ドラゴン観察日記

早瀬 竜子

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エーリリア様?

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 今度も一緒に行くのはガーランドさんとリーズだった。

「またよろしくね、リーズ」
「キュルル」

 私が頭を撫でると、リーズは自分から擦り付けてきた。

 私がリーズを撫でていると、ガーランドさんが見ているのに気がついた。
 私はハッとしてグレイス様を見た。彼はすでに竜上にいた。
 私が慌ててリーズによじ登ろうとしたら、ガーランドさんが手を貸してくれた。

「そんなに慌てなくても、置いて行ったりしない」

 グレイス様に言われて、恥ずかしくなった。





 エーリリア様はとても気さくな方だった。

「わざわざ来てもらって、ごめんなさいね」

 足を怪我したという彼女は、ずいぶんと元気だった。

「痛み止めの薬草が効いてるから、今は全く痛くないの」

 そう言って朗らかに笑う。

 エーリリア様は黒い髪と青い瞳で、王族というよりお金持ちのご婦人という感じだ。
 アウトゥール殿下と似た所もなく、聞いていなければ王族とは分からなかっただろう。
 旦那さんは宝石を扱う商人だという。
 買い付けについて来て事故にあったのだそうだ。
 そんなことを、治療院に着いてからエーリリア様から聞いた。
 彼女はとても話好きで、グレイス様が言ってくれなければ治療を始められなかった。
 だが、彼女のおかげでだいぶリラックスできて、その後の同調も術式を編むのも順調に進み、怪我を完全に治すことができた。

 帰り際、キューちゃんを触らせてほしいというので渡したら、撫で回して嫌がられていた。
 そういう所はアウトゥール殿下と一緒なんだな、と思った。




 その後も毎日のようにグレイス様と外出することになった。

 ほとんどが病や怪我の治療のためだが、たまに魔獣を結界に閉じ込めたりして倒す手伝いをした。
 それと、アウトゥール殿下が時々逃げ出して、その行方を追うこともあった。
 殿下の行き先はほとんどが海岸沿いの町だが、たまに地方の町のお祭りなんかにも参加してたりして、人混みの中から捜すのに色々と苦労した。
 しかし術を使って捜すのに慣れると、キューちゃんを連れて歩けばすぐに殿下を見つけられるようになった。
 そうなると、グレイス様が忙しい時は私達だけで殿下捜しを命じられるようになった。
 キューちゃんを子猫に変える術は教えてもらったので、必ず掛けてから出かけるようにしている。
 キューちゃんは、カーラさんが作ってくれた腰に巻く小さなバッグに入れて連れ歩いている。ポケットのような袋が前についていて、その中のキューちゃんをいつでも確かめられるので安心だ。
 カーラさんには本当に感謝している。いつか恩返しができるといいなと思っている。
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