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現在⑶

⑾店長

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 今日はひさびさに休みだった。寝て終わるだろうとは思っていた。
 このところ、心の折れる連勤が続いていた。
 だから久しぶりの休みに、あんなことが起こるなんて。

 電話がかかってきて、何があったなとため息交じりに電話に出る…。
 着信番号も見たことないやつだ。

「もしもし?」
「店長さんの電話で間違いないでしょうか?」
「はい?」(ヤバい事でもおきたか?)
「こちら警察機関から、電話していますが店に車が衝突しまして」
(へっ?、どういう事?)
「従業員の方がケガをしてまして」
「は?」
「できれば、店まで来ていただきたいのですが」
「わかりました、すぐに行きます」

 何?、店に車が衝突?、えっ?

 急いで、店まで行った。

 惨憺たる有り様だった。
 本当に入り口から、車が突っ込んでいて、棚も何もなぎ倒しガラスの破片が大量に散らばっている。商品が床に散らばり、入り口の大きなガラスも、ほとんどというほど割れていた。

 呆気にとられる。
 こういうことをいうのかと思った。

 今日のシフトだった、白木さんと黒柴くん。
 黒柴くんは特にケガなどないが、白木さんは入り口近くにいたらしい。ケガをして病院に運ばれたと。

 黒柴くんも念の為行ったらしい。

 時々、テレビやネットで見てことあったが、まさか自分の店で起こるとは思わなかった。

 心配なので、後で病院にいってみよう。無事だといいけど。



 ◆◆◆◆

 病院に着いた、受付で詳細を説明して二人のところに行った。
 詳しく言わないと、最近では他人がお見舞いするのもむずかしいから。

「黒柴くん」
「店長…」
「大丈夫だった?」
「僕はカウンターの中にいたので…」
「白木さんは?」
「たぶん重傷ではないみたいですが…」
「聞いてないの?」
「家族の方が来たらとしか…」
「あ~、そうか…」

「僕が聞きにいって来るよ」
「店長?」
「あのね……、白木さん家族がいないんだ」
「は?」
「うん、天涯孤独だって、言ってたよ」
「そうですか……」

 白木さんの担当の先生に、家族の事を説明して、代わりに僕が聞いた。
 命は大丈夫だと思う、と。

「どういう事ですか?」
 改めて問い質した。
 意識が戻らない。戻ってくれば、大丈夫だが、もし戻らなければこのままだと。

「そんなにケガが酷かったんですか?」
 そうではないらしい。頭を強く打ったようで、検査では特に問題なかったと。

 でも、意識が戻らない…。








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