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傾く方へ。
全て放り投げる。
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呆然と天井を見上げる。
身体に力が入らない。
ビーチリゾートをイメージしているだけあって、室内なのに小さいヤシの木の様な大振りな観葉植物が空調の風に揺られていて。
それが奥の間接照明からの光の中に影を作り、壁や天井に動きを出すのを眺めて放心していた。
木内さんも隣で仰向けに倒れ動かない。
胸だけが静かに上下している。
余りにも静かなので眠っているのかと思い横目で顔を確認すると、私と同じ様に目を開いたまま放心していた。
全裸で大の字になってボーッと天井を眺めている。
だけど右腕だけは私に腕枕をしてくれていて、時々指で髪を触ったり顔を撫でたりしていた。
意外に思う。
木内さんは凛さん以外にはこんな行動はしないと思っていたから。
意外と寝た女性には優しくする質なのか。
それとも私がこの触れ合いを通して木内さんへの感情が迷子になってしまった様に、彼もまた私への感情が可笑しくなってしまったのか。
不意に木内さんがこちらを見た。
ぶつかる視線。
「俺…。今混乱してる…。ちょっと色々と初めて過ぎて。」
「私もです…。」
「…俺だけじゃないよね?なんか…色々普通じゃなかったの。」
「…。はい。多分…。」
お互いにまた天井に視線を戻す。
「相性…?」
ポツリと木内さんが呟いた。
そして今度は身体ごとこちらに向き満面の笑みを見せる。
「相性良いのって凄いな!俺こんなん初めてだわ!」
「わ、急にテンション高っ…。」
「いや、テンション上がるだろ!ヤバかったなー。ホント。」
ケラケラと笑い出す木内さん。
釣られて私も笑えてきた。
セックスの感想がお互い笑いながら「ヤバかった。」って。
一体どれだけ特殊な体験だったのだろうと思う。
出会って数日の好きじゃない人。
寧ろ苦手だと思っている人。
それなのに成り行きでセックスしてしまった。
それは嫌がったのに半ば強引に引き摺られて至った行為で。
悦くなるわけがないと思えるそれが、実際には狂うかと思う程気持ちが良かったのだから笑える。
「はー。しかしこんな流れになるとはな…。」
「それはこっちのセリフで…あー!!」
私はここで唐突に本来の目的を思い出した。
ガバッと身体を起こし枕元の照明パネルに付いているデジタル時計を見る。
深夜2時過ぎ。
「あー!!終電!!」
「え?あ…。」
木内さんもガバッと起き上がる。
そしてベッドの下に散らばっている自分の洋服を掻き集めると、パンツのポケットからスマホを取り出し何かを確認し、深いため息を吐いていた。
「どうしたんですか?」
「マジでごめん…。」
「何がですか?」
木内さんは全て放り投げてまたベッドに仰向けに倒れる。
「凛子達とっくにここ出てるわ…。」
身体に力が入らない。
ビーチリゾートをイメージしているだけあって、室内なのに小さいヤシの木の様な大振りな観葉植物が空調の風に揺られていて。
それが奥の間接照明からの光の中に影を作り、壁や天井に動きを出すのを眺めて放心していた。
木内さんも隣で仰向けに倒れ動かない。
胸だけが静かに上下している。
余りにも静かなので眠っているのかと思い横目で顔を確認すると、私と同じ様に目を開いたまま放心していた。
全裸で大の字になってボーッと天井を眺めている。
だけど右腕だけは私に腕枕をしてくれていて、時々指で髪を触ったり顔を撫でたりしていた。
意外に思う。
木内さんは凛さん以外にはこんな行動はしないと思っていたから。
意外と寝た女性には優しくする質なのか。
それとも私がこの触れ合いを通して木内さんへの感情が迷子になってしまった様に、彼もまた私への感情が可笑しくなってしまったのか。
不意に木内さんがこちらを見た。
ぶつかる視線。
「俺…。今混乱してる…。ちょっと色々と初めて過ぎて。」
「私もです…。」
「…俺だけじゃないよね?なんか…色々普通じゃなかったの。」
「…。はい。多分…。」
お互いにまた天井に視線を戻す。
「相性…?」
ポツリと木内さんが呟いた。
そして今度は身体ごとこちらに向き満面の笑みを見せる。
「相性良いのって凄いな!俺こんなん初めてだわ!」
「わ、急にテンション高っ…。」
「いや、テンション上がるだろ!ヤバかったなー。ホント。」
ケラケラと笑い出す木内さん。
釣られて私も笑えてきた。
セックスの感想がお互い笑いながら「ヤバかった。」って。
一体どれだけ特殊な体験だったのだろうと思う。
出会って数日の好きじゃない人。
寧ろ苦手だと思っている人。
それなのに成り行きでセックスしてしまった。
それは嫌がったのに半ば強引に引き摺られて至った行為で。
悦くなるわけがないと思えるそれが、実際には狂うかと思う程気持ちが良かったのだから笑える。
「はー。しかしこんな流れになるとはな…。」
「それはこっちのセリフで…あー!!」
私はここで唐突に本来の目的を思い出した。
ガバッと身体を起こし枕元の照明パネルに付いているデジタル時計を見る。
深夜2時過ぎ。
「あー!!終電!!」
「え?あ…。」
木内さんもガバッと起き上がる。
そしてベッドの下に散らばっている自分の洋服を掻き集めると、パンツのポケットからスマホを取り出し何かを確認し、深いため息を吐いていた。
「どうしたんですか?」
「マジでごめん…。」
「何がですか?」
木内さんは全て放り投げてまたベッドに仰向けに倒れる。
「凛子達とっくにここ出てるわ…。」
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