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傾く方へ。
全ての思考を放棄して。
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「やだ!何で?しないって言ったのに!」
「いやー、ごめん。まさか君で勃つと思ってなかったからさ。」
へらへらと笑いながらも、その細身の身体からは想像もつかない強い力で抑え込まれる。
どれだけ暴れても振り解けない。
「最低!有り得ない!」
そう叫びながら滅茶苦茶に振り下ろした手が木内さんの額に強く当たってしまった。
途端にギロっと鋭い視線で射抜かれる。
ふざけた空気が一気に張り詰めた。
押さえ付けられた両手。
刺す様な目で見下ろしたままの木内さんが口を開く。
「岡田君と凛子は今頃ヤッてるんだよ?君はムカつかないの?」
瞬間、二人が重なっている姿を想像してしまいキュッと喉が締まった。
それは同意だ。
私だって胸が痛い。
だけどそれとこれとは話は別だろう。
私はこれ以上木内さんを刺激しない様に優しい声で諭す。
「…。気持ちは分かりますよ?…けど、こんなのは違うじゃないですか?」
「…。」
暫しの無言。
木内さんは少し考えた後、今度は軽い口調であんまりな言葉を返してきた。
「んー、じゃあ、ホテルに男女が2人きりで来ておいて、そんな気無いは通用しないとは思わない?」
やっぱり言った。
こうなる気がしていたから入口であれだけ確認したのに。
ふつふつと怒りが湧く。
「そんな気ないって最初に言ったのは木内さんでしょ?!この嘘つき!」
この人は分かっていない。
それを言われた時の私がどれだけ惨めだったのか。
だからそんな事が簡単に言えるんだ。
木内さんなんてどうでもいいし、好かれたいとも思わない。
けれど、壱哉が凛さんに夢中になり私を捨てて。
そんな中、凛さんを溺愛している木内さんから面等向かって「ナシ」と言われたのだ。
何だかもう世界中の男から凛さんと比べられて全否定されている気持ちになって私は深く傷付いたんだ。
あの傷付いた言葉をこうもあっさり撤回されると納得がいかないのは当たり前の事だろう。
そして何より、この人と寝たって私だけ損をするではないか。
木内さんは凛さんへの当て付けになるから良いだろうが、とっくに私への気持ちが無くなった壱哉に対しては今更当て付けにもなりゃしない。
私だけヤラれ損だ。
ここは断固拒否する。
湯気が出ているんじゃないかってくらいに怒る私。
相変わらず飄々としていて何を考えているのか分からない木内さん。
暫しの膠着状態。
先に動いたのは木内さんだった。
「…もう理由とか良っか…。」
そう呟き、再び私の首筋に唇を付ける。
すぐ近くで髪が揺れ、シャンプーと男の人の匂いが混じって香ってきた。
ズクンと下半身が疼く。
まずい。
消えそうになる怒りを再燃させなくては。
流されてしまいそうになるのを必死で抗い叫ぶ。
「こっんの!クズがぁ!」
「ははっ。口悪っ。…でもなんかそれもそそる。」
鼻先で私の髪を掻き分けながら、再びすんすんと耳後ろの匂いを嗅いでくる。
うずうずと背筋が震え鳥肌が立つ。
「変態!…っいやだ!」
スルスルと手がブラウスの裾から滑り込んできた。
常識も理屈も通用しない。
こちらの話を聞く気は一切ない。
脇腹や背中を撫で回され、いよいよ心が折れた。
時々肌に時計やシルバーリングがヒンヤリと触れ、反射的に身体が逃げてしまうも、不思議と触られること自体に嫌悪感は無い。
それどころか間近から供給され続ける木内さんの匂いが私の思考を麻痺させてきた。
どうしてこの匂いにこんなに弱いのだろう。
私が大人しくなったのをいい事に、木内さんはブラのホックを外しその中に手を差し入れてきた。
「小ぶりの胸も悪くないな…。」
その言葉にまた傷付く。
凛さんの胸と比べてるんだ。
脳裏に彼女の柔らかい胸と、同性でも惚れてしまうあのいい匂いが浮かんできた。
私なんか女として何一つ勝てない。
この人は今、声に出していないだけできっともっと色んな事を凛さんと比べているのだろう。
涙が頬を伝った。
それでも木内さんの指が胸の先端を掠める度に身体が反応してしまう。
「へー、泣く程嫌なのに感じてるんだ…。えろっ。」
耳元で囁かれる。
この人Mだなんて絶対に嘘だ。
完全に騙された。
「どうしたの?脚もじもじして。」
もう片方の手が太腿を撫でてくる。
疼きを誤魔化す為に無意識に擦り合わせていたのを見抜かれた。
そのまま手が登ってきたら…。
下着が濡れている事がバレてしまう。
最後の悪足掻きで、太腿の手を両手で抑え首を振る。
その瞬間。
「あっ…。」
急に胸の先端を強く摘まれた。
それと同時に太腿にあった手が上に滑ってっくる。
「そんなんされたら逆に触るでしょ。わざとやってる?」
止める間も無くショーツをズラし侵入してくる指。
くちっと微かな水音が耳に届き顔が熱くなった。
「ははっ。凄いな。」
「んんっ、やぁっ…。」
長く骨張った指がぬっと差し込まれ、中がぎゅうっと反応してしまう。
ゆっくりと探られる。
その間胸の先端も転がされ続け、与えられる刺激に翻弄されるまま無意識に腰が揺れた。
「えっろ…。腰動いてるし。なんか君…声もクるわ。」
「嘘つき…。あっ。ナシって言って、た…のにぃ。」
「やべぇ。可愛いな。」
木内さんの両手が離れる。
そしてカチャカチャとボトムを脱ぐ音が聞こえてきた。
とうとう挿れられてしまう。
でももう抵抗する気はなかった。
思わず零したみたいな「可愛いな」が繰り返し脳内に反響して。
私をナシだと言っていた男が、それを撤回し今私を魅力的な女の様に扱っている。
彼氏にみっともなく捨てられた私が、今男に女として求められている。
自暴自棄になるな!
クズ男なんかの言動に振り回されるな!
そんな冷静な自分が頭のほんの片隅で叫んでいても。
木内さんの匂いは本当に麻薬みたいで。
私は全ての思考を放棄して、枕元のゴムを装着している木内さんをぼんやりと眺めた。
「いやー、ごめん。まさか君で勃つと思ってなかったからさ。」
へらへらと笑いながらも、その細身の身体からは想像もつかない強い力で抑え込まれる。
どれだけ暴れても振り解けない。
「最低!有り得ない!」
そう叫びながら滅茶苦茶に振り下ろした手が木内さんの額に強く当たってしまった。
途端にギロっと鋭い視線で射抜かれる。
ふざけた空気が一気に張り詰めた。
押さえ付けられた両手。
刺す様な目で見下ろしたままの木内さんが口を開く。
「岡田君と凛子は今頃ヤッてるんだよ?君はムカつかないの?」
瞬間、二人が重なっている姿を想像してしまいキュッと喉が締まった。
それは同意だ。
私だって胸が痛い。
だけどそれとこれとは話は別だろう。
私はこれ以上木内さんを刺激しない様に優しい声で諭す。
「…。気持ちは分かりますよ?…けど、こんなのは違うじゃないですか?」
「…。」
暫しの無言。
木内さんは少し考えた後、今度は軽い口調であんまりな言葉を返してきた。
「んー、じゃあ、ホテルに男女が2人きりで来ておいて、そんな気無いは通用しないとは思わない?」
やっぱり言った。
こうなる気がしていたから入口であれだけ確認したのに。
ふつふつと怒りが湧く。
「そんな気ないって最初に言ったのは木内さんでしょ?!この嘘つき!」
この人は分かっていない。
それを言われた時の私がどれだけ惨めだったのか。
だからそんな事が簡単に言えるんだ。
木内さんなんてどうでもいいし、好かれたいとも思わない。
けれど、壱哉が凛さんに夢中になり私を捨てて。
そんな中、凛さんを溺愛している木内さんから面等向かって「ナシ」と言われたのだ。
何だかもう世界中の男から凛さんと比べられて全否定されている気持ちになって私は深く傷付いたんだ。
あの傷付いた言葉をこうもあっさり撤回されると納得がいかないのは当たり前の事だろう。
そして何より、この人と寝たって私だけ損をするではないか。
木内さんは凛さんへの当て付けになるから良いだろうが、とっくに私への気持ちが無くなった壱哉に対しては今更当て付けにもなりゃしない。
私だけヤラれ損だ。
ここは断固拒否する。
湯気が出ているんじゃないかってくらいに怒る私。
相変わらず飄々としていて何を考えているのか分からない木内さん。
暫しの膠着状態。
先に動いたのは木内さんだった。
「…もう理由とか良っか…。」
そう呟き、再び私の首筋に唇を付ける。
すぐ近くで髪が揺れ、シャンプーと男の人の匂いが混じって香ってきた。
ズクンと下半身が疼く。
まずい。
消えそうになる怒りを再燃させなくては。
流されてしまいそうになるのを必死で抗い叫ぶ。
「こっんの!クズがぁ!」
「ははっ。口悪っ。…でもなんかそれもそそる。」
鼻先で私の髪を掻き分けながら、再びすんすんと耳後ろの匂いを嗅いでくる。
うずうずと背筋が震え鳥肌が立つ。
「変態!…っいやだ!」
スルスルと手がブラウスの裾から滑り込んできた。
常識も理屈も通用しない。
こちらの話を聞く気は一切ない。
脇腹や背中を撫で回され、いよいよ心が折れた。
時々肌に時計やシルバーリングがヒンヤリと触れ、反射的に身体が逃げてしまうも、不思議と触られること自体に嫌悪感は無い。
それどころか間近から供給され続ける木内さんの匂いが私の思考を麻痺させてきた。
どうしてこの匂いにこんなに弱いのだろう。
私が大人しくなったのをいい事に、木内さんはブラのホックを外しその中に手を差し入れてきた。
「小ぶりの胸も悪くないな…。」
その言葉にまた傷付く。
凛さんの胸と比べてるんだ。
脳裏に彼女の柔らかい胸と、同性でも惚れてしまうあのいい匂いが浮かんできた。
私なんか女として何一つ勝てない。
この人は今、声に出していないだけできっともっと色んな事を凛さんと比べているのだろう。
涙が頬を伝った。
それでも木内さんの指が胸の先端を掠める度に身体が反応してしまう。
「へー、泣く程嫌なのに感じてるんだ…。えろっ。」
耳元で囁かれる。
この人Mだなんて絶対に嘘だ。
完全に騙された。
「どうしたの?脚もじもじして。」
もう片方の手が太腿を撫でてくる。
疼きを誤魔化す為に無意識に擦り合わせていたのを見抜かれた。
そのまま手が登ってきたら…。
下着が濡れている事がバレてしまう。
最後の悪足掻きで、太腿の手を両手で抑え首を振る。
その瞬間。
「あっ…。」
急に胸の先端を強く摘まれた。
それと同時に太腿にあった手が上に滑ってっくる。
「そんなんされたら逆に触るでしょ。わざとやってる?」
止める間も無くショーツをズラし侵入してくる指。
くちっと微かな水音が耳に届き顔が熱くなった。
「ははっ。凄いな。」
「んんっ、やぁっ…。」
長く骨張った指がぬっと差し込まれ、中がぎゅうっと反応してしまう。
ゆっくりと探られる。
その間胸の先端も転がされ続け、与えられる刺激に翻弄されるまま無意識に腰が揺れた。
「えっろ…。腰動いてるし。なんか君…声もクるわ。」
「嘘つき…。あっ。ナシって言って、た…のにぃ。」
「やべぇ。可愛いな。」
木内さんの両手が離れる。
そしてカチャカチャとボトムを脱ぐ音が聞こえてきた。
とうとう挿れられてしまう。
でももう抵抗する気はなかった。
思わず零したみたいな「可愛いな」が繰り返し脳内に反響して。
私をナシだと言っていた男が、それを撤回し今私を魅力的な女の様に扱っている。
彼氏にみっともなく捨てられた私が、今男に女として求められている。
自暴自棄になるな!
クズ男なんかの言動に振り回されるな!
そんな冷静な自分が頭のほんの片隅で叫んでいても。
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