【R18】囚われの姫巫女ですが、なぜか国王に寵愛されています

くみ

文字の大きさ
上 下
19 / 37
第二章

4

しおりを挟む
 イレーナは所在なさげに立っていた。


 あれからすぐに自室に戻ったけれど、どうしてもオーランのことが気になっ
て仕方がなかったのだ。


 部屋にはオーラン以外にアイザックとユーグがいた。


「あ、僕の話はもう終わったからどうぞ。もしかしてずっと待ってた?」


「え、いえ」


 ごめんねと謝られてイレーナは気まずくなる。


「何かご用ですが?」


 相変わらずユーグには冷たい対応をされて、やっぱり来ない方がよかったか
と思っていると。


「ユーグ、お前ももう部屋に戻って休め」


「しかしー」


「俺のことなら心配ない」


 ユーグはしかめ面をしながらも渋々といった感じで会釈をして部屋を後にす
る。


 オーランに部屋に入るように促されて遠慮がちに部屋の中に入った。


「ごめんなさい。邪魔してしまって」


「いや。もう話はすんだところだ。それよりもそんなに俺のことが心配だった
のか?」


 ニヤリと不遜に笑うオーランに素直に頷くと、意外だと驚かれる。


「へー。そんなに俺のことが気になるのか」


「ち、違います! そういうことじゃー」


 誰だって身近な人が体調を崩せば心配するのは当たり前だと豪語すると、オ
ーランはなぜか優しい表情をみせ、思わずドキッとする。


「私の身代わりになって毒を飲んだんでしょう?」


「勘違いするな。たまたま俺が狙われただけのことだろ」


「よくあるの? こういうことー」


 オーランはベッドに深く腰掛け、イレーナにも隣に座るよう指示する。


 イレーナは大人しく少し距離を開けて隣に座ったが、オーランは強引にその
距離を縮めた。


「……」


「毒殺はよくあることだ。俺はそれなりに免疫をつけているから多少の毒は平
気だ」


「怖く、ないの?」


 いつ狙われるか分からない状況に常に置かれているなんて、想像しただけで
神経が詰まる。


「俺よりもお前が置かれている状況の方がよっぽど恐怖じゃないのか。それな
のに俺の心配するとは、やはりお前は変わっている」


 また話を逸らされた気がする。


「そんなに俺のことが心配なら、俺のことを慰めてくれ」


「え……」


 ふいにベッドに押し倒されて強引に唇を奪われる。


「んっ……」


「お前のここでの仕事は、俺だけの言うことを聞いて、何かあればその力を使
うことと俺だけを慰めることだ。それ以外にない」


 胸元にある模様を指でつっ、となぞられる。


 余計なことは口にするなと言われているようで、胸が締め付けられた。


「心配するのは、いけないの?」


「……ああ。お前に心配されるほど俺はやわじゃないからな」


 少し荒めに衣服を引き裂かれてコルセットが露わになる。


「この身体を使って、俺を一晩中慰めろ」


 乳房を鷲づかみにされてイレーナは身を竦ませる。


「だめです、体調が、悪いのに」


「お前が慰めて元気にしてくれたら治る」


 言っていることの意味が分からなくて、眉根を寄せオーランを睨む。


「さあ、俺のを加えろ」


「っつ……」


 すでに屹立しはじめていた雄を突き出されて、イレーナは息を詰まらせた。


「んっ」


 抵抗しても無駄だと言うことは身を以て分かっているから、イレーナは素直
に口に含む。


「ああ、そうだ。お前はそうして俺を慰めていればいい」


 それ以上のことは詮索するなーと突きつけられているようだった。


 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

責任を取らなくていいので溺愛しないでください

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。 だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。 ※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。 ※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

処理中です...