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1.最初の出来事

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 転職のため、地方から関東へ引っ越してきた。
 都内で暮らすには家賃的に無理だったので、都内へアクセスがいい隣県にいい物件があったためそこへ内見しに行った。
 部屋は広いし、ロフト付き。洗面台も独立しているし、バストイレ別。キッチンは小さいけど、そこは妥協するしかない。
 日当たりは南向きで良いらしいが、ベランダの雨戸が何故か開かなくて確認できなかったけど家賃と比較しても良物件だと思い、埋まる前に即契約することにした。

 1週間も経たずに新しい職場で働き始める。
 荷解きも終わり、布団を敷くくらいしか広さが無いためロフトで寝ると決めていた私は毎日ロフトで寝ていた。

 ある日、トイレで目が覚めて夏ということもありタイマーで冷房が切れるようにしていたがまだ動いていたので残り時間を確認。四時ごろだった。
 まだ寝れるなと思い、そのまま布団へ戻る。
 すると、一階部分から聞いたことのないム"ーーー!!ム"ーーー!!ム"ーーー!!と激しい音か声かわからないものが部屋の中に響き渡った。エアコンが切れる音?故障?聞いたことのない音に寝ようとしながらも驚いていた。

 ロフトへはもちろん登るための梯子のような階段がある。
 そこを、ぺたぺたと登ってくる足音と気配がした。誰もいないはずなのに。

 確認しようと起き上がろうとすると体が全然動かない。
 人生初の金縛りで、テンションが上がるかと思ったが直前に足音が聞こえているので頭の中は恐怖で埋め尽くされる。

 すると、足音はしないが布団のうえを何かが歩いている感覚と気配が布越しに伝わってくる。それはどんどん足元の方へ向かっていった。
 突然、片足を両手で掴まれた。靴を履く部分。突然両手で足を掴んだそれは噛み付いてきた。指先から甲の部分まで。
 実家で飼っていた猫が怒った時に噛みついてくるくらいの強さで噛まれ、痛い痛い痛いと言おうとして声が出ないことに気付いた。
 そのまま、身体も動かず声も出せない状態でいると、いつの間にか足の拘束も解かれていることに気付く。
 また、布団の上を歩く気配。今度は反対側だ。
 どんどん頭の方に向かってくる。

 どうしよう

 目を開けることはできるのかわからない。あけて、何かが見えてしまったらどうしよう。
 そう考えていると、布団の上を歩いていた何かが私の顔の横で何か囁いていた。近い。
 何故かその時には金縛りが解けていたため、音がするあたりを思いっきり殴る。すると、反対側へ移動して、また何か囁いてくる。それも思いっきり殴る。何も手応えはなかった。
 壁際で寝ていたから、壁に思いっきり当たったくらい。
 その後は何もなかったので、ぐっすり寝ることができた。
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