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90話 ダンジョン探索 4
しおりを挟むアヤネの挑発に氷大熊達が乗ってきた!
意識が此方に向いた瞬間、氷大熊の後方にいた氷大狼の一匹が崩れ落ちた。見るとクニユキさんの剣が、狼の眉間の辺りに深々と突き刺さっている。氷大熊が味方の死を感じ取り意識がクニユキさんの方に向いてしまうが、すかさずマオの魔法が炸裂する!
[チェインライトニング]
魔法の電撃が敵に向かって行く。
一匹に当たると連鎖的に近くにいる敵に伸びて行き、感電と一時的な麻痺を与える魔法だ。流石にボスクラスを麻痺させることは出来なかったが、数秒間硬直させることは出来た。その隙にクニユキさんはまた隠密を発動させる。
硬直の解けた氷大熊はいまいましげに此方に向くが、その時にはアヤネによる魔法の障壁が完成しており、更なる挑発を仕掛けられていた。
氷大熊は激怒していた。
自分の体高の半分にも満たない小さきもの達が、ここまで良いように自分を振り回したことに、そしてこの体躯を誇る自分を恐れない眼差しに。
氷大熊は激しい怒りのままアヤネが作ったら障壁に向かって突進した。もう連携もなにもない。氷大狼を置き去りにして走り出したため、氷大狼は数秒遅れて後を追う。
氷大熊が障壁まで5mまで迫った時に、またマオの魔法。
[フレイムアロー]
そう唱えるとマオが肩で息をしている。障壁の前には100本ぐらいの炎の矢が浮かび上がり、前面に射出される!氷大熊は至近距離より放たれた魔法の矢を交わすこともできず数十本と体に受けて障壁に激突した。
左右にいた氷大狼達は、数秒遅れて走り出した為魔法の矢を交わすことが出来たが、交わした先で体に衝撃を受けた……こちらも左右に分かれていた俺とユウヤにそれぞれ致命の攻撃を受けたのだった。
かたや大剣の一撃を受け首を落とされ、かたや十数発の斬激に顔面がえぐり取られ絶命していた。
障壁に激突した満身創痍の氷大熊は、それでも果敢に障壁を破ろうと攻撃を仕掛けていた。万全の状態ならばいざ知らず、ここまでぼろぼろでは無理だろうことは氷大熊にも解っているだろうが、それでもなお意地になっているかの如く殴り続けている。
しばらく殴り続けていると、漸く回りにいた氷大狼達がいないことに気付いたようだ。その時には俺達は氷大熊を包囲していた。
「ぐるぅぅ…」
漸く自分の現状を理解したらしい。
満身創痍で味方もおらず、俺達に取り囲まれている状態に。氷大熊はこちらに向き直り吠えた!
「Gaaaー」
威嚇で吠えてくるが、最初に比べればいかにも弱々しい。
[フレイムランス]
炎の槍が氷大熊の左前足を吹き飛ばした!マオが崩れ落ちナオミさんに支えられている。『無茶しやがって!』その次の瞬間俺、ユウヤ、クニユキさんと、3人の刃が氷大熊に叩き込まれ勝敗は決した!
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