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 キス一つで恥ずかしくて真っ赤になるエリーナに、カールは困った顔をした。
 
 
「まいったな。キス一つでこの反応かー」


「す、すみません……」


 ついさっき結婚式でキスを交わしたが、あの時とは違う熱っぽい空気にエリーナはつい身構えてしまった。


 小さくなるエリーナにカールは苦笑を洩らして頭を振る。
 
 
「謝るな。ただ、その反応が可愛すぎて困っただけだ」


 やさしくベッドに押し倒され、おでこ、鼻の先、頬、唇とキスが落とされる。
 
 
 その度にエリーナの細い身体はぴくぴくと震えた。
 
 
 この先何をするかまさか知らないわけでもない。淑女のたしなみとしてそのことは教わっている。その先のことを思うと息が止まりそうだった。
 
 
 カールは壊れ物のガラスのようにエリーナに触れる。一つ何かする度にエリーナの反応を気遣う。
 
 
 だがその余裕があったのは、最初のうちだけだった。
 
 
 カールが再びエリーナの唇にキスをする。
 
 
 さすがに目を閉じなければと、目を閉じて受け入れていたがすぐに離れると思っていた唇は離れることなくぬるりとしたものが侵入してきた。
 
 
「っつ……!?」


 それが舌だということが分かって、エリーナは瞠目し目を見開いた。
 
 
 歯列を割り、舌を絡めとり吸われる。濃厚な口づけにエリーナは眩暈がした。
 
 
 息苦しくなって酸素を求めるように喘ぐエリーナに、カールは箍が外れたように貪りつく。
 
 
「んっ、ふっ、あ……」


「っつ、エリーナ。私の舌を、舐めるんだ」


 エリーナの頬に手を添えながら掠れた声で言われ、エリーナは言われるまま舌を舐めた。
 
 
 舌先をこすり合わせこぼれた唾液ごと吸われる。
 
 
 こんなキスは知らない。
 
 
 角度を変えて何度も食らいつく唇に、身体の力が抜けていく。
 
 
 ついさっきまで優しく紳士的に接していたカールの余裕はなくなっていて、キスに溺れていた。
 
 
「ん、ふっ……」


 たっぷりと口内を蹂躙した唇はちゅっ、と音を立ててようやく離れた。
 
 
 ぐったりとしたエリーナにカールは少し罰が悪そうな顔で口にした。
 
 
「-すまない。年甲斐もなく、興奮した」


「い、いえ……。だいじょうぶ、です」


 真っ赤な顔でそう答えるとカールはエリーナのサラサラの長い髪をそっと撫でた。
 
 
「君の体調を気遣ってはいるが、もっと、乱れるエリーナをみたいのが本音だ」


 カールの息が乱れている。熱っぽい瞳に見据えられながらエリーナの背中に手を伸ばして、ドレスが脱がされていく。
 
 
「あっ……」


 エリーナの身体を圧迫しているコルセットの紐も緩められ、シュミーズごと脱がされて一糸まとわぬ姿になった。
 
 
 カールの青い瞳がじっとエリーナの乳房に注がれている。
 
 
 恥ずかしくて恥ずかしくて、どうにかなりそうだった。
 
 
「あ、やっ……」


 生理的な涙が零れて思わず両手で顔を隠す。


「綺麗な肌だ」


 そっとカールの手のひらがエリーナの肌の上を這う。
 
 
 それだけでぞくっと肌が粟立った。
 
 
 カールの大きな手のひらが形を確かめるように乳房に触れ、やわやわと揉み、先端の乳首を指で摘まむ。
 
 
「っあっ……」


 ぴくん、とエリーナの細い身体が揺れた。
 
 
「刺激、強すぎるか?」


 気遣うように問いかけられて、エリーナは懸命にぷぷると首を振った。
 
  
「よかった。ここでやめてと泣かれても困るからな」


 エリーナの体調を配慮して聞いてくれるけれど、ここで素直にやめてとは言えない空気がカールにはあった。
 
 
 カールが赤子のように乳首に吸い付いく。エリーナはまさかそんなことをされるとは思ってもいなくて動揺した。
 
 
 舐めているー。カールがエリーナの乳首をー。
 
 
 ちゅ、くちゅ、と音を立てながら吸い付くカールを物珍しいものでも見るかのように、エリーナは潤んだ瞳で見つめた。
 
 
 もう片方の胸はくりくりと指の腹で乳首を転がしたり摘まんだりを繰り返す。全身に甘い痺れがおこって身を震わせ、ふとエリーナは下半身の違和感に気づいた。
 
 
 そこはじっとりと粗相でもしたかのように濡れていて、かっと頬を赤くする。
 

(や、うそっー…)


 エリーナはいたたまれない気持ちになって、カールに気づかれないように足をぎゅっと閉じた。
 
 
 


 

   
 
 
        
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