラは口には出さずに思う。だがそれはそれで楽しそうだ。何がいけないのだろう?
「ふさわしくない、というのは、なぜでしょう。建国の祝いなのですから、その国に則った作法で構わないと思うのですが」
「皆が皆、リリアルーラ姫のように寛大なら良いのですが、万が一にでも砂漠の民に対して良からぬ印象を与えたくはないのです。たとえば、野蛮であるとか。国内の情勢もまだ不安定ではありますが、だからこそ我が国は他国から多くを学ばなければなりません。その協力を仰ぐためにも、不穏な要素は除きたい。……今回の夜会には、ルーユアン殿下に多大な協力を戴いております。何しろ、初めてのことですから」
「協力……そうなんですね……」
初耳だった。ルーユアンが忙しくしているのは、それが大きいのだろうか。そう考えてみると、到着自体が早すぎる理由も知れた。古い付き合いがあるから、長い滞在を促されたのかと単純に考えていた。
「リリアルーラ姫に夜会での同伴をお願いしたのも、その一環ですね」
「……お役に立てるかどうかは、疑問です。バイフーラの夜会には出席してきましたが、あくまで国内のものですから」
「そう気負わなくて構いません。ですが、夜会に出たこともあるのに、男性に慣れていないというのも不思議ですね。国内向けとは言え、社交の場でしょう?」
突然自分に矛先が向いて、リリアルーラは思わず杯の酒をゴクリと飲み込んだ。はしたなく見えなかっただろうかと慌てながらサジャミールを窺うと、彼はいかにも幸福そうな表情でリリアルーラの答えを待っている。少しも酔っていないのに、それを目にした身体が熱くなってしまう。
「私は国外へ嫁ぐ身ですから、夜会で男性と接することはほとんどありませんでした。勿論、挨拶などはいたしましたが、ダンスを踊るのも父や兄とだけでした」
「ダンスまで? 何故です?」
「……お兄様が、気を持たせるような機会は少ない方がいいから、と」
くすりとサジャミールは笑い、手にした杯をぐっと呷った。
「なるほど、リリアルーラ姫の美しさには誰しも目が眩んで当然ですからね」
「そんな……」
「いいえ、リリアルーラ姫。本当のことです。目の前にいる私がいい例でしょう? あなたを前にして、この上なく浮かれております」
とくりとリリアルーラの心臓が高鳴った。本気にしてはいけないとわかっているのに、抑えようもない喜びが胸を突き上げる。だがここで何かしら否定の言葉を返せば、サジャミールが言い募るのは目に見えていた。
リリアルーラは黙って金杯に手を伸ばした。かわし方がわからないのなら、黙っている方がいいだろう。やたらと頬が熱いが、酒を口にしたところでその熱は上がらない。リリアルーラが呑まれているのは酒ではなくサジャミールだ。
「私がまた、戯れを口にしていると思っていらっしゃるんですね。私はそんなにも不実な男に見えますか?」
「……お許しを。どのように返せばいいかもわからない私が不調法なのです」
リリアルーラは意識して微笑みを形作り、サジャミールを見上げた。青い瞳がそれに応える。また、とくりと胸が鳴った。あまり彼を見るのは得策ではないとしみじみ思う。だが、無作法を繰り返してばかりではルーユアンに、ひいてはバイフーラの国民に申し訳が立たない。
「初めて微笑んでくださいましたね」
「……そうでしたか? それは、申し分け……」
「謝らないで」
サジャミールは急に強い口調で言い放ち、酒瓶を手に取った。自らの杯に注ぎ、リリアルーラの杯にも継ぎ足す。
「困らせているのは私です。リリアルーラ姫があまりにもおうつくしく可愛らしいので、どうも節度を忘れてしまう。男性に慣れていないと聞いているのに、抑えが効かないのです。謝るべきは私の方です」
「それは……。ありがとうございます、サジャミール様」
リリアルーラは今度こそ自然に微笑んだ。サジャミールが手にした杯を軽く上げたから、彼女も同じように応える。耳障りのいい言葉は、戯れであっても嬉しかった。
そうして、リリアルーラはあることに気づいた。彼女はサジャミールに惹かれていて、今この瞬間もその想いは増しているが、それはきっと、女性として当然のことだと。
初めてサジャミールを海辺で見たとき、こんな美しい男性に会ったことがないと思った。おまけに彼は国王で、未婚で、簡単に言えば魅力の塊だ。リリアルーラでなくとも運命を感じるに違いない。
リリアルーラの胸が突然軽くなった。彼女の運命の相手が、別にいるような気がしてきたのだ。サジャミールは特別すぎる。だから、勘違いしてしまった。きっとこの世のどこかに、リリアルーラのまだ見ぬ運命が待っている――。
サジャミールの魅力に感じ入りつつ安心しきったリリアルーラは、朗らかな気持ちで酒を口に運んだ。にこにことサジャミールに笑いかける。彼女は、砂漠の金獅子が強引で計算高い男だとすっかり忘れていた。
「ですが、それはそれとして気になることはあります。リリアルーラ姫、少し練習をしましょうか」
「練習、ですか?」
「はい、あなたの美しさを誰もが褒め称えるでしょう。ですが、それを流すことも覚えないと。過ぎた謙遜は嫌みにも繋がりますからね」
「……具体的に、何をするんでしょうか」
足を組み、ソファの背もたれに手を伸ばしたサジャミールは、首を傾げてかすかに笑う。手にした杯をかぱりとひと息に空け、優雅な手つきでそれをリリアルーラに差し出した。
「注いでいただけませんか?」
夜会でなら、給仕が新しい酒を満たした杯を渡すはずだと言いたかった。それなのに、魔法にかけられたようにのろのろと立ち上がり、テーブルに自分の杯を置いて酒瓶を掴んでしまう。ソファには戻らず、立ったまま酒を注ぐと、背もたれを掴んでいたサジャミールの手が伸びてきた。
「っ、サジャミール、様?」
抱き寄せられるのかと思ったが、サジャミールは長い指でリリアルーラの髪をひとすじ掬い取り、くるくると巻き付けていく。褐色の肌に絡みつく白銀が、自分のものとは思えないほど眩しく見えた。
「リリアルーラ姫、何故逃げないのです?」
「逃げても、よろしいのですか?」
「勿論。これは、リリアルーラ姫の美しさに我を忘れた男が、不埒な真似に走った時に逃げるための練習ですから」
「夜会でこんなことをする方が? 人目がございます」
サジャミールは答えを返さなかった。代わりに、指先に巻き付けた白銀に唇を落とす。
逃げるには、まずその髪を解く必要がある。だが、瓶を掴んだ両手が震えて動かないのに、一体どうしてそんなことができるだろう。
白銀の髪に口づけたまま、上目遣いで見上げてくる青い瞳は捕食の鈍い光を帯びている。ほんの少し前にリリアルーラを包んだ安心は、欠片も残さず消えしまった。
「どれほど人の目があろうと、気にしない輩はいるでしょうね」
低く甘い声に追い詰められる。サジャミールこそが、何ひとつ気にしないと告げている。
ぶるりとリリアルーラの身体が震えた。
何故、サジャミール以外の相手がいるなどと思えたのだろう。あまりに圧倒的だからこそ、彼こそが運命と理解したのに、何故、それを間違いと思ったのだろう。
(違うわ……間違いって、思いたかったの)
リリアルーラは、逃げたかったのだ。どうあろうと、サジャミールはリリアルーラの手に負えない。彼の何もかもを知りたいとほんの十数分前に思ったが、彼は知れば知るほどわからなくなる類いの男性に違いない。この状況だってリリアルーラの理解を越えていて、これが何の練習なのか、そもそも彼が何を望んでいるのかがわからない。そもそも、自分が彼に何を望んでいるのかがわからない。
リリアルーラは愛を知っている。それは、温め、守り、安らぎを与えてくれるものだ。だがサジャミールに対する想いはまるで違う。千々に乱れるばかりで、安寧などどこにもない。そんなものから、逃げてしまいたい。
(こんな想いを抱えて、幸福なんてなれないわ……でも、それはもう、わかってた)
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