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三章
禍の姫君と神聖なる蛇と砂漠の金獅子
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「リリー、お茶が冷めるよ」
ルーユアンに呼ばれ、リリアルーラは細道の先わずかに覗く海から目を離した。
リリアルーラとルーユアンは、中庭の外れにある四阿でお茶の時間を過ごしている。陽は傾き始めているが未だ気温は高く、遠い砂漠の国にいることをまざまざと感じさせる。
「少し冷ましたくらいがいいわ。暑いもの」
「それで、サジャミールとの謁見についてはいつになったら聞かせてくれるのかな?」
「……わざと黙っているわけではないの。どう話していいのかわからなくて……」
リリアルーラは正直に答えた。
国王サジャミールとの謁見を終えてから、自分がどのように過ごしたのかリリアルーラは覚えていない。魂ごと、サジャミールの側に置いてきたような気がする。
いつの間にか、部屋の中にルーユアンがいた。兄は朝からずっと、宰相との会談を続けていたらしい。朝も昼も一人にしてすまなかったと謝られ、そこでようやくリリアルーラは、既にお茶の時間と気づいた。
「リリー、心ここにあらずだけど、もしかしてサジャミールがお前の運命だったのかい?」
「運命?」
リリアルーラはあえて茶化すように笑った。
どう話していいのかわからなかったのだ。リリアルーラはサジャミールに転がり落ちるような恋をした。だが、向こうにそのつもりはないようだとはっきり言ってしまえば、彼と長い付き合いのルーユアンとていい気はしないだろう。
リリアルーラは長い溜息をつき、もう一度笑った。
「運命かどうかは正直わからないわ、お兄様。今までお会いしたり、姿絵でお見かけしたどんな方とも違うとは思うけど……運命って何かしら」
「じゃあ、彼についてどう思った?」
「美しい方ね。怖いくらい」
思うところは他にもあるが、それ以上の言葉を選べなかった。今日、サジャミールと過ごした時間について、詳しく説明する気にはなれない。
「……性格も恐ろしいと言われているよ。砂漠の金獅子は、傲慢で残酷で強引で計算高いって。でも、そうでなければあの若さで建国なんて成し得なかっただろうね。たとえ、父親の後を継いだ形であっても」
傲慢で残酷と聞き、リリアルーラはサジャミールの瞳を思い出した。リリアルーラという獲物を前に、舌舐めずりするようだった捕食者の瞳。そしてまた、強引で計算高いのも確かだろう。彼は、あっさりとリリアルーラを追い詰めた。
「私の手に負えるような方じゃないのは確かね……」
「じゃあ、サジャミールの申し出は断ったのかな?」
「断れるわけないでしょ! お兄様もご存じだって聞いたし………気は重いけど、数日のことだから、……頑張ります」
絶え間なく流れる汗が一瞬で乾くような気候にも関わらず、リリアルーラの背中を冷たい汗が落ちた。
『式典までの五日間、できる限り一緒に過ごすようにしましょう』
低く甘いサジャミールの声が蘇る。できる限りとは、どれくらいだろう。あれから数時間過ぎるが、サジャミールからの連絡はない。
「……彼からはどんな風に頼まれたんだい、リリ-」
とうに湯気の消えたカップを手にしたルーユアンは、どこか遠い目でリリアルーラを見つめた。
「夜会のエスコートをさせて欲しいって、それから、それまでにできる限り一緒に過ごすようにしましょう、って。私は、少し、その、男性に慣れていないようだからって」
「確かにリリーは……僕と父様以外には慣れてないからね。国王がエスコートともなれば、山ほどの相手に囲まれるだろうし」
「知ってたのなら、お兄様から先に聞いておきたかったわ」
「元々謁見は明日の予定だったんだよ。急に彼の予定が空いたから、リリー一人を呼んだらしい。今夜、詳しいことを話すつもりだった」
リリアルーラは小さく頷き、カップを手に取った。あの謁見が予定外のものなら、ルーユアンを責めるのは筋違いだ。それに、これ以上の泣き言を口にするつもりはなかった。支離滅裂なことを口走ってしまいかねない。
「ルーユアン様、お時間です」
突然聞こえたイルマの声に、リリアルーラが飛び上がった。ルーユアンは気づいていたのか、こともなげに立ち上がる。
「ごめんよ、リリー。次の予定みたいだ。何か困ったことがあったらいつでも教えて」
ひらひらと手を振り、ルーユアンが去って行く。何もかもに困っていると叫びたい気持ちを殺し、リリアルーラは兄の背中を見送った。
「さて、どういうことか説明してもらおうか、サジャミール国王陛下」
「どういうこととは?」
砂漠の金獅子は大きくかいた胡座に肘をつき、うっそりとルーユアンを見上げた。可愛いリリアルーラの兄が何かしら言ってくるだろうことは予想していたが、開口一番この調子とは思っていなかった。――いや、わかりきっていたことか。
だからこそ執務室を離れ、サジャミール専用の休憩所である青の間に呼びつけたのだから。
リリアルーラはここを謁見の間と勘違いしていたが、実際の謁見の間は王宮で最も大きな広間に設けられている。そこには彼女が想像していたような重厚な椅子が置かれ、何人もの衛兵が配備されており、二人きりで話すなど望むべくもない。
執務室も同じようなもので、いつ誰が入ってくるかはわからず、扉の向こうで誰が聞き耳を立てているのかもわからない。王宮深くにあるサジャミールの私室に招くとなるとうるさい者もいる。その点ここは、それらの欠点のすべてを補っていた。
「リリーに何を……いや、何故求婚しなかった。かわいそうに、あの子はひどく憔悴していた」
「求婚はした。が、その時リリアルーラ様は気を失っておられたから、聞いてはいただけなかった」
「なっ」
ルーユアンの顔が真っ赤に染まった。この兄妹は素肌が白い分、紅潮するとわかりやすいところが似ているとサジャミールは思う。だが、王太子としてあまり良い傾向ではないだろう。
「心の内を顔色に出すようでは、王となった時に困るだろう。落ち着いた方がいい、ルーユアン殿下」
「忠告感謝する。今後は不要だ。それより、リリーに何をしたか話してもらえるかな?」
「特に何も。求婚のために手を取り口づけたら、気を失ってしまわれた。リリアルーラ様は思っていた以上にお可愛らしい」
「は……本当だろうね」
ルーユアンの顔から赤みが消えている。忠告は不要と言ったが、サジャミールの言葉に冷静さを取り戻したのだろう。
抱き上げ膝に乗せ、素足に触れたと言えばすぐにまた赤くなるだろうなと思いつつ、サジャミールは大きく伸びをした。ルーユアンの冷たい視線を撥ね除ける。
「嘘をついてどうする。気になるなら、リリアルーラ様に尋ねてみればいい。とにかく、求婚の手前で失神するほど初心とは思っていなかったから、予定は変えざるを得なかった」
「リリーの清らかさは散々伝えたはずだが」
「下世話な育ちだからな。清らかさというものを理解しきれていなかった」
下世話さなど無縁そうな高貴な口許をニヤリと上げ、サジャミールは挑発するように笑った。眉間に皺を寄せつつ、ルーユアンもまた優美に微笑む。
「予定を変えるのはお前の勝手だし、お手並み拝見と言ったところかな。だけど、リリーは運命を感じてないと言っていたよ。あの子は脆いようで意固地だから、せいぜい頑張るといい。わかってるだろうが、僕から口添えはしない。選んで決めるのは、リリーだ」
「大いなる神ディアスの申し子ルーユアン殿、忠告に感謝しよう。神聖なる蛇の脱皮を砂漠の獅子も心待ちにしている」
ルーユアンの瞳がギラリと揺らいだ。顔色は一切変わっていないが、空色の瞳が何故か銀を帯びている。だがそれも一瞬、明るい空色が眇められる。
「砂漠の金獅子に運命の祝福を。無駄吠えする獅子に、羽ばたく小鳥が捕まえられるとは思えないけれど」
まるでリリアルーラを諭すときのように甘やかに、ルーユアンは微笑んだ。サジャミールもまた、リリアルーラを蕩かす蠱惑的な笑みを返す。
二人はそれ以上の言葉を交わさずに別れた。互いの苛立ちを、一切表には漏らさないまま。
ルーユアンに呼ばれ、リリアルーラは細道の先わずかに覗く海から目を離した。
リリアルーラとルーユアンは、中庭の外れにある四阿でお茶の時間を過ごしている。陽は傾き始めているが未だ気温は高く、遠い砂漠の国にいることをまざまざと感じさせる。
「少し冷ましたくらいがいいわ。暑いもの」
「それで、サジャミールとの謁見についてはいつになったら聞かせてくれるのかな?」
「……わざと黙っているわけではないの。どう話していいのかわからなくて……」
リリアルーラは正直に答えた。
国王サジャミールとの謁見を終えてから、自分がどのように過ごしたのかリリアルーラは覚えていない。魂ごと、サジャミールの側に置いてきたような気がする。
いつの間にか、部屋の中にルーユアンがいた。兄は朝からずっと、宰相との会談を続けていたらしい。朝も昼も一人にしてすまなかったと謝られ、そこでようやくリリアルーラは、既にお茶の時間と気づいた。
「リリー、心ここにあらずだけど、もしかしてサジャミールがお前の運命だったのかい?」
「運命?」
リリアルーラはあえて茶化すように笑った。
どう話していいのかわからなかったのだ。リリアルーラはサジャミールに転がり落ちるような恋をした。だが、向こうにそのつもりはないようだとはっきり言ってしまえば、彼と長い付き合いのルーユアンとていい気はしないだろう。
リリアルーラは長い溜息をつき、もう一度笑った。
「運命かどうかは正直わからないわ、お兄様。今までお会いしたり、姿絵でお見かけしたどんな方とも違うとは思うけど……運命って何かしら」
「じゃあ、彼についてどう思った?」
「美しい方ね。怖いくらい」
思うところは他にもあるが、それ以上の言葉を選べなかった。今日、サジャミールと過ごした時間について、詳しく説明する気にはなれない。
「……性格も恐ろしいと言われているよ。砂漠の金獅子は、傲慢で残酷で強引で計算高いって。でも、そうでなければあの若さで建国なんて成し得なかっただろうね。たとえ、父親の後を継いだ形であっても」
傲慢で残酷と聞き、リリアルーラはサジャミールの瞳を思い出した。リリアルーラという獲物を前に、舌舐めずりするようだった捕食者の瞳。そしてまた、強引で計算高いのも確かだろう。彼は、あっさりとリリアルーラを追い詰めた。
「私の手に負えるような方じゃないのは確かね……」
「じゃあ、サジャミールの申し出は断ったのかな?」
「断れるわけないでしょ! お兄様もご存じだって聞いたし………気は重いけど、数日のことだから、……頑張ります」
絶え間なく流れる汗が一瞬で乾くような気候にも関わらず、リリアルーラの背中を冷たい汗が落ちた。
『式典までの五日間、できる限り一緒に過ごすようにしましょう』
低く甘いサジャミールの声が蘇る。できる限りとは、どれくらいだろう。あれから数時間過ぎるが、サジャミールからの連絡はない。
「……彼からはどんな風に頼まれたんだい、リリ-」
とうに湯気の消えたカップを手にしたルーユアンは、どこか遠い目でリリアルーラを見つめた。
「夜会のエスコートをさせて欲しいって、それから、それまでにできる限り一緒に過ごすようにしましょう、って。私は、少し、その、男性に慣れていないようだからって」
「確かにリリーは……僕と父様以外には慣れてないからね。国王がエスコートともなれば、山ほどの相手に囲まれるだろうし」
「知ってたのなら、お兄様から先に聞いておきたかったわ」
「元々謁見は明日の予定だったんだよ。急に彼の予定が空いたから、リリー一人を呼んだらしい。今夜、詳しいことを話すつもりだった」
リリアルーラは小さく頷き、カップを手に取った。あの謁見が予定外のものなら、ルーユアンを責めるのは筋違いだ。それに、これ以上の泣き言を口にするつもりはなかった。支離滅裂なことを口走ってしまいかねない。
「ルーユアン様、お時間です」
突然聞こえたイルマの声に、リリアルーラが飛び上がった。ルーユアンは気づいていたのか、こともなげに立ち上がる。
「ごめんよ、リリー。次の予定みたいだ。何か困ったことがあったらいつでも教えて」
ひらひらと手を振り、ルーユアンが去って行く。何もかもに困っていると叫びたい気持ちを殺し、リリアルーラは兄の背中を見送った。
「さて、どういうことか説明してもらおうか、サジャミール国王陛下」
「どういうこととは?」
砂漠の金獅子は大きくかいた胡座に肘をつき、うっそりとルーユアンを見上げた。可愛いリリアルーラの兄が何かしら言ってくるだろうことは予想していたが、開口一番この調子とは思っていなかった。――いや、わかりきっていたことか。
だからこそ執務室を離れ、サジャミール専用の休憩所である青の間に呼びつけたのだから。
リリアルーラはここを謁見の間と勘違いしていたが、実際の謁見の間は王宮で最も大きな広間に設けられている。そこには彼女が想像していたような重厚な椅子が置かれ、何人もの衛兵が配備されており、二人きりで話すなど望むべくもない。
執務室も同じようなもので、いつ誰が入ってくるかはわからず、扉の向こうで誰が聞き耳を立てているのかもわからない。王宮深くにあるサジャミールの私室に招くとなるとうるさい者もいる。その点ここは、それらの欠点のすべてを補っていた。
「リリーに何を……いや、何故求婚しなかった。かわいそうに、あの子はひどく憔悴していた」
「求婚はした。が、その時リリアルーラ様は気を失っておられたから、聞いてはいただけなかった」
「なっ」
ルーユアンの顔が真っ赤に染まった。この兄妹は素肌が白い分、紅潮するとわかりやすいところが似ているとサジャミールは思う。だが、王太子としてあまり良い傾向ではないだろう。
「心の内を顔色に出すようでは、王となった時に困るだろう。落ち着いた方がいい、ルーユアン殿下」
「忠告感謝する。今後は不要だ。それより、リリーに何をしたか話してもらえるかな?」
「特に何も。求婚のために手を取り口づけたら、気を失ってしまわれた。リリアルーラ様は思っていた以上にお可愛らしい」
「は……本当だろうね」
ルーユアンの顔から赤みが消えている。忠告は不要と言ったが、サジャミールの言葉に冷静さを取り戻したのだろう。
抱き上げ膝に乗せ、素足に触れたと言えばすぐにまた赤くなるだろうなと思いつつ、サジャミールは大きく伸びをした。ルーユアンの冷たい視線を撥ね除ける。
「嘘をついてどうする。気になるなら、リリアルーラ様に尋ねてみればいい。とにかく、求婚の手前で失神するほど初心とは思っていなかったから、予定は変えざるを得なかった」
「リリーの清らかさは散々伝えたはずだが」
「下世話な育ちだからな。清らかさというものを理解しきれていなかった」
下世話さなど無縁そうな高貴な口許をニヤリと上げ、サジャミールは挑発するように笑った。眉間に皺を寄せつつ、ルーユアンもまた優美に微笑む。
「予定を変えるのはお前の勝手だし、お手並み拝見と言ったところかな。だけど、リリーは運命を感じてないと言っていたよ。あの子は脆いようで意固地だから、せいぜい頑張るといい。わかってるだろうが、僕から口添えはしない。選んで決めるのは、リリーだ」
「大いなる神ディアスの申し子ルーユアン殿、忠告に感謝しよう。神聖なる蛇の脱皮を砂漠の獅子も心待ちにしている」
ルーユアンの瞳がギラリと揺らいだ。顔色は一切変わっていないが、空色の瞳が何故か銀を帯びている。だがそれも一瞬、明るい空色が眇められる。
「砂漠の金獅子に運命の祝福を。無駄吠えする獅子に、羽ばたく小鳥が捕まえられるとは思えないけれど」
まるでリリアルーラを諭すときのように甘やかに、ルーユアンは微笑んだ。サジャミールもまた、リリアルーラを蕩かす蠱惑的な笑みを返す。
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