傾く方へ

seitennosei

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その後の二人。

一生敵わない。

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「ユリ腹減った…。引越し蕎麦作ろうよ。」
玄関に入るなり木内さんが言った。
私は大量のダンボールが積まれている室内を見渡す。
「えー。まだダンボール1つも開けてないのに?」
「だって朝から殆ど食べてないしさ。」
「んー、仕様がないな…。」
リビングとキッチンの境目辺りで『キッチン用品』と大きく書かれたダンボールをいくつか開封していく。
「うーんと…鍋と洗剤とスポンジとお椀と…。」
ブツブツと独り言ちながら荷物に上半身を突っ込んで漁る。
「お箸は…今は割り箸でも良いっひゃ。ちょっと!」
不意に突き出していたお尻を撫でられ跳ね起きた。
振り返ると悪戯っぽく笑う木内さん。
「パンツスタイルえろいなー。ユリもスキニーなんて持ってたんだな。お尻可愛すぎ。」
「ちょっ、こら!」
お尻の上で円を描く様に動いていた両手がスっとウエストまで上ってきた。
ビクビクと身体が揺れる。
そのまま片手はお腹に滑らせ、もう片手でスキニーのボタンがプッと外されていく。
「お蕎麦…食べるって言ったのにぃ…。」
「先にユリを食べる事にした。」
今度はゆっくりとジッパーが下ろされていき。
お腹にあった手も上に滑って、ブラをずり上げ指で先端を刺激し始めた。
「ダメぇ…。カーテンしてないし…ゴムどれに仕舞ったか分からない…。」
「ダンボールの影なら見えない。ゴムは持ってる。」
コイツ最初から荷解きそっちのけでヤル気だったな。
抵抗しようと試みるも、べろっとうなじに舌が這うと力が抜けてしまう。
「アップ可愛い…うなじエロい。後れ毛がフワフワしてるのも可愛い。」
「んっ、何で?急に。」
木内さんはもともと甘えん坊な所があったけれど、こんなにベタベタに甘い事を言ったりはしなかったのに。
今日の木内さんはどうしてしまったのだろう。
「すっぴんでダボダボの部屋着で油断し切ってるユリ可愛い。引越しの人達に見せたくなかった。しかも屈むとこんな可愛いお尻くっきりのスキニー履いててさ。」
「すっぴんで、わるかったな。んんっ…。動きやすい服…これしかなっ…い。」
「分かってるよ?引越しの日にばっちり仕事仕様にしないもんな。でも…。」
木内さんの手がウエストからショーツの中へ。
骨張った指が既に濡れていた割れ目をにゅくにゅくと往復していく。
敏感な突起や中までは触らず、焦らす様に撫でられているだけなのに、ゾワゾワと疼いて腰が揺れる。
「すぐグズグズになっちゃうからな…。ユリは。ホント心配…。」
ぬぶっと鈍い感覚を伝えながら指が挿し込まれた。
「あっ…。」
「世の中には俺みたいなクズいっぱいいるんだよ?もう俺の時みたいに押し切られて襲われたり絶対しないで。」
大丈夫なのに。
木内さんだけなんだって伝えたい。
私は流され易いし情に弱く甘い自覚もある。
だけど本当に嫌な事は嫌って言ってきた。
きっと私は最初から木内さんに触られるのが嫌じゃなかったから受け入れたんだ。
だからなのに。
「きうちさん以外はや…だ。ちゃんと嫌がるからあ。」
「ホントに?」
コクコクと頷く。
それでもまだ信じられなさそうに木内さんは指で私を試す。
焦らす様に浅く抜き挿ししていた動きから、ぐーっと最奥まで進んで私の弱い所を押し込む。
ぎゅっと締まりワナワナと腰が痙攣してしまう。
「んんーっ…。」
「ユリ最初俺の事嫌がってた。なのにすぐグズグズになってたじゃん。居なくなる前も…。黙って居なくなるほど俺の事嫌だったくせにイキまっくってたじゃん。」
「っいやじゃなかったっ。」
「泣いて嫌だって言ってた。」
胸を刺激していた手も下に降りてきた。
ぐちゅぐちゅと中を埋める指はそのままに、もう片方の手が立ち上がっている突起を転がし出す。
「ああっ。んーっ…。」
「でももう俺のだから。大事にするから俺を拒絶しないで。」
「し、ない…よ。すきだもん。きょぜっしないぃ。」
いつもと違う木内さんの様子に心配になると同時に、今まで以上に強い独占欲に私はうずうずしていた。
自分でショーツごとスキニーを膝までずり下げ、後ろ手に木内さんの張っている所をボトムの上から撫でてお強請りをする。
「…もう入れて?」
瞬間、埋まっていた指がずろっと引き抜かれ背中が反り返った。
忙しなくゴソゴソと準備をする音が静かな室内に響く。
その間木内さんは無言だったけれど、荒い息遣いと間を開けない動作音で余裕が無いのが伝わってきた。
すぐに腰が掴まれる。
続けて入口に熱いのが当てられ。
早く飲み込もうとヒクヒクと入口が吸い付くのが自分でも分かった。
「木内さん。私最初も居なくなる前も嫌がったのは木内さんが私を好きか分からなかったからだよ?泣いたのは木内さんが私より凛さんを想って居るのが悲しかったからだよ?」
「ユリ…。」
「もう早くきて。」
私の言葉を受け、ぐーっと熱が押し入ってくる。
ゆっくりなのに力強くて。
支配されているのを実感したくてわざと腰を引いて逃げると、誘われるまま木内さんは全身を使って私を捕らえにきた。
後ろからきつく抱きしめられて。
肩とウエストに回された腕が少しの隙間も許さないと言っているみたいで胸が沸いた。
じっくりと味わう様に押し込まれる。
胸の内をさらけ出したせいか、いつも以上に感じてしまう。
すぐにでも果ててしまいそうだ。
「ああぁっ…。」
「ねぇ…。じゃあ、あの時の、好きな人って…俺?」
「そうだよっ…ばかぁ。」
「っなんだよ…、はー…。頭おかしくなりそ…。」
木内さんの動きが速くなる。
つられてガクガクと全身が揺れた。
ずっと気持ちの良いところから外れなくて、耐え切れずに身を捩るけれど。
木内さんの腕がそれをさせてくれなくて。
「あぁっ。あっ…。」
やり場のない快感を逃がす様に私は殆ど叫んでいた。
意図せずぐぐっと腹部が痙攣を始める。
腰が震えて中が収縮して。
直前まで叫んでいたのが嘘みたいに今度は息が詰まって。
「んっ、ふぅっ…う。」
私は身体を跳ねながら達した。
それでも当然の様に終わらない。
呼吸がままならなくて苦しい。
動きに合わせて揺れる衣服が肌を撫でると全身に鳥肌が立った。
いつもの様にまた昇らされたまま降ろしてもらえない。
堪らなくなって声を出す。
「もうやぁ。あ、やめてぇ。」
「はぁ…、ダメ、だよ。拒否んないって、言った。」
「きょひじゃ、なっ…い。ちがっあぁっ。やだって、いわせて。」
無言の木内さん。
拗ねている様な怒っている様な気配がする。
私を包んでいた両手がスっと腰まで滑り、強く固定すると今まで以上に速く打ち付けてきた。
「やあぁっ…。」
「なんでだよ。拒否んな。嫌がんな。」
「ちがっ。ああ、すきなのぉ。」
「はぁ…、なにが?」
木内さんは動きを緩めると苛立った声で問い掛けてきた。
私は顔だけ振り向いて懇願する。
「やだって言って…のにぃ。やめてくれないのが…すきなのっ…。」
「っ…。」
「やだって言ってもやめないっ…やあぁっ。」
言い終わる前に再開された動き。
手を使って強制的に私の腰まで振らされる。
もう一ミリの迷いもなく。
一心不乱に私を攻める木内さんを後ろに感じてゾクゾクと震えた。
「やだぁ、もっ…やぁあ。やめてぇ。」
完全な猿芝居。
それでも私が嫌がる素振りを見せると木内さんの攻めは激しさを増す。
顔を捕まれ無理矢理後ろを向かされてのキス。
押し入る舌と流し込まれる唾液。
肉体的にも精神的にも隙間なく木内さんで満たされていく。
今日、どうしていきなり木内さんがこんな風になったのかは分からない。
けれど、圧倒的な力で翻弄され抗えない悦びと、可愛い人に敢えて支配させている愉悦が混在して私は酔っていた。
「はぁ…、ユリ…っ。っ…。ふっ。」
ビクビクと身体を震わせ木内さんが吐精する。
またきつく抱きしめられ背中に鼓動が響いてきた。
2人ともに床にヘタリ込み、ぐったりとして動けなくなる中。
荒い呼吸で私の耳をくすぐりながら木内さんが呟いた。
「はぁ…、俺…ユリが怖い。」
「へ?」
「一生敵わない気がする…。」
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