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15話 駆り出されました

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 2ランクも上げてくれるらしい……逆に怪しいよね……まぁ、登録しようと思ってたからラッキーと言えばラッキーなのかな?しかし……


「ランクを上げて頂けるのは有りがたいんですが、私は名前を告げてませんよね?しかも、貴方が何者かも聞いてません。胡散臭さが半端ないんですが?」


「おっ?そうか言ってなかったな。俺の名はガイン。ここラフィーラ王国ラフィレの街、冒険者ギルドラフィロ支部長だ。それでお前は……トールであってるよな?」


「……なぜ名前を知っている?」

 俺がこの世界に降り立ち、まだ一日も経っていない。名乗ったのも街の入り口の警備兵と隣のおばちゃんだけだ。しかもほぼ真っ直ぐここに来ている。
 俺が警戒の姿勢をとると


「ははっ、警戒させちまったか?
 何故名前を知ってるかだが、南門の警備兵のデリィースから冒険者ギルドに問合せがあったのさ。

『トールと言う少年が来たが冒険者か?ランクは何か?』

 ってな。照会してみたが、この地域でトールという名で少年というほどの年齢の冒険者に該当者がいなかった。デリィースになぜ照会させたか聞いたら、ゴブリンの異常な繁殖の兆しを報告に来たって言うじゃねぇか。しかもそいつはホブゴブリンのパーティーまで単独討伐してるって言うしな。で、俺は思った訳さ『もしかしたら冒険者登録に来るんじゃねぇか?』てな。それで俺が直々に受付で待ってたって訳さ」


 待ち構えられてた〰


「折角俺が受付に座ってるってのに、お前さんが中々来ないもんで退屈してたんだぜ?
 で、するよな冒険者登録。まぁ冒険者登録なんかはどこの街でも出来るけどよ……Eランク から始められるってのは今ここでの登録だけだぜ?
 ……怪しんでスルーして2年棒に振るか、今飛び込んでE ランクをゲットするか。考えるまでもないと思うがなぁ?冒険者にはなるつもりなんだろ?」


「……わかったよ。ここで登録するよ。ちゃんとランク上げてくれよ?」


「おぅ!そいつは任しとけ!それじゃこの書類を書いてくれ。字書けるか?代筆もできるが」


「いや、書けるから大丈夫。」


 書類を書いて渡して、渡したそれをガインが確認したあと奥にいる事務員?に渡した。渡された事務員は何かをタイピングしている。
 タイピングの終わった事務員が、その機械から今度はドックタグ……映画なんかで軍人が着けてる認識表……と名刺サイズの謎金属のセットを出してきた。


「トール、この2つに書いてあることを確認したら、最後にこれらに血を1滴づつ垂らしてくれ。」


「これは?」


「これらは、個人特定するための簡単な魔道具だ。まぁドックタグはそのまんまギルド員を示すものだな。もうひとつの方は体に張り付けてもらうもんだ。前はドックタグだけだったんだが、それで生死を偽る奴が居てな。まぁ心配すんな!貼り付けちまえば生体と一体化して違和感はなくなる。それで死んじまったら、この2つを照らし合わせて本人確認するのさ。

 それで貼り付けるとこのお勧めは心臓がある辺りかな。こいつは魔道具って言ったよな?こいつを張り付けたとこを中心に半径30cmぐらいに防御幕を形成してくれんだよ。これが中々優れもんでな。体から出てる少ない魔力で動いててな。燃料いらずなのに最後の生死の境目には生き残れたりするのさ。
 だからと言って手足はやめとけよ?そっちはすぐ取れちまうから」


 最後のは冒険者ギルドあるあるのブラックジョークか?しかし中々優れものの様だ


 俺は受け取ったタグとプレートに血を垂らす。血を出すための針が受付に置いてあったけど、誰が使ったのか判んないようなのは使う気にならず、指の先端を噛みきった。
 すると一瞬淡く光って消えた。それを見届けた、ギルド長のガインが


「よし、これで登録完了だ。ギルド章はさっき言った位置がお薦めだ。後で自分で付けといてくれ。
 でだ、ギルド員になったお前さんに初仕事だ。ギルドからの緊急特別指名依頼『ゴブリンの異常な繁殖の疑い有り森を調査せよ』だ。よろしく頼むぜ!」


「!ちょ、ちょっと待ってくれ!今登録したやつに何で指名依頼なんかできるのさ?」


「いやいや、大丈夫だぞ?指名依頼はE ランクから受け付けてる。しかも緊急特別指名依頼は断れない。断ったら除名だ。」


 計られた


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