休憩室の端っこ

seitennosei

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黙るように言われ閉じた口を、今度は舌でこじ開けられる。
舌の絡まる湿った音と、お互いの吐息が頭に響いて抵抗する気も起きない。
「キスでふにゃふにゃになっちゃう一花さん、凄く可愛い…。」
Tシャツに潜らせた両手で脇の下や背中を撫でられると、甘く痺れうずうずと下半身に響く。
「はっ…あ。」
時折指で胸の先端を転がされ声が洩れる。
「一花さん、感じると泣きそうな顔になるの知ってる?それが凄く可愛くて虐めたくなる。」
「知らなぃ…はっ、意地悪しな…いでぇ。」
フルフルと首を振り懇願する。
海くんがどんな風に女性に触るのかいつも想像していたけれど、実際の彼は思っていたよりも随分と意地悪だった。
普段の控え目な姿からは考えられない強引さも、意外に独占欲が強いところも、全てにゾクゾクする。
手が下へ滑りウエストからショーツの中へ入り込む。
そこに到達する前から反応し、腰が浮いてしまう。
はしたなく思われたくないのに、身体が言う事を聞かない。
指がヌルッと割れ目をなぞった。
「さっきより更に濡れてるよ。」
「あっ…。」
触れるか触れないかの強さで秘部の上をお尻の手前まで何度も行き来され、ゾワゾワと腰が痙攣する。
「んんっ。」
まさぐる指が突起に触れ、身体が跳ねる。
敏感なところを見つけられてしまった。
海くんは固く主張している突起を楽しそうに撫でる。
「やっ…、ダメ。」
「ダメじゃないよね?一花さんさっきもダメって言いながら凄く感じてたよ?」
有無を言わさぬ笑顔でゆっくりと撫で続けている。
ギラギラと獲物を狙うような目に見詰められ、目が離せない。
「かいくん…。」
堪えきれず名前を呼ぶと、指の動きが止まった。
「…勃ち過ぎて痛い…。ごめん。我慢できない。」
申し訳なさそうに眉尻を下げ、海くんは視界から消えた。
私は今までに経験のない甘い空気に放心し、身体を起こさずただ天井を眺める。
自分は強引なのや意地悪なのは好きじゃないと思っていたのに。
本当に好きな人に愛を持って求められると、それがどんなに勝手でも幸福感に包まれ身体が応えてしまうことを今日知った。
何やらゴソゴソと支度していた気配が消え、再度海くんがフレームインしてくる。
よく見たら全裸だったので笑ってしまった。
「一花さん、シラケっちゃった?」
心配そうな顔で海くんが訊ねる。
「全然!海くんの部屋の天井だなぁと思って幸せに浸ってただけ。」
「良かった。ムード作れないし、手際悪いしで嫌になったかと思って…。皆ゴムとかどのタイミングで着けるのかな?」
さっきまであんなに意地悪だったのに急にしおらしくなったギャップでまた笑ってしまう。
「じゃあ、次からは私が着けてあげるよ。」
そう言って海くんの顔を引き寄せ、舌で唇をなぞる。
「それ…さっきも思ったけど一花さんエロ過ぎ。」
少し怒ったような声。
海くんは身体を起こし、私のショーツと短パンを剥ぎ取ると布団の上で胡座をかいた。
そして私の腕を強く引き、自分の前に膝立ちさせ腰に抱きついてくる。
「普通にしたらすぐ終わっちゃいそうだから、一花さん動いてみてよ?」
「え?で、できない!できない!」
思いもよらない申し出に慌てて拒否する。
男の人の上で動いたことなんてない。
精神的にも技術的にもできる気がしない。
「一花さん…お願い。」
お構い無しに食い下がる海くん。
上目遣いに懇願される。
なんて狡い人なんだ。
そんな顔をされたら断れないって知っていてやっているのだろう。
「一花さん?」
困って黙る私を可愛い顔で見詰めながら、腰を引き寄せ自分の上に跨らせる。
「海くん、…っちょっと、んっ。」
膣の入口に固いものが当たる。
私の腰を前後させ擦り付けてくる。
「このまま入れたい…、ダメ?」
「…ダメぇ…。」
固いもので突起をグリグリと潰されたり、入口付近をにゅくにゅくと刺激され、腰が痙攣する。
「こうやって動かしてると、この入口のところ吸い付いてくるよ?一花さんももう入れたいよね?」
強引に事を運んでいくくせに、掴んだ腰は前後に振らせるだけ。
飽く迄も私の意思で挿入させたいらしい。
「一花さん、お願い。頭おかしくなりそう…。」
潤んだ目で見上げてくる。
それが駄目押しになり、私は観念するとゆっくりと腰を下ろしていった。
くちゅっと微かな音をたてて海くんが入ってくる。
グッと体重をかけ、中がいっぱいになると、腰から背中をゾクゾクと快感が登っていき身体が痺れる。
とてもじゃないけど動けそうにない。
「はっ…。」
海くんが洩らした吐息が耳を擽り、ビクッと身体が反応する。
「入れただけでこんなに気持ち良かったら、一花さん動いたら俺ヤバいかも…。」
耳元で低く囁かれゾクゾクと鳥肌が立つ。
余裕のない海くんに煽られ、上手く力の入らない身体を何とか動かす。
ゆっくりと腰を上げ、またゆっくりと下ろす。
それの繰り返し。
引く時、名残惜しそうに吸い付いて離さないようにしているのが自分でもわかって恥ずかしい。
最奥まで咥えると、奥の気持ちいいところに当たり、先程海くんに無理やり突かれ続けたことを思い出して顔が熱くなる。
海くんは私のTシャツを脱がし、胸の先端に吸い付いた。
「ふっ。」
腹部が震え、中をギュッと締めてしまう。
動くのに集中したいのに、胸の先端を甘く噛まれてままならない。
「一花さん…はぁ…。一花さんの気持ちいいところ教えて?」
苦しそうな顔で海くんは私の顔を両手で包み優しくキスをした。
もう逆らえない。
でもこの支配されている感じが全く嫌ではない。
腰を落としたまま前後させ、最奥の気持ちいいところに海くんのモノを押し付ける。
「ん…、ここ…ここが…。…いい。」
「はー、自分で気持ちいいところ押して、そんな泣きそうな顔してるの?一花さんエロ過ぎ。」
「ふっ…、うっ…、だって…。海くんが…。かいくんがぁ。ああっ。」
今まで腰に添えているだけだった海くんの手に力が入り、挿入したままの状態で布団に押し倒された。
「名前、逆効果って言ったのに…。」
真剣な顔で呟き、激しく動き出す。
有無を言わさず奥を強引に突いてくる。
自分で動いていた時とは比べ物にならない快感が襲う。
「やぁっ、そこダメぇ。」
「ダメじゃ…ないでしょ。自分でここって…はぁ、言ったんだから。」
また身体が勝手に強ばりだす。
爪先がグッと丸まり何か大きな波が来そうになる。
さっきと同じだ。
慣れない感覚に不安になる。
「かいくん、またおかしくなるからぁ。まって。」
「はぁ…本当に可愛い…。」
丸で聞こえていないかのように、私の言うことを無視し、一定のリズムで一点を突き続ける。
「やぁ、あぁ…。」
背中を仰け反らせ、目の前が真白くなる。
「っ…。また締まった…。」
ぎゅうぎゅう締め付けられ海くんも苦しそうな声を出す。
それでも先程とは違い、腰を止める気配がない。
大きな波を迎え敏感になっている身体を尚も責められ続ける。
「もう、ホントに…ダメなの。かいくん…ね、かいくん。」
「今、名前呼んじゃ…、ダメだって…。」
海くんは私の口を塞ぐように唇を合わせてきた。
「むっ…。ふぁっ。」
抗議の声も、堪らなくて名前を呼ぶことも封じられ、口から逃がしていた快感が身体に溜まっていくような気がする。
再度背中が仰け反る。
また来てしまう。
覚悟して強く目を瞑ると、口を離した海くんが耳元で呟く。
「一花さん。…っ好き。」
「はぁっ。」
私の身体をきつく抱きしめながら海くんは二度目の吐精をした。

息も整わないところに、ドサッと海くんが倒れてきた。
二人ともそのまま動けない。
重なった胸から、どちらのかわからない鼓動が響いてくる。
お互いにじっとりと汗をかいているのに不快感はない。
はぁはぁと荒い呼吸で喋ることすらままならない。
暫くそうしていると、早鐘を打つ鼓動の速度が少しずつ落ちてきて、やっと口が開けるようになった。
「はーっ。好き。」
私を強く抱きしめながら、心底堪らなさそうに海くんが言った。
こんなにハマってくれるとは思わなかった。
「海くん、両思いになってからよく喋るね。なんか嬉しい。」
嬉しい気持ちを素直に伝える。
「今までも心の中ではずっと色々喋ってたよ。とても口に出せないようなことばっかりだけど…。もう一花さんには本音言っても大丈夫だから、脳みそ通さないで何でも言うことにした。」
そう清々しい笑顔で言い切ると、直前に宣言した通り、全く脳みそを介していない発言をする。
「一花さん可愛すぎ。身体ヘトヘトなのに、全然萎えないんだけど…。」
「え?」
そういえば、私の中にいる海くんのモノは、依然として存在を主張している。
「イチャイチャしながらちょっと休んで、また一花さん虐めてもいい?」
最高に可愛い笑顔で最強に恐ろしいことを言う。
「ダメに決まってるでしょ!」
キツめに拒否しておく。
こんなこと続いたら、とても身体がもたない。
「うーん。でも一花さんがダメって言う時、本当はダメじゃないこと多いからなぁ。」
わざとらしく困った顔でこちらを見てくる。
こんな状況でも可愛いと思ってしまう自分が悔しい。
「これは本当!本当にダメだからね!」
「これは本当ってことは、やっぱり今までのダメは嘘だったんだ。」
「ち、違う!揚げ足とるな!」
どんなに私が怒っても海くんは堪えた様子もなく楽しそうに笑っている。
「大丈夫、大丈夫。ゴムまだ4つ残ってるから。」
全くの見当違いな返答に私まで吹き出してしまう。
私が勝手に思い描いていた海くん像と、実際の海くんは全然違うところもある。
冗談を言って笑わせてきたり。
強引で、厭らしくて、意地悪で子供っぽくて。
それでもその全てが愛おしいと思え、今日は勇気を出して飛び込んでみて良かったと心の底から思った。
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