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トカゲで納得しない?
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セイジさんは、羽のあるトカゲに似た生き物は竜くらいしかいないと言う。
しかし竜はとても大きな生き物で、村で飼うのは無理だと言われた。
「じゃあ、大きくなるまでだったらいいでしょう?」
「大きくなったらどうするんだい?」
「その時は森に帰します」
「でもなあ……」
「それより、竜の赤ちゃんは何を食べるんですか?」
強引に話題を変えて、最初の目的だった質問をする。
「たしか竜は雑食のはずだ」
「何でも食べるってことですか?」
「肉が好きかもしれんが……」
「でも何でも食べるんですね?」
「まぁ、そうだな。たぶん」
さすがのセイジさんでも、はっきりとは言えないようだ。
「王都には竜騎士がいるから、人が飼うこともできるだろうが……」
やっぱり村で飼うのは反対らしい。
何と言われようと、キューちゃんを飼うのは決定だ。あとはどうやって両親を説得するかだ。
「ただいま」
「おかえり。そのトカゲ、何を食べるって?」
家に帰ると母が言った。母の中では、トカゲということになっているらしい。
「雑食だって言ってたよ」
このままトカゲだということにできないかな。
父さえ疑ってなければなあ……。
母と姉はトカゲで納得してるのに。なんで父は納得しないんだ。
父が帰ってきて、すぐに言った。
「セイジさんはなんて言ってた?」
「雑食だって言ってたよ」
「トカゲじゃないって言われなかったか?」
とぼけるのは無理のようだ。
「竜だって」
「竜!?」
なんでもないことのように言ってみたけど駄目だった。
「竜ってアレだろ!? デカくて空飛ぶヤツ!」
「肉食なんじゃないの!?」
「人間を食べるの!?」
大騒ぎになった……。
とりあえず、セイジさんに聞いた竜についての話をした。
竜は雑食で、人が飼うこともできる。王都には竜騎士がいて(訓練すれば)騎獣にできる。頭が良くて、人の言葉を理解する竜もいるらしい。……など。
飼えるように言葉を選んで頑張った。そのおかげで、とりあえず小さいうちは飼ってもいいということになった。
しかし、家で飼えなくなったらどうするか、父がセイジさんと相談することになった。
とりあえず飼えることになったけど、セイジさんとの話し合いの結果が出るまでは油断できない。
「キュ」
キューちゃんが目を覚まして羽をパタパタする。
ミルクを上げながら、羽を撫でる。まだ少しクシャクシャしている。
最初に飛んだ時以外はまだ一度も飛んでいない。
飛び回るようになったら隠しておくのは無理だなとため息をついた。
ミルクを飲み終わるとまた丸くなって寝てしまった。キューちゃんはとにかくよく眠る。
セイジさんの所でもずっと眠ったままだった。ミルクを飲む時と排泄の時だけ起きる。
キューちゃんにはまだミルク以外は上げていない。セイジさんも、しばらくはミルクだけで様子を見て、他に欲しがったら少しずつ与えていけばいいんじゃないかと言っていた。
家に竜について書かれた本があるはずだから、探してみるそうだ。それが見つかったら、色々なことが分かるはずだ。
キューちゃんのお腹を撫でると、くぴっと言う。
気持ち良さそうに眠るキューちゃんの頭を撫でながら、ずっと手放さずにすむにはどうしたらいいだろうと考えていた。
しかし竜はとても大きな生き物で、村で飼うのは無理だと言われた。
「じゃあ、大きくなるまでだったらいいでしょう?」
「大きくなったらどうするんだい?」
「その時は森に帰します」
「でもなあ……」
「それより、竜の赤ちゃんは何を食べるんですか?」
強引に話題を変えて、最初の目的だった質問をする。
「たしか竜は雑食のはずだ」
「何でも食べるってことですか?」
「肉が好きかもしれんが……」
「でも何でも食べるんですね?」
「まぁ、そうだな。たぶん」
さすがのセイジさんでも、はっきりとは言えないようだ。
「王都には竜騎士がいるから、人が飼うこともできるだろうが……」
やっぱり村で飼うのは反対らしい。
何と言われようと、キューちゃんを飼うのは決定だ。あとはどうやって両親を説得するかだ。
「ただいま」
「おかえり。そのトカゲ、何を食べるって?」
家に帰ると母が言った。母の中では、トカゲということになっているらしい。
「雑食だって言ってたよ」
このままトカゲだということにできないかな。
父さえ疑ってなければなあ……。
母と姉はトカゲで納得してるのに。なんで父は納得しないんだ。
父が帰ってきて、すぐに言った。
「セイジさんはなんて言ってた?」
「雑食だって言ってたよ」
「トカゲじゃないって言われなかったか?」
とぼけるのは無理のようだ。
「竜だって」
「竜!?」
なんでもないことのように言ってみたけど駄目だった。
「竜ってアレだろ!? デカくて空飛ぶヤツ!」
「肉食なんじゃないの!?」
「人間を食べるの!?」
大騒ぎになった……。
とりあえず、セイジさんに聞いた竜についての話をした。
竜は雑食で、人が飼うこともできる。王都には竜騎士がいて(訓練すれば)騎獣にできる。頭が良くて、人の言葉を理解する竜もいるらしい。……など。
飼えるように言葉を選んで頑張った。そのおかげで、とりあえず小さいうちは飼ってもいいということになった。
しかし、家で飼えなくなったらどうするか、父がセイジさんと相談することになった。
とりあえず飼えることになったけど、セイジさんとの話し合いの結果が出るまでは油断できない。
「キュ」
キューちゃんが目を覚まして羽をパタパタする。
ミルクを上げながら、羽を撫でる。まだ少しクシャクシャしている。
最初に飛んだ時以外はまだ一度も飛んでいない。
飛び回るようになったら隠しておくのは無理だなとため息をついた。
ミルクを飲み終わるとまた丸くなって寝てしまった。キューちゃんはとにかくよく眠る。
セイジさんの所でもずっと眠ったままだった。ミルクを飲む時と排泄の時だけ起きる。
キューちゃんにはまだミルク以外は上げていない。セイジさんも、しばらくはミルクだけで様子を見て、他に欲しがったら少しずつ与えていけばいいんじゃないかと言っていた。
家に竜について書かれた本があるはずだから、探してみるそうだ。それが見つかったら、色々なことが分かるはずだ。
キューちゃんのお腹を撫でると、くぴっと言う。
気持ち良さそうに眠るキューちゃんの頭を撫でながら、ずっと手放さずにすむにはどうしたらいいだろうと考えていた。
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