傾く方へ

seitennosei

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傾く方へ。

迫る誕生日。

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それからの数日は毎日が楽しかった。
仕事が終われば木内さんの家に帰って。
シフトの関係で一緒にゆっくり出来る日ばかりではなかったけれど、夜はいつも同じベッドで抱き締められながら眠った。
セックス出来ないのに何度もキスをしてくっ付いて眠りに着いて、朝は私の寝起きでブスな顔を見て優しく笑う木内さんの視線を受け目覚めた。
こんな幸せはいつまでも続かないって分かっている。
だって木内さんは凛さんを手放せない。
それに私は知っている。
凛さんが本当は木内さんに執着しているって事を。
形は可笑しいけれど二人は想い合ってはいるんだ。
そもそも私と木内さんはそれぞれ壱哉と凛さんを取り戻すために協力関係を結んでいるのだから、本来なら私は木内さんに凛さんの気持ちを伝えて二人の仲を手助けするべきなんだ。
だけどそれが出来ずにいる。
木内さんは凛さんを「手放せない」と言い切ったその口で、毎晩私に優しいキスをくれる。
もう何か大きく状況が変わらない限り、私が自らの意思で此処を動く事は出来ないだろう。
そうやってウダウダしていると、壱哉からメッセージが届いた。
気が付けば誕生日は明日まで迫っていた。
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