上 下
43 / 66

しおりを挟む
 乳房を愛撫されているうちに下肢がじんと疼いてきて、エリーナは足をもじもじとさせる。


「ん、ふ、あ……っ」


 カールは気づいているはずなのに、そこには触れずに乳房ばかりを愛撫している。
 
 
 ひと際強く揉まれてエリーナはピクンと身を跳ねさせた。
 
 
「あ、は、やん……」


「エリーナのここは本当に柔らかいな。ヴァレリー公爵をみてみなよ。エリーナの魅惑的な姿をみて放心しているよ。彼ではここまで君を気持ちよくさせることはできなかっただろう?」


 俯いていたエリーナの顎を持ち上げられて、ヴァレリー公爵と視線が絡む。
 
 
「や、いや……み、みないでぇ……」


 恥ずかしくて消え入りたい気持ちになるけれど、身体は敏感に反応してしまう。
 
 
「あ、ん。カ、カール、さ、まっ……」


 右の耳朶を舌で舐められながら乳首を刺激されると、また快楽の波が押し寄せてきた。
 
 
 小刻みに身体を痙攣させて快楽に耐える。
 
 
   太ももの内側からつう、と愛液が垂れてきてエリーナは恥ずかしくなり足をもじもじとさせた。
 
 
 下肢がじんじんと疼いてもどかしい。
 
 
 カールはひたすらエリーナの乳首を吸っていて、そこには触れようとしない。
 
 
「あ、ん、あっ、はっ……」


「どうした? そんなに腰を揺らしたりして」


「あ、やっあっー」


 カールの手が太ももを撫でていく。
 
 
 きわどいところまで手が伸びてきて、待ち望んでいたエリーナのそこは甘く震えた。


    だけどすぐに離れてしまい拍子抜けしてしまう。
 
 
「っつ、カ、カール、さ、ま……」


「どうしたの?」


 カールは知っていてわざとはぐらかしている。また乳首を吸われてエリーナは身悶えた。
 
 
 下肢からはどんどん蜜が溢れてきてとまらない。
 
 
「どうしてほしいか、言いなさい。可愛い声と顔で言えたらしてあげるよ?」


 カールの手のひらが頬に伸びてきて、涙を拭う。
 
 
「君は私にキスされて、乳首を弄られただけでこんな恍惚な顔をみせるー。私にだけ」


 そう。


 ヴァレリー公爵に抱かれたときはこんな風にならなかった。


 ただ気持ち悪いだけだった。


 カールに触れられると、全身が甘く疼いていく。


「そうかな」


 ふいに聞こえてきたヴァレリー公爵の声にびくっと身体が反応する。


「……何が言いたい?」


 眦を吊り上げてヴァレリー公爵を睨み上げるカールに対し、さらに煽るようなことを口にした。


「エリーナ夫人は俺に触れられても気持ちよさそうにしてたけど?」


    ニヤリとほくそ笑みながら見据えられ、エリーナは思わず視線を逸らした。


「ここでただみているだけっていうのも、面白くないんだよね。どうせなら勝負しないか?」


「勝負だと?」


    ヴァレリー公爵の意図の読めない提案に、カールは怪訝な眼差しを向ける。


「そう。勝負。どっちがエリーナ夫人を満足させることができるか」


「そ、そんなことっ……」   


     エリーナは思わずぎょっとして息が詰まるほど動機が激しくなる。


「どちらが先にエリーナ夫人を達かせることができるかー。もしフォード公爵が勝ったら俺はきっぱりと手を引こう。これまでのことも」


    悪くない勝負だろう? とヴァレリー公爵が悠然に微笑む。


「カ、カール様……」


    エリーナは思わずカールの上着の裾を掴んで、縋っていた。


「それとも自信がないんだ?」


    今まで思案顔をしていたカールだったが、ヴァレリー公爵の挑発に冷ややかな微笑みを浮かべながら言った。


「いいだろう。その勝負受けて立つ。その代わり私が勝ったら、二度と私達の前に姿を見せるな」


     驚きに目を見張るエリーナにカールは自信たっぷりに言い放つ。


「私のことが信じられないのか?」


「そ、そんなことは、でも」


    緊張で強張るエリーナをカールは優しく抱きしめる。


「君は私だけをみて、私だけを感じていればいい」


     耳元で甘く囁かれてエリーナは全身を震わせた。


 





    




    


 
 


 


 
 
 

 



 
 
 


 















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています

一ノ瀬 彩音
恋愛
元々は男爵家のご令嬢であった私が、幼い頃に父親に連れられて訪れた屋敷で出会ったのは当時まだ8歳だった、 現在の彼であるヴァルディール・フォルティスだった。 当時の私は彼のことを歳の離れた幼馴染のように思っていたのだけれど、 彼が10歳になった時、正式に婚約を結ぶこととなり、 それ以来、ずっと一緒に育ってきた私達はいつしか惹かれ合うようになり、 数年後には誰もが羨むほど仲睦まじい関係となっていた。 そして、やがて大人になった私と彼は結婚することになったのだが、式を挙げた日の夜、 初夜を迎えることになった私は緊張しつつも愛する人と結ばれる喜びに浸っていた。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

公爵様は無垢な令嬢を溺愛する。

くみ
恋愛
※ ☆マークがあるものは、R18の表現が含まれています。 苦手な方はご遠慮ください。 伯爵令嬢・リアは、リアの兄・ジルの親友でもあるグリード公爵と結婚する。 グリードは一見強面で、近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、その外面とは反対に、リアに対してものすごく甘い。 惚れた弱みだとグリードも自負している。 グリードに愛され、幸せな日びを送っていたが、グリードにリアよりも身分の高い公爵令嬢が現れて浮気騒動になったり、グリードを恨む男性にリアが犯されそうになって……? 美貌の公爵と初心な令嬢の溺愛物語です

ハズレ令嬢の私を腹黒貴公子が毎夜求めて離さない

扇 レンナ
恋愛
旧題:買われた娘は毎晩飛ぶほど愛されています!? セレニアは由緒あるライアンズ侯爵家の次女。 姉アビゲイルは才色兼備と称され、周囲からの期待を一身に受けてきたものの、セレニアは実の両親からも放置気味。将来に期待されることなどなかった。 だが、そんな日々が変わったのは父親が投資詐欺に引っ掛かり多額の借金を作ってきたことがきっかけだった。 ――このままでは、アビゲイルの将来が危うい。 そう思った父はセレニアに「成金男爵家に嫁いで来い」と命じた。曰く、相手の男爵家は爵位が上の貴族とのつながりを求めていると。コネをつなぐ代わりに借金を肩代わりしてもらうと。 その結果、セレニアは新進気鋭の男爵家メイウェザー家の若き当主ジュードと結婚することになる。 ジュードは一代で巨大な富を築き爵位を買った男性。セレニアは彼を仕事人間だとイメージしたものの、実際のジュードはほんわかとした真逆のタイプ。しかし、彼が求めているのは所詮コネ。 そう決めつけ、セレニアはジュードとかかわる際は一線を引こうとしていたのだが、彼はセレニアを強く求め毎日のように抱いてくる。 しかも、彼との行為はいつも一度では済まず、セレニアは毎晩のように意識が飛ぶほど愛されてしまって――……!? おっとりとした絶倫実業家と見放されてきた令嬢の新婚ラブ! ◇hotランキング 3位ありがとうございます! ―― ◇掲載先→アルファポリス(先行公開)、ムーンライトノベルズ

イケボな宰相と逃げる女騎士

ほのじー
恋愛
イケボな宰相×腰がくだけないよう踏ん張る女騎士 【Hotランキング2位ありがとうございます!!】 生真面目なジュリアは王妃の女騎士となり、二年が経った。22歳となり行き遅れとなった彼女はもう結婚も諦め一生王妃に仕えると心で誓っていた。 真面目で仕事中感情を乱さない彼女にも苦手な人物がいる。それは誰もが恐れる“氷の宰相”サイラスだ。なぜなら彼の中性的な声が腰にくるからで・・・ サイラス:「ジュリア殿、この書類間違ってませんかね」 ジュリア:「っ・・・もう一度確認しておきます!失礼します!!」 ーバタンー ジュリア:「はぅぅ・・」(耳元で話しかけないでー!!) ※本編はR15程度です。番外編にてR18表現が入ってきます

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?

夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」 「え、じゃあ結婚します!」 メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。 というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。 そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。 彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。 しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。 そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。 そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。 男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。 二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。 ◆hotランキング 10位ありがとうございます……! ―― ◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ

【完結】堅物騎士様は若奥様に溺愛中!

くみ
恋愛
堅物騎士団長と、箱入り娘として育った第三王女の望まない結婚。 リーズ国の第三王女、ティアナは16歳になったら父である王、ダリス・カステロの決めた婚約相手と結婚することになっていた。 そんな父が選んだ婚約者は王位騎士団長のエイリス・モーガンだった。 堅物で鷹のように獰猛な性格と噂の男だ。 ティアナはそんなに強くてすごい男の人と一緒になれるか、不安になる。 その不安をエイリスは、望まない結婚をさせられたのだと勘違いする。 エイリスは義務だから仕方ないと、ティアナを慰める。 この結婚を義務だとエイリスは割り切っているようでー?

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

処理中です...