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傾く方へ。
私の初めて。
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ママは男が居ないと生きていけない人だった。
私の事も優しく抱きしめてくれるけれど、大きくなるにつれ、私より男が大事なんだと見せ付けられる出来事がいくつもあった。
ママは毎晩、私を寝かし付けた後でパパに殴られていた。
そして無理矢理犯されてもいた。
夜中に目覚めてしまった時、私はその声に怯え耳を塞いで寝た振りをしていた。
ママが心配だった。
それでもパパが好きなんだって弱く笑うから、私が大きくなったら色んな物からママを守ろうって思った。
なのに私が小学校に上がる頃、パパを捨て、ママと二人で家を出る事になった。
子供みたいにママに縋るパパだった人と、それを冷たい目で見下していたママの顔が忘れられなくて、今でもたまにこの光景を夢に見る。
連れて行かれた新しい家は綺麗で大きくて。
そして知らない男の人が居た。
「今日からこの人がパパだよ」っていつもより明るい声でママが言った。
それが二人目のパパとの出会いだった。
新しいパパは本当に良い人で私にも優しかった。
世間でありがちな、連れ子を冷遇したり、性的イタズラなんて事は全くなくて。
クラスメイトが学校で話している通常の家庭のお父さんみたいにしてくれていた。
だから本物のパパより新しいパパの方が私も好きだった。
この時が一番幸せだったと思う。
毎日三人で笑って暮らした。
だけどやっぱりずっとは続かなくて。
中三の終わり頃、ママが帰ってこなくなった。
パパを愛しているけど、パパが家族になってしまった事が急に不満になったみたいだ。
最初は穏やかな幸せって思えていたのに、久しぶりに男らしい人に女扱いをされて自分が女である事を思い出せたとか何とか言っていた。
そして。
「凛子ももう義務教育じゃなくなるんだから自分で生きなさい。」
そう言って今度は私を連れて行ってはくれなかった。
パパは弱く笑って「俺を本当の親って思ってくれているなら大学出るまで家に居なさい。」って言ってくれた。
私はそれが嬉しくて。
今度はパパを守ろうってこの時に決めたんだ。
年頃の血の繋がらない娘。
裏切った女の娘。
それを引き取るって決意はどれ程の事だったのだろう?
大人になった今でもこの時のパパの覚悟は量れない。
パパは変わらず優しかった。
だけど上手に距離も取ってくれていて。
パパに男を感じることなんてなかったし、パパからイヤらしい目で見られる事もなかった。
ご近所さんも学校の人達も、事情を知っていても変に噂をたてたり遠巻きにされる事も無くて、この頃の私は世界中が優しいものなんだと信じて疑っていなかった。
そうして暫く二人で暮らしていて、私が高三になる頃。
パパの部屋のゴミ箱から女の人の名前が書いてある紙切れが出てきた。
手書きでハートとか沢山描いてあって。
お店の名前もプリントされていて。
裏を見ると「子育てお疲れ様♡疲れた時はまた癒されに来てね♡」と書いてあった。
キャバクラ?風俗?
パパが?
一気に色んな感情が噴出してきた。
汚い女にパパを取られたくない。
ずっとパパの子供で居たい。
でも負担にはなりたくない。
パパも男なんだ。
私でも良いのかな?
パパに女が出来たら?
そうしたら私はここに居られなくなってしまう。
この生活を脅かされるのが一番嫌だ。
そう思った筈なのに、この時私は一番この生活を壊す選択肢を選んでしまった。
その日仕事から帰ってきたパパを誘った。
勿論パパは乗らなかった。
裸になった私を優しく諭して「親子だから」って言って身体にそっと毛布を掛けてくれた。
恥ずかしくて悲しくて、だけど少しだけ安心して。
なのにふっと視線を落としたらパパのスラックスは歪に張り出していた。
なんだ結局勃ってんじゃん。
それに気付いた時、私の心は壊れてしまったんだ。
パパを男として好きだと、反応してくれて嬉しいと思うと同時に、なんだやっぱり本物の親子じゃないんじゃんとガッカリもした。
自分の中の感情さえ自由にならない。
張り裂けた二つの心で胸の中をゴチャゴチャにしていると、気が付いたらパパのモノを口に含んでいた。
男性経験のない小娘の捨て身の口淫。
悦い筈はないのにパパは直ぐに射精した。
口に含んだままパパの顔を見上げる。
「違う…違う…俺は玲子とは違う…。」
ずっと手で顔を覆って、うわ言みたいに繰り返していた。
久しぶりにパパの口からママの名前が聞こえて。
その瞬間、また強い感情の嵐に翻弄される。
ママに会いたい。
私はママに捨てられた。
ママなんて嫌い。
パパがまだママを想っている事が嬉しい。
違う、ママなんかより私を愛して欲しい。
パパに女として見られるのが怖い。
早くパパが欲しい。
相反する沢山の感情が生まれてきて。
沢山あるから分散するのではなく、一つ一つが胸をいっぱいにするだけの質量を持った大きな感情で。
私のキャパなんてとっくに超えて、本当に身体が爆ぜてしまいそうに壊れて。
「パパはママと違うよ?私もママとは違う。…ここにはパパと私しか居ないから…。」
ボロボロに涙を零しながら縋り付くとパパは私を抱きしめてくれた。
そうして私はパパの手によって女になった。
初めてのセックスは痛くて苦しくて全然快感なんてなかった。
だけど少しだらしない身体で一生懸命私に優しく触れてくるパパが愛しくて仕方がなくて幸せだった。
痛みで表情を歪めた私の頭を大きな手で包むと、少しシワのある目尻を情けなく下げながら「ごめんな。」と呟く。
私は「実さん。」ってパパを名前で呼んでみた。
パパは泣き出しそうな顔をした後キスをしてくれた。
初めてのキス。
口淫と処女喪失が先なんて順番がめちゃくちゃだ。
だけど、私の初めてが全部パパで良かったと思った。
本当に幸せだった。
私の事も優しく抱きしめてくれるけれど、大きくなるにつれ、私より男が大事なんだと見せ付けられる出来事がいくつもあった。
ママは毎晩、私を寝かし付けた後でパパに殴られていた。
そして無理矢理犯されてもいた。
夜中に目覚めてしまった時、私はその声に怯え耳を塞いで寝た振りをしていた。
ママが心配だった。
それでもパパが好きなんだって弱く笑うから、私が大きくなったら色んな物からママを守ろうって思った。
なのに私が小学校に上がる頃、パパを捨て、ママと二人で家を出る事になった。
子供みたいにママに縋るパパだった人と、それを冷たい目で見下していたママの顔が忘れられなくて、今でもたまにこの光景を夢に見る。
連れて行かれた新しい家は綺麗で大きくて。
そして知らない男の人が居た。
「今日からこの人がパパだよ」っていつもより明るい声でママが言った。
それが二人目のパパとの出会いだった。
新しいパパは本当に良い人で私にも優しかった。
世間でありがちな、連れ子を冷遇したり、性的イタズラなんて事は全くなくて。
クラスメイトが学校で話している通常の家庭のお父さんみたいにしてくれていた。
だから本物のパパより新しいパパの方が私も好きだった。
この時が一番幸せだったと思う。
毎日三人で笑って暮らした。
だけどやっぱりずっとは続かなくて。
中三の終わり頃、ママが帰ってこなくなった。
パパを愛しているけど、パパが家族になってしまった事が急に不満になったみたいだ。
最初は穏やかな幸せって思えていたのに、久しぶりに男らしい人に女扱いをされて自分が女である事を思い出せたとか何とか言っていた。
そして。
「凛子ももう義務教育じゃなくなるんだから自分で生きなさい。」
そう言って今度は私を連れて行ってはくれなかった。
パパは弱く笑って「俺を本当の親って思ってくれているなら大学出るまで家に居なさい。」って言ってくれた。
私はそれが嬉しくて。
今度はパパを守ろうってこの時に決めたんだ。
年頃の血の繋がらない娘。
裏切った女の娘。
それを引き取るって決意はどれ程の事だったのだろう?
大人になった今でもこの時のパパの覚悟は量れない。
パパは変わらず優しかった。
だけど上手に距離も取ってくれていて。
パパに男を感じることなんてなかったし、パパからイヤらしい目で見られる事もなかった。
ご近所さんも学校の人達も、事情を知っていても変に噂をたてたり遠巻きにされる事も無くて、この頃の私は世界中が優しいものなんだと信じて疑っていなかった。
そうして暫く二人で暮らしていて、私が高三になる頃。
パパの部屋のゴミ箱から女の人の名前が書いてある紙切れが出てきた。
手書きでハートとか沢山描いてあって。
お店の名前もプリントされていて。
裏を見ると「子育てお疲れ様♡疲れた時はまた癒されに来てね♡」と書いてあった。
キャバクラ?風俗?
パパが?
一気に色んな感情が噴出してきた。
汚い女にパパを取られたくない。
ずっとパパの子供で居たい。
でも負担にはなりたくない。
パパも男なんだ。
私でも良いのかな?
パパに女が出来たら?
そうしたら私はここに居られなくなってしまう。
この生活を脅かされるのが一番嫌だ。
そう思った筈なのに、この時私は一番この生活を壊す選択肢を選んでしまった。
その日仕事から帰ってきたパパを誘った。
勿論パパは乗らなかった。
裸になった私を優しく諭して「親子だから」って言って身体にそっと毛布を掛けてくれた。
恥ずかしくて悲しくて、だけど少しだけ安心して。
なのにふっと視線を落としたらパパのスラックスは歪に張り出していた。
なんだ結局勃ってんじゃん。
それに気付いた時、私の心は壊れてしまったんだ。
パパを男として好きだと、反応してくれて嬉しいと思うと同時に、なんだやっぱり本物の親子じゃないんじゃんとガッカリもした。
自分の中の感情さえ自由にならない。
張り裂けた二つの心で胸の中をゴチャゴチャにしていると、気が付いたらパパのモノを口に含んでいた。
男性経験のない小娘の捨て身の口淫。
悦い筈はないのにパパは直ぐに射精した。
口に含んだままパパの顔を見上げる。
「違う…違う…俺は玲子とは違う…。」
ずっと手で顔を覆って、うわ言みたいに繰り返していた。
久しぶりにパパの口からママの名前が聞こえて。
その瞬間、また強い感情の嵐に翻弄される。
ママに会いたい。
私はママに捨てられた。
ママなんて嫌い。
パパがまだママを想っている事が嬉しい。
違う、ママなんかより私を愛して欲しい。
パパに女として見られるのが怖い。
早くパパが欲しい。
相反する沢山の感情が生まれてきて。
沢山あるから分散するのではなく、一つ一つが胸をいっぱいにするだけの質量を持った大きな感情で。
私のキャパなんてとっくに超えて、本当に身体が爆ぜてしまいそうに壊れて。
「パパはママと違うよ?私もママとは違う。…ここにはパパと私しか居ないから…。」
ボロボロに涙を零しながら縋り付くとパパは私を抱きしめてくれた。
そうして私はパパの手によって女になった。
初めてのセックスは痛くて苦しくて全然快感なんてなかった。
だけど少しだらしない身体で一生懸命私に優しく触れてくるパパが愛しくて仕方がなくて幸せだった。
痛みで表情を歪めた私の頭を大きな手で包むと、少しシワのある目尻を情けなく下げながら「ごめんな。」と呟く。
私は「実さん。」ってパパを名前で呼んでみた。
パパは泣き出しそうな顔をした後キスをしてくれた。
初めてのキス。
口淫と処女喪失が先なんて順番がめちゃくちゃだ。
だけど、私の初めてが全部パパで良かったと思った。
本当に幸せだった。
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