夢の彼方に生まれ変わって

ドラゴンに再会しました。

　翌朝、身体が少しだるかった。
　あのドラゴンに精気を与えた影響だ。
　大事をとって、今日は休むことにした。

　朝食をとって部屋に戻り、ベッドに横になる。そしてまた夢の中に入る。

　夢の中を渡り歩いていると、またあのドラゴンの精気を感じた。
　私はその夢から遠ざかろうとした。
　しかしドラゴンの夢は私を追っているかのように近づいて来る。
　私は観念して、その夢に飲み込まれた。

　夢の中に入ると、あのドラゴンが私を見て嬉しそうに駆け寄ってきた。
　そして私の足下にやって来て身体をすり寄せてくる。
　すっかり元気になったようで安心した。
　それに、あの卵みたいな膜がなくなっているから、無事に卵から生まれたのだろう。
　良かった。
　私はドラゴンの夢から去ることにした。
　せっかく回復したドラゴンから精気を吸うわけにはいかない。
　また弱ってしまってはたいへんだ。
　私はドラゴンの頭を撫でながら言った。

「私はもう行くけど、元気でね」

　するとドラゴンは別れを嫌がるように、私の服に噛みついた。
　私を行かせまいとしているようだ。
　可愛いなあと思いながら、私はドラゴンの姿になって夢の中から飛び去った。

「キュウ！」

　ドラゴンの鳴き声が、行かないで！　と言っていた。
　私は後ろ髪を引かれる思いで、その夢から遠ざかっていったのだった。