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昔話②
⑩昔話、くろ
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朝になっても、相変わらず同じ天気。雨がずっと降っていて、空は朝になっても暗いまま。
変わったこともないけど、気になって昨日のように戸のすき間から、外の様子を見ていた。
「おはよう、もう起きてるのね」
声をかけられて振り向いた。いつもの朝のはず。それなのに、変な気分がする。
昨日の村人達のせいかも。
「ごめんね…」
何を謝っているんだろう?
わからない。
その時、雨の中足音が聞こえてきた。
「迎えにきた」
何を?
「わかりました、準備します」
きた人達の顔も見ることないまま、返事をしていた。昨日もらった着物に着替えていた。
真っ白い着物。着替えてどこかに行くみたい。
僕もいっしよに行くよ。ずっといっしよだから、どこにでもついていくよ。
そう思っていたのに、僕の首には縄がかけられて、縄に繋がれたまま外に出た。
「すみません、くろをお願いしたいのですが」
縄の先を村の人に手渡して、離れていった。誰かが、
「わかった」
と、だけ言ってその縄の先を持っていた。
そのうち、何人かに連れられて、山の中に入っていった。
待って、僕も行くよ!置いてかないで。そう思っても、縄を離してくれない。
「じっとしていろ、おまえの飼い主は帰ってこない!」
なんで、どうして!
いっしよに行くのに!
「あきらめろ」
引きずられて、他の人の家まで連れていかれた。縄を杭に縛られて、さらに動けなくなった。
でも、必死で縄に噛みついて振りほどこうとした。時間がかかったけど、なんとか縄を噛み千切ってやっと自由に動ける。
早く探しにいかなきゃ。
住んでいた家の前まで帰ってきた。そして、みんなが行った道を追いかけた。里山の道はまだよかったけど、奥に行くにつれて、どこに行ったのかわからない。匂いもこの雨で流されて、足跡だっておぼろげだ。
山の中の道。少しは足跡があるけど、時間とともに流されていく。
だから、最後にはどこに行ったかわからなくなった。
必死で探した。匂いもなくなっても、走って、走って、どれだけ時間がたったのか。
疲れて、とぼとぼ歩く。
見つからない……。
どこまで行ったのだろう…。
変わったこともないけど、気になって昨日のように戸のすき間から、外の様子を見ていた。
「おはよう、もう起きてるのね」
声をかけられて振り向いた。いつもの朝のはず。それなのに、変な気分がする。
昨日の村人達のせいかも。
「ごめんね…」
何を謝っているんだろう?
わからない。
その時、雨の中足音が聞こえてきた。
「迎えにきた」
何を?
「わかりました、準備します」
きた人達の顔も見ることないまま、返事をしていた。昨日もらった着物に着替えていた。
真っ白い着物。着替えてどこかに行くみたい。
僕もいっしよに行くよ。ずっといっしよだから、どこにでもついていくよ。
そう思っていたのに、僕の首には縄がかけられて、縄に繋がれたまま外に出た。
「すみません、くろをお願いしたいのですが」
縄の先を村の人に手渡して、離れていった。誰かが、
「わかった」
と、だけ言ってその縄の先を持っていた。
そのうち、何人かに連れられて、山の中に入っていった。
待って、僕も行くよ!置いてかないで。そう思っても、縄を離してくれない。
「じっとしていろ、おまえの飼い主は帰ってこない!」
なんで、どうして!
いっしよに行くのに!
「あきらめろ」
引きずられて、他の人の家まで連れていかれた。縄を杭に縛られて、さらに動けなくなった。
でも、必死で縄に噛みついて振りほどこうとした。時間がかかったけど、なんとか縄を噛み千切ってやっと自由に動ける。
早く探しにいかなきゃ。
住んでいた家の前まで帰ってきた。そして、みんなが行った道を追いかけた。里山の道はまだよかったけど、奥に行くにつれて、どこに行ったのかわからない。匂いもこの雨で流されて、足跡だっておぼろげだ。
山の中の道。少しは足跡があるけど、時間とともに流されていく。
だから、最後にはどこに行ったかわからなくなった。
必死で探した。匂いもなくなっても、走って、走って、どれだけ時間がたったのか。
疲れて、とぼとぼ歩く。
見つからない……。
どこまで行ったのだろう…。
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