信長の室──小倉鍋伝奇

国香

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安土

五・決着(下)

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 信長が薬湯を運ばせてきた。

 舶来品の白磁の茶碗になみなみと満たされた薬湯が、不気味などす黒い色を放ち、薬草のかすが表面にたゆたっている。においもいかにも怪しげだ。

 定秀は目の前に置かれたそれに、冷や汗を落とした。

「腰痛に効く薬草だ。岐阜の山に生えていた。途中、伊吹山で足りない薬草を調達してきた。俺が手ずから抜いてきてやったのだ」

 くふふと信長は不気味に笑った。

 定秀はごくりと唾を飲み込んだ。なかなか手が伸ばせなかった。

「どうした、遠慮はいらんぞ。賢秀は俺と同い年だから、おぬしは俺の父みたいなもんだ。俺の父は早くに死んだゆえ、今も生きていれば、おぬしのようになっていたのだろうと、おぬしの顔から、父の皺を想像しているのだ。今までこうして親しく交わることもあまりなかったが、薬草くらい食わせてやりたいと思っていたのよ」

 にたにた、信長は声にも笑いを含ませ、定秀を見ている。

「はっ、それは畏れ多い、かたじけなき仰せ……」

 定秀がようやく茶碗を手にした。震える手に力を込め、持ち上げる。

「冬姫の先程の話はまことだ。俺は忠三郎を息子にと思うておる。忠三郎は信じておる。が、蒲生家の出方によっては――」

 茶碗に口を近づけていた定秀の手が止まった。

「万が一、天地がひっくり返った時は、蒲生といえども正しく罰し、潰さねばならぬが、まあ冬姫の言う通り、忠三郎だけは決して有り得ないからな。さても悩ましきところよ」

 信長は口元を綻ばせたまま、急に茶碗を凝視した。次いで定秀に目を合わせ、くっと笑った。

「遠慮すな、親父殿」

「は……」

 どうにか返答したものの、定秀はがちがちと歯が鳴る。

(蒲生を潰すとな?いや、忠三郎だけは婿ゆえに許すとな?わしは……わし一人を殺して、それで帳消しにするとな?)

 薬湯のどす黒い色が、定秀を誘っていた。

(わしは……わしは蒲生を維持するために、死なねばならぬのか?わし一人だけが、蒲生のために犠牲に……)

 家を守るために死ぬのは、武士の誉れである。潔く逝くのが美徳なのだ。

 定秀はなお震える。まだ死にたくなかった。

 血の色。薬湯を見てそれを連想した。

 これは薬湯ではなく、やがて定秀の吐く血なのではないか。定秀は茶碗の中を覗き込んで、ふとそんな幻想に誘われた。すぐにこの茶碗は定秀の血で満たされることになる。

「お屋形様!」

 勝手に口が喋っていた。

 定秀は気がつくと、茶碗を両手でしっかり握ったまま顔を上げ、信長を見ていた。

「なんだ?」

 信長はなお含み笑い。

「おそれながら、蒲生を潰すおつもりにございましょうや?されど、蒲生は何ら罪は犯しておりませぬ!それがしが本誓寺へ参りましたは、顕忍を匿うよう坊主どもに命じるためではございませぬ!そもそもあの童は顕忍ではございませぬ!」

「知っておる」

「へ……?」

 信長は笑ったまま頷いた。

「冬姫が偽物と暴いたんだろうて」

「……し、しかし……」

 先ほど、信長は定秀に言ったではないか。定秀が本誓寺に対して、顕忍を匿うよう命じたのだろうと――。蒲生家の、定秀の謀反の疑いを信長自身が言ったのだ。

 顕忍を匿った罪で、蒲生家をとり潰す。いや、忠三郎は許してやるかわりに、定秀にだけ死ねと――。

「隠居はなんで本誓寺へ行った?行ったことは間違いあるまい?見た者がいるのだ、それは確かだろう」

 信長は初めて真顔になった。

「おそれながら、お屋形様は一揆を起こさねば、一向宗を放置遊ばされるのでしょうか?垣見や小川の門徒衆に対しては、潰滅遊ばされませんでした」

「愚問である。俺はこれから本願寺へ戦しに行く」

「なれば、途中にある一向宗の寺は全て攻撃遊ばされますので?されど、お屋形様は本願寺とさえ、度々話し合いをなされ、時に和睦もなさいました。地上の門徒衆を全滅させるなど、不可能なこと。一揆を起こしていない者らまではお討ちにならないと存じます」

 定秀は勝手に信長の考えを推量して、さらに茶碗を持つ手に力を込めた。

「なれば、寝ている門徒衆の人心掌握に努めるのが、お屋形様に仕える者の役目と存じます。本誓寺はじめ日野の五ヶ寺を我が意に従わせ、やがて日野の門徒衆から垣見、小川の門徒衆を説得してもらい、いずれは彼らをお屋形様の兵と致しまする。そのために、本誓寺へは慈愛を持って接しておりました。奴らは思考しませぬ」

 確かに、彼ら門徒は思考しない。本願寺からの押し付けに、何も考察せず従うだけだ。それが信仰に生きる者のならいである。しかし。

「思考せぬ故、本願寺に同情的なことを言って欺き、慈愛を施してやれば、靡きまする」

「ほう、近江の門徒衆に一揆を起こさせない、本願寺に加担させないどころか、この織田と中立の立場をとらせ、いやいや、それどころか、織田の兵とするなぞと、随分おぬし吹いたな」

 くっと肩を跳ね上げさせ、信長はまた笑った。

「いいだろう、そういう政もある。門徒衆を地上から全て消し去るだけが良いわけではない。まあまあなあなあも政のうちよ。近江の門徒衆は駆逐する必要がないわけよな?恩を売る、それが蒲生のやり方で、それでうまく行くならば、それで構わない」

 信長は納得したようだ。ならば、もう蒲生が処分を受ける可能性もなくなったのか。

 定秀が少しほっとすると、信長がまた笑った。今度はげらげらと声を上げて。

「そういうわけで、話は終わったから、薬湯を飲めよ。俺は今日、そのためにここに来たのだし、おぬしを呼んだのだからな」

 定秀は一気に血の気を引いた。

「おぬし、何でそんなに薬湯を飲むのを躊躇うんだよ?」

「……あ……いや、その、苦いのが苦手で……」

 言った後ではっとした。俺の薬湯は飲めないのかという、信長の次の言葉を想定して――。信長がいかにもそういう目をしたのだ。

(信長め、わしを許してはくれない!)

 どうしても殺す気なのだ。

「それは甘草が入っている。甘く作らせた。俺も甘いのが好きだから、おぬしの気持ち、よくわかるぞ。これでも気をきかせたつもりよ」

「左様にお屋形様お好みの味にして頂いているなら……かように高い効果のある良薬、これから逆徒どもを討ちに行かれるお屋形様を差し置いて、それがしなぞが賜るは……勿体なく……」

 時々ちらちらと信長の表情を盗み見ながら、定秀は何とかして、これを飲まずに済ませようとした。

 だが、信長の表情は必ず飲ませようという意志に溢れている。

 拒んでも、鼻をひねられ、口を抉じ開けられ、無理矢理薬を押し込まれる。間違いなかった。

「いいから飲め!」

 ついに信長が苛立ちを露にしてきた。

 どの道、死ぬのだ。定秀はやけくそのように茶碗を口にやり、一気にあおった。

「ブッ!げほげほげほ」

 薬湯は熱かった。

「阿呆よ……」

 信長が呆れていた。

 噎せて咳き込む定秀を、何とも言えない表情で見ていたが、おもむろに立ち上がり、ずかずかと近づいてくると、定秀の傍らで膝を折った。

「一気に飲む奴があるか?年を取ると、知恵者でも、こんな単純なことさえわからなくなるのか?」

 茶碗を定秀から奪い、悪口しながらも、その背をさすった。

「おお、やだやだ、父も生きてたら、こうなったのか?俺はこうなる前に逝きたいものよ」

 しばらく噎せていた定秀が、震えながらようやく懐紙に手をやり、口を拭うと、礼の言葉のかわりに、しきりにぺこぺこ頭を下げた。

「ほら、残りはゆっくり味わえよ」

 再び信長は定秀の手に茶碗を押しやり、背中をぽんと一つ叩いた。

 定秀の体は何ともなかった。

(わし、生きてる……?)

 残りが半分になった茶碗の中を覗いた。

 口に残った風味が複雑だ。薬湯らしい有難くないにおいと、まとわりつくような甘味。

(毒ではなかった……?)

 落ちつくと、定秀は傍らの信長を見た。信長は相変わらずの目力で、定秀を見ていた。

「か、甘露でございます」

「だから言っただろう?甘くしておいたと。年寄りは頑固で意固地で、まことに質が悪いよなあ。年なんだから、それを素直に受け入れ、さっさと薬湯の世話になればよいのに。それを、年寄りではないのと、なかなか薬を飲みたがらん。皆そうだ。腹の立つことよ」

 信長はそう言って、立ち上がり、もとの席に戻って行く。定秀はその背に、茶碗を捧げるようにして拝んだ。

 信長が正面を向いて座ると、定秀は今度はじっくり、味わうように残りを飲んだ。

(やっぱり、不味いわ……)

 薬湯は、甘いが不味かった。

「どうだ?」

「は、飲みやすうございました。かたじけのうございます」

 偽りを口にして、頭を下げる定秀であったが、信長はくっと笑った。

「そうではない、体の具合だ」

「え?」

「変わらぬか?」

「ぐっ?」

(やはり毒だと!?)

 定秀は一気に蒼白になった。俄に目眩がしてきた。

「俺はおぬしを疑っている」

 信長の声が遠くに聞こえる。

 死という言葉が、定秀の入道した頭に過った。

「だが、無実であると冬姫が証明し、おぬしが顕忍を匿わせたことは明白ではないゆえ、不問と致す」

「え……」

 定秀は顔を上げた。まだ目眩がする気がするのは何故なのか。

「ついては、川副四郎兵衛という者のことだが――」

 定秀の頭はついて行かない。信長の話はいつも突飛で、慣れない者には脈絡なく感じてしまう。

「寄越せ」

「……は?」

「妙な返事よな、語尾を上げて言う奴があるか?そういえば、おぬしの孫も語尾を上げて、はいとよく返事しておったな。似ておるわ」

 冗談に笑う信長。

 その間、定秀の頭はようやく動き出した。

(不問にする代わりに、四郎兵衛を献上せよとな?しかし、何故四郎兵衛を?)

 理由はわからない。だが、断る理由もない。定秀にとって、四郎兵衛はそこまで重要ではない。

「先日、報告に来た時の受け答えが気に入った。酌に付ける。よって、この小田に仕えさせる」

「は、酌様に。これは思いがけないお引き立て。四郎兵衛に代わって、御礼申し上げまする」

 一転して、揉み手でも出そうなほどの定秀の愛想。

「四郎兵衛は幸運に恵まれました。それがしも羨ましいくらいです」

 信長はただ頷いた。

 信長はやがて、定秀を残して部屋を出て行った。鶴姫の所へ行ったのだろう。

 信長と定秀のやり取りを、お鍋は隣室に潜んでじっと聞いていた。信長が出て行ったのを確認すると、お鍋は定秀の前に姿を現した。

 定秀の前には空の茶碗があるだけだ。

「茶室で一服いかがです?」

 もてなしらしいもてなしもしていなかったのでと、お鍋は誘った。

「……は」

 定秀は一瞬で、一気に老けきったように見えた。

「お疲れになったでしょう?おくつろぎ下さい」

 精神的に疲労困憊なので、定秀は反射的に頷いてしまった。

「真実は冬姫様がうやむやになさったけれど、お屋形様もそれで良しとされたのね。でも、お屋形様は真実をお見通しになっておられます。それをあえて不問にすると仰有ったに過ぎない。不問になさる故、処罰を受けることも、表沙汰になることもないでしょう。でも、蒲生家への信頼は失墜しました、私は――」

 私はと、お鍋は敢えて語尾に付け加えた。

 定秀には言いたいことは伝わったが、それでも真実を白状しない。だが、お鍋は朗らかに花びらのように微笑んだ。

「でも、もういいわ。姫様に免じて、私ももう許すことにしました。姫様の蒲生家を、姫様を私は信じます」

 定秀が顔を上げた。

「わしは御身に随分な仕打ちを、これまで――」

 それを水に流すというお鍋が信じられない。

「あら、悔いていらっしゃるの?反省していらっしゃる?」

「……」

「確かに、色々されました。ずっと恨んでいた。でも、それは私の個人的な感情ですから。私は今は織田の人間。同じ織田の姫様の家を、頼りにしないでどうします。だから、これまでの私の感情は捨てます。共に織田をもり立てて行きましょう。共に織田のために生きるのですから、私もあなた方も」

「……すまなかったと……思うてはいるので……」

「許せば、仲間となる。許さねば、永遠に敵。もういいんです。さ、茶室に行きましょう」

 定秀は床に手をつき、お鍋に向かって深く平伏した。床に額がこすりついていた。

 その日のうちに、冬姫と共に中野城へと戻って行った定秀。その腕には壺が抱えられていた。信長に持たされたのだ。腰痛の薬だとて――。先程飲まされたものと同じである。

 腰痛に悩む者が壺など抱えては、余計に腰が痛くなるのではと案じられるが、腰に負担がくるほどの大きさでもなく、非常に軽くもあった。

 定秀は近頃、何もしていなくても腰が痛い。日野と小田を往復すれば、かなり悪化すると思われる。

 馬を降りて、中野城の城門をくぐり、冬姫と歩いていると、冬姫が案じて訊いてきた。

「お体のお加減は?その壺、私がお持ち致します」

「ふむ、そうやの……」

 振り返って壺を渡そうとしたところで、上目遣いになり、定秀は妙な表情を浮かべた。しばしそのまま静止し、やがて首を傾げた。

「あれ、おかしいの、なんともない……」

 腰が痛くないのだ。

「わあ!」

 冬姫は無邪気に声を上げた。

「もしや、その薬が効いたのではございませんか?」

「これですかの?」

 定秀は壺を見下ろした。

 信長に一服もらったのは、毒どころか本当によく効く薬だったようだ。

 定秀は狐につままれたような顔。それでも、手を伸ばしてくる冬姫に壺を渡した。

「良きお薬。有難きことです。冬姫君からも、お父上様に御礼申して下され」

「はい」

 冬姫はまた素直に返事した。

 定秀は再び歩こうとして、しかし、やめ、冬姫を見やった。

「姫君は心底蒲生に尽くして下されますの。此度の一連の騒動、丸くおさまったは、全て姫君のご尽力のおかげ。改めて御礼申し上げます。今日のことも。いや、正直驚きました」

「父が忠三郎様を息子にと、望んでいることですか?」

「それもやが……」

「父の後を継ぐのが忠三郎様だということですか?」

「ううむ、姫君、それを本気にしておられるか?」

「はい。父は本気です」

 冬姫も信長も本気だと、彼女は頷く。

「しかしの……姫君、ご嫡男の信忠様がおわしましょう?」

「はい。織田家を継ぐのは兄です。父の志を継ぐのが忠三郎様。父はこのまま天下をとるつもりなので、忠三郎様がその後の天下様なのです」

「なんですと?天下様も信忠様が継ぐものでしょう?織田の家督を継ぐ方が天下の儀も……」

 言いかけて、定秀はそら恐ろしい心地がした。

「まさかお屋形様は姫君に、まことに忠三郎のことを、左様に……?」

 冬姫は急に凛然とした。

「だから、何がなんでも蒲生家をお守りしなければなりません。もしも、織田の家督と天下の座が異なることで、将来争いとなるのでしたら、私が鬼になりましょう。織田の家督も忠三郎様にお継ぎ頂きます」

「そそ、そのようなこと……」

 定秀は冬姫の目にたじろいだ。どんな悪事も全て見通している目だ。

「女には善悪は関係ありません。女の判断基準は好きか嫌いか。女の私には、父の決めたお婿様が全てですもの。たとえ忠三郎様が世間の目に悪と映ることを遊ばしても、私には忠三郎様だけが正義、忠三郎様に批判的な者全てが、私には悪です」

 必死に言う冬姫に、やがて笑みが戻ってきた定秀は、やはりお鍋を長年振り回してきた男なのだ。

 以後、決して信長には逆らわず、蒲生家ほど信長に忠義を尽くした家はなかった。

 部屋に戻ると、定秀は医師を呼び、信長からもらった壺の中身を預けた。

「それやいったいいかなる薬かのう?調べてくれい」
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