傾く方へ

seitennosei

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傾く方へ。

全身を震わせ。

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腰を掴む両手。
その手が思いのほか優しくて。
それなのに自由を許さないくらいには力強くて。
与えられる支配と慈しみの狭間で、私が持つ木内さんへの感情があやふやになった。
「挿れるよ?」
低い声でそう囁かれ見つめ合う。
私は答える代わりに内腿を木内さんの脇腹に擦り付けてそれを催促した。
「ははっ。ほんとエロいな。」
そう笑い、ズラしたショーツの隙間からゆっくりと押し入ってくる。
少し進む度にゾワゾワと鈍い快感が身体を登ってきて息が詰まった。
反らした背中に腕が伸び、きゅっと抱き締められる。
また濃くなる木内さんの匂い。
頭がクラクラして何も分からなくなった。
奥まで全て収まったところで深い溜息に耳を擽られる。
「はーっ。…これヤバいかも…。」
「ふっ…うっ。」
全身に鳥肌が立ち呼吸がままならない。
入れただけでこんなになるなんて。
初めての感覚だ。
今動かれたら絶対に可笑しくなってしまう。
それが怖いのに。
早く欲しくてもどかしい気持ちもあってヒクヒクと勝手に腰が揺れ出す。
それに対し少し驚いた顔を向けた後、木内さんはフッと小さく笑い私に合わせてゆっくりと腰を動かし出した。
「ふっ…、っ…、ああ、…っ。」
互いの動きが噛み合い、奥に嵌ると声が我慢できない。
おかしい。
初めてのカタチなのに。
これをずっと待っていた様な感覚になる。
自分の身体に穴が空いているのはこの為だったんだと確信する程しっくりきている。
木内さんと目が合った。
思い過ごしでなければ彼もそう感じているのだろう。
切れ長の目をうっとりと細め、私の中を知り尽くそうと腰を回している。
「何で、こんな…。はー、やば…。」
「っ…、やぁっ。」
ぎゅっと嵌る所に押し込まれ一際大きい嬌声が出てしまう。
それを見逃してくれる訳もなく、木内さんはそこを目掛けてトントンと突いてくる。
「やっ、そこ…だめぇ。」
「あー、中ほんとヤバい。」
ぐぬぐぬと聞いた事のない音が自分の中から響いていた。
隙間なくピッタリ嵌って、身体ごと揺すられて。
脳まで揺らされて何も考えられなくて。
無意識に伸ばした手で首に縋り着くと、木内さんが噛み付く様なキスをしてきた。
上から流し込まれる唾液。
息苦しくなり大きく呼吸をすると鼻腔に木内さんの濃い匂いが押し入ってきて。
私は全身を震わせながら激しく達した。
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