41 / 60
エーリリア様?
しおりを挟む
今度も一緒に行くのはガーランドさんとリーズだった。
「またよろしくね、リーズ」
「キュルル」
私が頭を撫でると、リーズは自分から擦り付けてきた。
私がリーズを撫でていると、ガーランドさんが見ているのに気がついた。
私はハッとしてグレイス様を見た。彼はすでに竜上にいた。
私が慌ててリーズによじ登ろうとしたら、ガーランドさんが手を貸してくれた。
「そんなに慌てなくても、置いて行ったりしない」
グレイス様に言われて、恥ずかしくなった。
エーリリア様はとても気さくな方だった。
「わざわざ来てもらって、ごめんなさいね」
足を怪我したという彼女は、ずいぶんと元気だった。
「痛み止めの薬草が効いてるから、今は全く痛くないの」
そう言って朗らかに笑う。
エーリリア様は黒い髪と青い瞳で、王族というよりお金持ちのご婦人という感じだ。
アウトゥール殿下と似た所もなく、聞いていなければ王族とは分からなかっただろう。
旦那さんは宝石を扱う商人だという。
買い付けについて来て事故にあったのだそうだ。
そんなことを、治療院に着いてからエーリリア様から聞いた。
彼女はとても話好きで、グレイス様が言ってくれなければ治療を始められなかった。
だが、彼女のおかげでだいぶリラックスできて、その後の同調も術式を編むのも順調に進み、怪我を完全に治すことができた。
帰り際、キューちゃんを触らせてほしいというので渡したら、撫で回して嫌がられていた。
そういう所はアウトゥール殿下と一緒なんだな、と思った。
その後も毎日のようにグレイス様と外出することになった。
ほとんどが病や怪我の治療のためだが、たまに魔獣を結界に閉じ込めたりして倒す手伝いをした。
それと、アウトゥール殿下が時々逃げ出して、その行方を追うこともあった。
殿下の行き先はほとんどが海岸沿いの町だが、たまに地方の町のお祭りなんかにも参加してたりして、人混みの中から捜すのに色々と苦労した。
しかし術を使って捜すのに慣れると、キューちゃんを連れて歩けばすぐに殿下を見つけられるようになった。
そうなると、グレイス様が忙しい時は私達だけで殿下捜しを命じられるようになった。
キューちゃんを子猫に変える術は教えてもらったので、必ず掛けてから出かけるようにしている。
キューちゃんは、カーラさんが作ってくれた腰に巻く小さなバッグに入れて連れ歩いている。ポケットのような袋が前についていて、その中のキューちゃんをいつでも確かめられるので安心だ。
カーラさんには本当に感謝している。いつか恩返しができるといいなと思っている。
「またよろしくね、リーズ」
「キュルル」
私が頭を撫でると、リーズは自分から擦り付けてきた。
私がリーズを撫でていると、ガーランドさんが見ているのに気がついた。
私はハッとしてグレイス様を見た。彼はすでに竜上にいた。
私が慌ててリーズによじ登ろうとしたら、ガーランドさんが手を貸してくれた。
「そんなに慌てなくても、置いて行ったりしない」
グレイス様に言われて、恥ずかしくなった。
エーリリア様はとても気さくな方だった。
「わざわざ来てもらって、ごめんなさいね」
足を怪我したという彼女は、ずいぶんと元気だった。
「痛み止めの薬草が効いてるから、今は全く痛くないの」
そう言って朗らかに笑う。
エーリリア様は黒い髪と青い瞳で、王族というよりお金持ちのご婦人という感じだ。
アウトゥール殿下と似た所もなく、聞いていなければ王族とは分からなかっただろう。
旦那さんは宝石を扱う商人だという。
買い付けについて来て事故にあったのだそうだ。
そんなことを、治療院に着いてからエーリリア様から聞いた。
彼女はとても話好きで、グレイス様が言ってくれなければ治療を始められなかった。
だが、彼女のおかげでだいぶリラックスできて、その後の同調も術式を編むのも順調に進み、怪我を完全に治すことができた。
帰り際、キューちゃんを触らせてほしいというので渡したら、撫で回して嫌がられていた。
そういう所はアウトゥール殿下と一緒なんだな、と思った。
その後も毎日のようにグレイス様と外出することになった。
ほとんどが病や怪我の治療のためだが、たまに魔獣を結界に閉じ込めたりして倒す手伝いをした。
それと、アウトゥール殿下が時々逃げ出して、その行方を追うこともあった。
殿下の行き先はほとんどが海岸沿いの町だが、たまに地方の町のお祭りなんかにも参加してたりして、人混みの中から捜すのに色々と苦労した。
しかし術を使って捜すのに慣れると、キューちゃんを連れて歩けばすぐに殿下を見つけられるようになった。
そうなると、グレイス様が忙しい時は私達だけで殿下捜しを命じられるようになった。
キューちゃんを子猫に変える術は教えてもらったので、必ず掛けてから出かけるようにしている。
キューちゃんは、カーラさんが作ってくれた腰に巻く小さなバッグに入れて連れ歩いている。ポケットのような袋が前についていて、その中のキューちゃんをいつでも確かめられるので安心だ。
カーラさんには本当に感謝している。いつか恩返しができるといいなと思っている。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
毒はお好きですか? 浸毒の令嬢と公爵様の結婚まで
屋月 トム伽
恋愛
産まれる前から、ライアス・ノルディス公爵との結婚が決まっていたローズ・ベラルド男爵令嬢。
結婚式には、いつも死んでしまい、何度も繰り返されるループを終わらせたくて、薬作りに没頭していた今回のループ。
それなのに、いつもと違いライアス様が毎日森の薬屋に通ってくる。その上、自分が婚約者だと知らないはずなのに、何故かデートに誘ってくる始末。
いつもと違うループに、戸惑いながらも、結婚式は近づいていき……。
※あらすじは書き直すことがあります。
※小説家になろう様にも投稿してます。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる