ビッチ未遂

解けない呪い。

その後もそれなりに彼女は出来た。
好きだなって思えるのは結局年上の人ばかりだ。
甘えて抱きついた時に頭を撫でてくれる様なお姉さんにしか心が動かないのだから仕方がない。
大学に進学してからは家も出ていたので、半同棲みたいになる事が多く、このままいけば結婚するのかな？って思った人も何人かいた。
だけど大体が頼りないとか、可愛いだけで男として見れなくなったとかで、数ヶ月もするとフラれてしまう。
同時進行で他に男を探し、次が見付かったからフラれる感じが多かったし、OLさんと付き合うと大体結婚するからって突然捨てられてた。
女って本当に強かだなってこの頃学んだ。
別れ際に言われて一番傷ついたのは『セックス中に男が声出すのキモイ』って言葉だ。
その頃はもうオネーサンを思い出す機会も減って、好きだと思った人とは真剣に向き合っていたつもりでいたけど、基準は結局全部オネーサンだった事に後から気付いて、その度に自分で笑ってしまった。
頼りないって言われても、オネーサンなら受け入れてくれたのにとか思っていたし、可愛いだけって言われた時も、オネーサンはそれだけで喜んでくれたのにとか思っていた。
セックス中に男が声出すのキモイって言葉に対しては、本当に瞬時にあの時のオネーサンが浮かんだ。
初めてイッて取り乱した俺を優しく抱きしめてくれたオネーサン。
もう１０年以上も前の出来事なのに、額にくれたキスの感触が今も残っている。
フラれる度に凹むけど、オネーサンが俺のものじゃなかったって知った中１のあの日程苦しかった事なんて一回もなかった。
オナニーしてても結局イク時は心の中で｢由良ちゃん｣って言ってたし。
思い出す事も減ってなんて思っていたけど、オネーサンはああだったこうだったって思考するのを無理矢理止めただけで、オネーサンの影響で俺に芽吹いた価値観や性的トラウマは、いつまで経っても日常の中に根付いていた。
これはもう一生解けない呪いだと思って諦めた。