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木曜日のスイッチ。
不埒と軽蔑。
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カーテンの隙間から射す光が赤みを帯びてきた。
私は一人取り残された廃トレーニングルームで呆然としている。
どうしよう。
酷く頭が混乱している。
先程の出来事に気持ちが追い着いてこない。
どうしてあんな事をしてしまったのだろう。
山崎先生と不埒な事をしてしまった。
正確には「させてしまった」のだけれど…。
だって最初先生は渋っていた。
それに不可抗力で私に触れてしまっただけで、元々は直接触る気なんてなさそうだった。
とんでもない事に巻き込んでしまった。
だけど、どこか少し寂しいと思ってしまう気持ちもあって…。
山崎先生にもその気になって欲しかったような…。
いや、ダメだ。
私には亜樹がいる。
亜樹とのエッチを充実させる為にお願いした事なのに。
山崎先生を意識しだしたら話が違ってきてしまう。
それにしても凄かった…。
あれが大人の男性というものなの?
落ち着いていて優しくて説得力のある声で。
こちらを気遣っている言葉なのに、どこか有無を言わせない圧があって。
耳元で囁かれる度に身体が反応してしまった。
頼り甲斐のある力強さと恐怖心を抱かせない程度の男性性。
そのバランスが絶妙で、全く警戒心を持たないで身を任せられた。
胸に直接触れられたのは一瞬で、指先がちょこっと当たっただけなのに。
その後は身体の何処を触られても気持ちが良くて、抑えられない声がずっと漏れていた。
亜樹の言うスイッチが完全に入っていたと思う。
彼氏じゃない、まして先生相手なのに。
私は可笑しな気持ちになっていた。
もし先生が少しでも性的な雰囲気を出してきたら…。
私は流されていたと思う。
山崎先生が善い人で本当に良かった。
それとも大人な先生にとって私みたいな子供は完全に対象外なのだろうか。
それはそれで複雑な気分だけれど、今後も頼み易くなるので有難い。
今日の成果を見るにこの方法は間違っていないはず。
しかも協力者として山崎先生は適任だ。
口が固そうで、信用出来て、優しくて、テクニックがある…。
さっきあれだけ乱されヘトヘトなのに、もう触って欲しいとすら思う。
ハマってしまうかもしれない。
だけど先生はあっさりしていたな…。
惚けている私のシャツを整えてくれると。
「僕は先に出ますから、暗くなる前に帰って下さいね。」
そう言い残し、涼しい顔で出ていってしまった。
そういうところが信用出来るのだけど、少しくらいは余裕を無くしてくれたって良いのにとも思ってしまう矛盾。
何にしても、真っ暗だった未来に一筋の光が射してきた。
擽ったくて不快な感覚を変えていけるのかもしれない。
確か毎週木曜日の放課後は大体ここに居るって山崎先生が言っていた。
また来週もお願いしてみよう。
取り敢えず今日は私も帰ろう。
立ち上がる為に脚に力を入れた時、下半身に違和感が…。
何となく予感がしてショーツの上から触れてみる。
くちっ。
静かな部屋に微かに響いた。
そこは今までにない程濡れていた。
俺はとんでもない事をしてしまった。
人として。
教師として終わった。
女生徒の身体を触ってしまうなんて。
しかも学校で。
それに輪をかけて本当に最低なのは、その直後に堪えきれず神聖なる職場で自慰をしてしまった事。
仕方なかったんだ。
意中の相手が俺の目の前であんな淫らに…。
ガタイの良くない自分の身体でもすっぽりと包む事の出来た華奢な身体に絹の様な手触りの柔らかい肌。
シャンプーと甘酸っぱい体臭とが入り交じった香りにクラクラと頭が支配され。
必死に堪えて、それでも堪らずに漏らした消え入りそうな嬌声に耳が犯された。
蕩けてねだる様な目線。
暴走しなかっただけ褒めてもらいたい。と言いたくもなるが、普通に考えて既に暴走した結果だろうと自分でツッコミを入れざるを得ない。
最後の一線を越えなければなんて。
その一線とやらを自分に都合良く設けていては世話がない。
もうとっくに越えちゃいけないラインなんて飛び越えているだろう。
彼女とエンカウントした時点で挨拶だけして退出するべきだった。
もっと言えば空き教室になんて忍び込まなければ良かったんだ。
大人としての、聖職者としての後悔にプラスして、自慰後の賢者タイムが拍車を掛け、自分という概念ごとこの世から抹消してしまいたいと思う。
カビ臭くて暗い個室内。
洋式の便座に腰掛け頭を抱えている。
廃トレーニングルームの隣の男子トイレ。
水泳部が廃部になった今、プール棟自体水泳の授業がある夏の間しか殆ど使われない。
清掃のオバチャンもシーズンオフはこのトイレへは来ていない。
虫の死骸を運ぶ蟻。
汚い床と個室の壁の隙間に張った蜘蛛の巣を眺めながら一人絶望の淵に立つ。
こんな事、明るみになったら良いとこ懲戒免職だ。
最悪は逮捕だ。
今まで真面目に生きてきたのに。
ここにきて猛烈に足を踏み外してしまうなんて。
もうこの際自分の事なんてどうでも良い。
一番の問題はそこじゃない。
細谷咲は…。
細谷咲は今大丈夫だろうか。
いたたまれなくて一人置いてきてしまった事を今更後悔する。
俺って何処を取っても本当に最低だ。
ヤり逃げと一緒じゃないか。
あちらからの申し出であるとはいえ、途中から完全にやり過ぎた自覚がある。
彼女も自分から言い出した手前、不快に感じても途中で止めるとは言い出せなかったのかもしれない。
どんどんエスカレートする俺に恐怖していたかもしれない?
痛みはなかっただろうか?
擽ったさはなかっただろうか?
俺を…軽蔑しただろうか。
私は一人取り残された廃トレーニングルームで呆然としている。
どうしよう。
酷く頭が混乱している。
先程の出来事に気持ちが追い着いてこない。
どうしてあんな事をしてしまったのだろう。
山崎先生と不埒な事をしてしまった。
正確には「させてしまった」のだけれど…。
だって最初先生は渋っていた。
それに不可抗力で私に触れてしまっただけで、元々は直接触る気なんてなさそうだった。
とんでもない事に巻き込んでしまった。
だけど、どこか少し寂しいと思ってしまう気持ちもあって…。
山崎先生にもその気になって欲しかったような…。
いや、ダメだ。
私には亜樹がいる。
亜樹とのエッチを充実させる為にお願いした事なのに。
山崎先生を意識しだしたら話が違ってきてしまう。
それにしても凄かった…。
あれが大人の男性というものなの?
落ち着いていて優しくて説得力のある声で。
こちらを気遣っている言葉なのに、どこか有無を言わせない圧があって。
耳元で囁かれる度に身体が反応してしまった。
頼り甲斐のある力強さと恐怖心を抱かせない程度の男性性。
そのバランスが絶妙で、全く警戒心を持たないで身を任せられた。
胸に直接触れられたのは一瞬で、指先がちょこっと当たっただけなのに。
その後は身体の何処を触られても気持ちが良くて、抑えられない声がずっと漏れていた。
亜樹の言うスイッチが完全に入っていたと思う。
彼氏じゃない、まして先生相手なのに。
私は可笑しな気持ちになっていた。
もし先生が少しでも性的な雰囲気を出してきたら…。
私は流されていたと思う。
山崎先生が善い人で本当に良かった。
それとも大人な先生にとって私みたいな子供は完全に対象外なのだろうか。
それはそれで複雑な気分だけれど、今後も頼み易くなるので有難い。
今日の成果を見るにこの方法は間違っていないはず。
しかも協力者として山崎先生は適任だ。
口が固そうで、信用出来て、優しくて、テクニックがある…。
さっきあれだけ乱されヘトヘトなのに、もう触って欲しいとすら思う。
ハマってしまうかもしれない。
だけど先生はあっさりしていたな…。
惚けている私のシャツを整えてくれると。
「僕は先に出ますから、暗くなる前に帰って下さいね。」
そう言い残し、涼しい顔で出ていってしまった。
そういうところが信用出来るのだけど、少しくらいは余裕を無くしてくれたって良いのにとも思ってしまう矛盾。
何にしても、真っ暗だった未来に一筋の光が射してきた。
擽ったくて不快な感覚を変えていけるのかもしれない。
確か毎週木曜日の放課後は大体ここに居るって山崎先生が言っていた。
また来週もお願いしてみよう。
取り敢えず今日は私も帰ろう。
立ち上がる為に脚に力を入れた時、下半身に違和感が…。
何となく予感がしてショーツの上から触れてみる。
くちっ。
静かな部屋に微かに響いた。
そこは今までにない程濡れていた。
俺はとんでもない事をしてしまった。
人として。
教師として終わった。
女生徒の身体を触ってしまうなんて。
しかも学校で。
それに輪をかけて本当に最低なのは、その直後に堪えきれず神聖なる職場で自慰をしてしまった事。
仕方なかったんだ。
意中の相手が俺の目の前であんな淫らに…。
ガタイの良くない自分の身体でもすっぽりと包む事の出来た華奢な身体に絹の様な手触りの柔らかい肌。
シャンプーと甘酸っぱい体臭とが入り交じった香りにクラクラと頭が支配され。
必死に堪えて、それでも堪らずに漏らした消え入りそうな嬌声に耳が犯された。
蕩けてねだる様な目線。
暴走しなかっただけ褒めてもらいたい。と言いたくもなるが、普通に考えて既に暴走した結果だろうと自分でツッコミを入れざるを得ない。
最後の一線を越えなければなんて。
その一線とやらを自分に都合良く設けていては世話がない。
もうとっくに越えちゃいけないラインなんて飛び越えているだろう。
彼女とエンカウントした時点で挨拶だけして退出するべきだった。
もっと言えば空き教室になんて忍び込まなければ良かったんだ。
大人としての、聖職者としての後悔にプラスして、自慰後の賢者タイムが拍車を掛け、自分という概念ごとこの世から抹消してしまいたいと思う。
カビ臭くて暗い個室内。
洋式の便座に腰掛け頭を抱えている。
廃トレーニングルームの隣の男子トイレ。
水泳部が廃部になった今、プール棟自体水泳の授業がある夏の間しか殆ど使われない。
清掃のオバチャンもシーズンオフはこのトイレへは来ていない。
虫の死骸を運ぶ蟻。
汚い床と個室の壁の隙間に張った蜘蛛の巣を眺めながら一人絶望の淵に立つ。
こんな事、明るみになったら良いとこ懲戒免職だ。
最悪は逮捕だ。
今まで真面目に生きてきたのに。
ここにきて猛烈に足を踏み外してしまうなんて。
もうこの際自分の事なんてどうでも良い。
一番の問題はそこじゃない。
細谷咲は…。
細谷咲は今大丈夫だろうか。
いたたまれなくて一人置いてきてしまった事を今更後悔する。
俺って何処を取っても本当に最低だ。
ヤり逃げと一緒じゃないか。
あちらからの申し出であるとはいえ、途中から完全にやり過ぎた自覚がある。
彼女も自分から言い出した手前、不快に感じても途中で止めるとは言い出せなかったのかもしれない。
どんどんエスカレートする俺に恐怖していたかもしれない?
痛みはなかっただろうか?
擽ったさはなかっただろうか?
俺を…軽蔑しただろうか。
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