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第一章
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イレーナは戸惑っていた。
あんな話を聞いてしまい、今まで通りに接することができるだろうか。
黙ったままのイレーナに、オーランがニヤリと不敵な笑みを浮かべながら言った。
「どうした? 今夜はやけに大人しいじゃないか」
久しぶりに寝室に来たオーランは、貪るようにイレーナを抱いた。
「ん、ふっ……」
引き締まった体躯は鍛えられていて、イレーナを抱く力は強い。苦しそうにしていたオーランとは別人のように思う。
観察するようにオーランを眺めていると、鼻先にキスをしてきた。
「俺に惚れたか?」
「そ、そんなわ、けっ、あんっ」
「そうか? また中が引き締まったぞ」
「あ、やっ……」
指摘された通り収縮したそこは、オーランのものを締め付けてしまっていた。
「あ、や、っ、そ、そこばっかり、あん」
「ん? 姫巫女のいいところは、ここだろ?」
感じるところを執拗に突かれて、イレーナはあられもない声をあげ、達してしまった。
そしてそのまま眠ってしまって、次に目が覚めたときはまだ明け方前だった。
ふと隣をみるとオーランの姿がなく、 シーツを触ってみるとまだ暖かい。
イレーナはなんだか気になって起き上がった。
「ーオーラン?」
薄暗い部屋の中、オーランの気配を探す。すぐ隣にはオーランの自室がある。イレーナの寝室からも行けるように繋がっていて、イレーナはドアノブに手をかけようとしてはっとした。
「っ、はっ……」
苦しそうな声が聞こえてイレーナは迷うことなくドアを開いた。
「っ、姫、巫女……」
「オーラン、大丈夫?」
「はっ、お前が、俺の心配をするのか? 大丈夫、だっ、から、部屋に戻れ」
「で、でも」
息は荒く尋常ではないほど汗をかいている。肩で息をして蹲るオーランに近づいた。
「ま、まってて。今、治療をー」
「やめろ!」
「っ」
手を伸ばそうとしたが、逆にオーランに手首を掴まれて萎縮してしまう。
「お前は、俺にそんなこと、しなくて、いい」
必死に止めようとするオーランに、イレーナは困惑した。
イレーナの治癒の力を使えばすぐに治るのにー。
「オーラン様っ」
ユーグが慌てて駆け寄ってきて、呆然と立ち尽くすイレーナを押し退けた。
「大丈夫ですか? 薬は」
「っ、まだ、だ。頼む」
「はいっ」
執務机の上にあった瓶をとって白い錠剤二錠とカプセルの薬を取り出し、オーランに水の入ったグラスを渡した。
オーランにその薬を飲ませると、荒かった呼吸が落ち着きを取り戻す。
だが立ち上がる気力はないらしく、ユーグが肩を貸して立たせた。
「ーあなたは、部屋に戻ってください」
「え、ええ」
とりあえずは大丈夫そうだと判断して、イレーナは後ろ髪を引かれる思いでオーランの部屋を後にした。
ベッドに戻ってからもイレーナは眠ることができなかった。
強引に連れさっておきながら、自分が苦しんでいるのにイレーナのことを利用しないなんてー。
いっそ、無理矢理にでも利用してくれた方がオーランのことをとことん憎むことができるのに。
イレーナの心は葛藤に苦しんでいた。
あんな話を聞いてしまい、今まで通りに接することができるだろうか。
黙ったままのイレーナに、オーランがニヤリと不敵な笑みを浮かべながら言った。
「どうした? 今夜はやけに大人しいじゃないか」
久しぶりに寝室に来たオーランは、貪るようにイレーナを抱いた。
「ん、ふっ……」
引き締まった体躯は鍛えられていて、イレーナを抱く力は強い。苦しそうにしていたオーランとは別人のように思う。
観察するようにオーランを眺めていると、鼻先にキスをしてきた。
「俺に惚れたか?」
「そ、そんなわ、けっ、あんっ」
「そうか? また中が引き締まったぞ」
「あ、やっ……」
指摘された通り収縮したそこは、オーランのものを締め付けてしまっていた。
「あ、や、っ、そ、そこばっかり、あん」
「ん? 姫巫女のいいところは、ここだろ?」
感じるところを執拗に突かれて、イレーナはあられもない声をあげ、達してしまった。
そしてそのまま眠ってしまって、次に目が覚めたときはまだ明け方前だった。
ふと隣をみるとオーランの姿がなく、 シーツを触ってみるとまだ暖かい。
イレーナはなんだか気になって起き上がった。
「ーオーラン?」
薄暗い部屋の中、オーランの気配を探す。すぐ隣にはオーランの自室がある。イレーナの寝室からも行けるように繋がっていて、イレーナはドアノブに手をかけようとしてはっとした。
「っ、はっ……」
苦しそうな声が聞こえてイレーナは迷うことなくドアを開いた。
「っ、姫、巫女……」
「オーラン、大丈夫?」
「はっ、お前が、俺の心配をするのか? 大丈夫、だっ、から、部屋に戻れ」
「で、でも」
息は荒く尋常ではないほど汗をかいている。肩で息をして蹲るオーランに近づいた。
「ま、まってて。今、治療をー」
「やめろ!」
「っ」
手を伸ばそうとしたが、逆にオーランに手首を掴まれて萎縮してしまう。
「お前は、俺にそんなこと、しなくて、いい」
必死に止めようとするオーランに、イレーナは困惑した。
イレーナの治癒の力を使えばすぐに治るのにー。
「オーラン様っ」
ユーグが慌てて駆け寄ってきて、呆然と立ち尽くすイレーナを押し退けた。
「大丈夫ですか? 薬は」
「っ、まだ、だ。頼む」
「はいっ」
執務机の上にあった瓶をとって白い錠剤二錠とカプセルの薬を取り出し、オーランに水の入ったグラスを渡した。
オーランにその薬を飲ませると、荒かった呼吸が落ち着きを取り戻す。
だが立ち上がる気力はないらしく、ユーグが肩を貸して立たせた。
「ーあなたは、部屋に戻ってください」
「え、ええ」
とりあえずは大丈夫そうだと判断して、イレーナは後ろ髪を引かれる思いでオーランの部屋を後にした。
ベッドに戻ってからもイレーナは眠ることができなかった。
強引に連れさっておきながら、自分が苦しんでいるのにイレーナのことを利用しないなんてー。
いっそ、無理矢理にでも利用してくれた方がオーランのことをとことん憎むことができるのに。
イレーナの心は葛藤に苦しんでいた。
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