タルパと夜に泣く。

seitennosei

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タルパと夜に泣く。

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それが合図となり二人同時に噛み付く様なキスをした。
両手で清太郎の頭を掻き抱きながら舌を伸ばして奥まで貪る。
清太郎は舌を絡めながらパンツとジャージを脱ぎ捨て、私のショーツも剥ぎ取ると適当に投げ捨てた。
口が離れる最後の瞬間まで私の下唇を強く吸いながら名残惜しそうな視線をよこす。
つられて見詰め合う。
言わなくても分かった。
早く欲しい。
膣に硬い先端が宛てがわれる。
内へ内へと誘い込もうと収縮しているのが自分でも分かった。
依然無言のままギラギラとした目で清太郎が私を見下ろしていて。
身体が疼きすぎて頭が可笑しくなりそうだ。
ヒクヒクと腰が揺れてしまう。
清太郎のウエスト辺りに太腿を擦り付けて催促すると、応える様にぬちっと微かな音をたて私の中へと入ってきた。
ゆっくりと確実に。
それは想像以上に熱く思っていた以上の快楽をもたらす。
迎え入れる内壁が腫れて充血している。
ただの摩擦でさえ身震いする程気持ちが良い。
今までに経験がない程の快感が怖くて。
ググッと押し入ってくる感覚に混乱して咄嗟に少しだけ腰を引いてしまった。
それを清太郎は強引に引き寄せてる。
「逃げんな。」
「んーっ。…やっぁ。」
堪えきれず声が洩れた。
それでもお構いなしに押し込まれ。
「はっ。」
グリッと最奥を先端で潰され、背中が伸びて息が詰まった。
じんわりと心が満たされる感覚と下腹部から脳まで登ってくる快感。
それが合わさり本当に可笑しくなってしまうかと思う。
清太郎は顔を歪め何度も深く息を吐きながら何かに耐えている。
私の身体を味わい余裕を無くす程感じていのだと思えば全てが愛おしかった。
手を伸ばして清太郎の髪を撫でる。
この人は今までに何人の女の人を抱いてきたのだろう。
どれだけの人がこの表情を知っているのだろう。
私だけなら良いのに。
早くも湧き上がる独占欲。
自身の心が醜くて嫌になった。
清太郎は伸ばされた私の手に頬擦りをしながら口を開く。
「…やべぇ…。気持ちいい…。」
情けない困ったような笑顔。
愛おしくて仕方がない。
「入れただけなのに…何でこんな気持ちいいんだ?ナマだから?俺の妄想だから?こんなの絶対ハマっちゃうだろ…。」
目の前のこの人は、今私で気持ちよくなってくれてる。
他の人とはナマでしたことないんだ。
こんな言葉一つで嬉しくなり胸のモヤがパッと晴れた。
「あー…。動いたら直ぐイッちゃいそう…。勿体ねぇ…。でも動きてぇ…。」
一人で葛藤している清太郎を無視して私は早く気持ち良くなりたくて腰を揺らす。
ぬちぬちと結合部分から卑猥な音が響いた。
「ちょっ…。煽んな。」
困惑している顔を見ていると込み上げてくる笑いを堪えられない。
「お前、ホントに思い通りになんねぇな。」
「ふふ。清太郎が無意識下でこれを望んでるって事だよ。」
納得がいかない顔で目を細めながらも、清太郎は身体を動かし出す。
がっしりと腰を掴まれた状態で奥まで何度も叩きつけられた。
「んっ、あっ、あぁ…。」
嬌声が止まない。
緩急もなく強引に奥を潰されているだけの自分本位な動き。
なのに不思議と痛みはない。
寧ろもっとして欲しいとすら思った。
きっと彼女や好きな人が相手ならばもっと大切に抱くのだろう。
私は好き勝手に扱うために生み出された存在だ。
でもだからこそ100%純粋に欲してくれている。
ここまで誰かに強く求められた事はなない。
それが例え「町田手毬」本体でなくても。
今私という存在が切望されている事に強い幸福感を覚えている。
清太郎は急に動きを止めると奥をグリグリと刺激し始めた。
「ふっ…。う、ん。」
口を結んでも鼻にかかった情けない声が洩れてしまう。
「はーっ。俺、今…何もない空間に向かって…間抜けに腰振ってんのかな?…それとも、夢見てるみたいに、寝てんのかな?」
「んっ、知らなっ…。」
「あー、駄目だ。めちゃくちゃ気持ち良い…。もうイク…。」
そう宣言し清太郎は再び激しく動き出す。
肌が粟立つ程の幸福感。
断続的に襲ってくる快感にでなく必死に求めてくる清太郎に対して私は満足していた。
一つ突かれる度に胸の内が温まっていき心が満たされていく。
「んっ…、清太郎…。」
名を呼びながら手を伸ばし引き寄せた。
またどちらとも無くキスをする。
「むっ…んっ。」
地上なのに溺れそうに酸素が足りない。
息継ぎの合間に吐き出される声。
「ふっ…い、イク…。」
グッときつく抱きしめられる身体。
そして清太郎は私の中で何度も跳ねた。

天井を眺めながらぼんやりと思う。
中出しって意外と地味だなと。
もっと漫画や小説の様に勢いよくビューッと飛び出し「中に出てるぅ~」みたいな感じになるものだと思っていた。
でも実際はスキンを着けている時と何ら変わらず、ぴょこぴょこと中で跳ねている感覚がするだけで特別な事は何も感じない。
それよりも寧ろそんな事で満足気な顔になり「中出し気持ちいい…。」と私の上で呟いている清太郎が、ただひたすらに愛おしく思えて仕方なかった。
倒れ込んでくる身体を抱き締める。
Tシャツに汗が滲む背中を摩りもう片手で頭をワシワシと撫でてやると、まるで子供が甘えるように頬擦りをしてきた。
もう何度目か分からない幸福感がまた胸にジワッと広がる。
「好きだよ。アナ。」
ドキリと反応する心臓。
そして直前まで幸せに満ちていた心が急激に冷えた。
私は好意を受け喜んだ。
でもそれは手毬にではない。
感情が忙しくて自分でも自身が何を感じているのか理解するのに時間が掛かってしまう。
嬉しい、幸せ、気持ち良い。
でも唐突に悲しい、辛い、虚しい。
あ、そうか。
私は今「虚しい」んだ。
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