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生まれ変わってました。

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 私はあの時死んで、この恐竜のような生物に生まれ変わったようだった。
 私をベロベロしているこの生物は私を食べたものに似ているが、同じかどうかはわからない。
 たぶん今の私の親なのだろう。黒い鱗がそっくりだ。
 恐竜のようにも見えるが、西洋のドラゴンのようにも見える。
 地球の恐竜が生き残っているとは考えにくいから、これはファンタジーな生き物のドラゴンなのかもしれない。
 しかしこれは世にいう異世界転生というものなのか、それとも地球にドラゴンが住んでいたのか……。
 まあ、夢魔だってファンタジーな生き物だし、ドラゴンがいたっておかしくないよね。
 そう思うが、たぶん異世界転生のほうが確率は高いだろう。

 ――ところで、私の前世の身体はどうなったんだろう。
 魂が食べられてしまったのだから、きっと身体のほうも死んでしまったに違いない。
 お父さんとお母さん、悲しんでるだろうな。
 そう思うと悲しくなるが、今突きつけられている現実にも悲しくなってくる。

 目の前にはウサギの死体。
 これを食べろということらしいが、人間だった私には無理だ。

 食べずにいたら、ドラゴン(?)がご丁寧に噛み砕いてくれた。
 それでも私が食べずにいたら、しばらくするとドラゴンはウサギを自分で食べてしまった。
 そしてそのままどこかに行ってしまった。

 ……何もない洞窟に、私だけが残された。

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