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三年経ちました。
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月日は流れ、私は十八歳になっていた。
三年の間にレオンは大きくなり、二メートルくらいになっていた。
ジーンともある程度の意思疎通ができるようになり、毎日順調に狩りを続けていた。
そんなある日、Aランクの依頼にドラゴンの調査というものが出た。
私はCランクだから受けられない。けれどそのドラゴンがもしもレイだったらと思うと、放っておくわけにはいかない。
私はドラゴンに会いに行くことにした。
もしかしたらそのままこの国を離れることも考えて、食料なども買い込んだ。
そしてドラゴンがいるという岩山に向かった。
岩山に向かう途中、冒険者の一団を見た。
私達は彼らを追い抜いて行こうとしたけど、その中の一人から声をかけられた。
「おい、お前!」
私は仕方なく立ち止まった。
「……何ですか?」
「どこに行くんだ?」
「……ヤルタの森です」
「ヤルタの岩山にはドラゴンが出るから、絶対近づくなよ」
「わかりました」
どうやら心配してくれたらしい。
私はペコリとお辞儀をしてから走り出した。
岩山に着くと、レオンが『怖いのがいるー』とそわそわし出した。
ジーンはドラゴンの気配には気づかないのか、いつも通りだ。
私はレオンに「怖いのがいる所に案内してくれる?」と訊いたらレオンは嫌がった。
「じゃあ、レオンはここで待ってる?」
『やだ!……あるじと一緒に行く』
「じゃあ、案内してくれる?」
『ぅー……わかった』
そしてレオンは歩き出した。
私とジーンはレオンの後に続き、慎重に歩いた。
場合によってはドラゴンと戦闘になるかもしれない。
レイに会いたいけど、レイじゃなければいい。
そんな思いを抱えて、私は前に進んでいた。
『っ! 怖いのが来る!』
レオンが叫んですぐに頭の中に声が聞こえた。
『ドラゴンの娘よ、我に何の用だ』
見上げると、上空にドラゴンの姿があった。
私はゴクリと唾を飲み込み、ドラゴンに答えた。
「そのうちここに人間がやって来ます」
『人間? そんなものが何だというのだ』
「あなたを退治しに来るかもしれません」
『それなら返り討ちにしてやろう』
「……そうですか」
レイじゃないのなら、どうなっても自己責任ということでいいだろう。
私は街に帰ることにした。
「私は帰りますが、気をつけてくださいね」
私がそう言うと、ドラゴンはフンッと笑って去って行った。
「レオン、ジーン、帰ろうか」
そう声をかけると、二匹はホッとしたような顔をした。
私は二匹を撫でてから、来た道を引き返した。
そして岩山を出た所で、途中で会った冒険者の一団のことを思い出した。
このまま帰ると彼らに会ってしまう。
私は方向転換して、ヤルタの森に向かうことにした。
「レオン、ジーン、森に行こう」
『森ー! 狩りー?』
「そう。狩りだよ」
狩りと聞いて、二匹に元気が戻った。
私達は走って森へと向かったのだった。
三年の間にレオンは大きくなり、二メートルくらいになっていた。
ジーンともある程度の意思疎通ができるようになり、毎日順調に狩りを続けていた。
そんなある日、Aランクの依頼にドラゴンの調査というものが出た。
私はCランクだから受けられない。けれどそのドラゴンがもしもレイだったらと思うと、放っておくわけにはいかない。
私はドラゴンに会いに行くことにした。
もしかしたらそのままこの国を離れることも考えて、食料なども買い込んだ。
そしてドラゴンがいるという岩山に向かった。
岩山に向かう途中、冒険者の一団を見た。
私達は彼らを追い抜いて行こうとしたけど、その中の一人から声をかけられた。
「おい、お前!」
私は仕方なく立ち止まった。
「……何ですか?」
「どこに行くんだ?」
「……ヤルタの森です」
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「わかりました」
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岩山に着くと、レオンが『怖いのがいるー』とそわそわし出した。
ジーンはドラゴンの気配には気づかないのか、いつも通りだ。
私はレオンに「怖いのがいる所に案内してくれる?」と訊いたらレオンは嫌がった。
「じゃあ、レオンはここで待ってる?」
『やだ!……あるじと一緒に行く』
「じゃあ、案内してくれる?」
『ぅー……わかった』
そしてレオンは歩き出した。
私とジーンはレオンの後に続き、慎重に歩いた。
場合によってはドラゴンと戦闘になるかもしれない。
レイに会いたいけど、レイじゃなければいい。
そんな思いを抱えて、私は前に進んでいた。
『っ! 怖いのが来る!』
レオンが叫んですぐに頭の中に声が聞こえた。
『ドラゴンの娘よ、我に何の用だ』
見上げると、上空にドラゴンの姿があった。
私はゴクリと唾を飲み込み、ドラゴンに答えた。
「そのうちここに人間がやって来ます」
『人間? そんなものが何だというのだ』
「あなたを退治しに来るかもしれません」
『それなら返り討ちにしてやろう』
「……そうですか」
レイじゃないのなら、どうなっても自己責任ということでいいだろう。
私は街に帰ることにした。
「私は帰りますが、気をつけてくださいね」
私がそう言うと、ドラゴンはフンッと笑って去って行った。
「レオン、ジーン、帰ろうか」
そう声をかけると、二匹はホッとしたような顔をした。
私は二匹を撫でてから、来た道を引き返した。
そして岩山を出た所で、途中で会った冒険者の一団のことを思い出した。
このまま帰ると彼らに会ってしまう。
私は方向転換して、ヤルタの森に向かうことにした。
「レオン、ジーン、森に行こう」
『森ー! 狩りー?』
「そう。狩りだよ」
狩りと聞いて、二匹に元気が戻った。
私達は走って森へと向かったのだった。
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