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傾く方へ。
本気なんじゃん。
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整った顔を歪め壱哉は言った。
「ずっと木内と居たんだろ?凛子ちゃんとの事もどうせ木内に聞いたんだろ?さっき隣の男も言ってたけど、木内と会ってたよな?」
逆転でもしたつもりなのだろうか。
どこまで何を知っているのか分からないけれど、責める様な言い方に呆れてしまう。
「だったら何?お互い様とでも言いたいの?」
「いや、そういう訳では…」
「それで良いよ。私もちゃんと別れてもないのにって罪悪感はずっとあったし。元々壱哉だけが悪いなんて思ってなかったよ。だからもう別れよ?」
「嫌だ!」
「嫌だって言われても…。」
ガックリと肩が落ちる。
一気に気力が尽き、私はベッドに腰を下ろした。
お互い様だから何も言わずに別れたい私。
一方でお互い様だから水に流して付き合いを続けたい壱哉。
このままでは平行線だ。
私はやるせなくなり嘆く様に訴える。
「ねぇ、もう無理だよ…。」
その途端。
「無理じゃねぇ!」
殆ど叫ぶみたいにして壱哉が立ち上がった。
そしてテーブルを跨ぐと私をそのままベッドに押し倒す。
「ちょっと!」
「ユリは絶対また俺を好きになる!」
「はー?ならないから!退いて!ちょっ…」
暴れる私を押さえ付け、無理やりなキス。
必死に顔を背け腕や脚をバタつかせる。
頬に壱哉の指が食い込んで痛い。
兎に角動かせる所はめちゃくちゃに動かして、拘束から逃れた右手で壱哉の髪の毛を掴んだ。
「いってぇ!」
反動で口が離れる。
その隙に私は叫ぶ。
「ホントに止めて!こんなんでまた好きになるとかないから!もう嫌いだよ!嫌むぅ…んっ!」
口を手で塞がれてしまった。
両手も一纏めに押さえ付けられる。
同時に首筋に壱哉の唇が触れ生暖かく濡れる感触がした。
「んーっ、ん!」
ちゅっちゅっとわざとらしく音をたて吸われる。
気持ちが悪い。
嫌悪感で吐きそうだ。
壱哉の唾液で湿っていく感じに鳥肌が立った。
絶望的な気持ちになり涙が溢れる。
ぼんやりと滲む天井を見上げながら木内さんの事を想った。
そうして大人しくなった私に安心したのか壱哉は手を離し今度は胸に触れてくる。
もう全てがどうでも良くなって私は号泣した。
「きうちさああん…。うあー…、きうちさん…。」
木内さんの名を呼びながら子供の様に泣き喚く。
「…ユリ?」
「きうちさぁん。きうっ…きうちさあん。」
驚いた顔で上体を起こした壱哉はベッドに膝立ちをしたまま、泣き喚く私を呆然と見下ろしてきた。
「木内って…。」
そう呟くと深く息を吐き、ドサッと天を仰ぐように私の横に寝っ転がる。
「話違うだろ…。本気なんじゃん…。」
悔しそうに吐き捨てると、手で顔を完全に覆った。
「ずっと木内と居たんだろ?凛子ちゃんとの事もどうせ木内に聞いたんだろ?さっき隣の男も言ってたけど、木内と会ってたよな?」
逆転でもしたつもりなのだろうか。
どこまで何を知っているのか分からないけれど、責める様な言い方に呆れてしまう。
「だったら何?お互い様とでも言いたいの?」
「いや、そういう訳では…」
「それで良いよ。私もちゃんと別れてもないのにって罪悪感はずっとあったし。元々壱哉だけが悪いなんて思ってなかったよ。だからもう別れよ?」
「嫌だ!」
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ガックリと肩が落ちる。
一気に気力が尽き、私はベッドに腰を下ろした。
お互い様だから何も言わずに別れたい私。
一方でお互い様だから水に流して付き合いを続けたい壱哉。
このままでは平行線だ。
私はやるせなくなり嘆く様に訴える。
「ねぇ、もう無理だよ…。」
その途端。
「無理じゃねぇ!」
殆ど叫ぶみたいにして壱哉が立ち上がった。
そしてテーブルを跨ぐと私をそのままベッドに押し倒す。
「ちょっと!」
「ユリは絶対また俺を好きになる!」
「はー?ならないから!退いて!ちょっ…」
暴れる私を押さえ付け、無理やりなキス。
必死に顔を背け腕や脚をバタつかせる。
頬に壱哉の指が食い込んで痛い。
兎に角動かせる所はめちゃくちゃに動かして、拘束から逃れた右手で壱哉の髪の毛を掴んだ。
「いってぇ!」
反動で口が離れる。
その隙に私は叫ぶ。
「ホントに止めて!こんなんでまた好きになるとかないから!もう嫌いだよ!嫌むぅ…んっ!」
口を手で塞がれてしまった。
両手も一纏めに押さえ付けられる。
同時に首筋に壱哉の唇が触れ生暖かく濡れる感触がした。
「んーっ、ん!」
ちゅっちゅっとわざとらしく音をたて吸われる。
気持ちが悪い。
嫌悪感で吐きそうだ。
壱哉の唾液で湿っていく感じに鳥肌が立った。
絶望的な気持ちになり涙が溢れる。
ぼんやりと滲む天井を見上げながら木内さんの事を想った。
そうして大人しくなった私に安心したのか壱哉は手を離し今度は胸に触れてくる。
もう全てがどうでも良くなって私は号泣した。
「きうちさああん…。うあー…、きうちさん…。」
木内さんの名を呼びながら子供の様に泣き喚く。
「…ユリ?」
「きうちさぁん。きうっ…きうちさあん。」
驚いた顔で上体を起こした壱哉はベッドに膝立ちをしたまま、泣き喚く私を呆然と見下ろしてきた。
「木内って…。」
そう呟くと深く息を吐き、ドサッと天を仰ぐように私の横に寝っ転がる。
「話違うだろ…。本気なんじゃん…。」
悔しそうに吐き捨てると、手で顔を完全に覆った。
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