上 下
14 / 28
現在⑵

しおりを挟む
「これ、どうやってするんですか?」
 レジを横から覗き込んで、また説明する。
「~で、こっちの画面の隅にある…」
 分かりづらいレジの説明を続けていく。

「わかった?」
「たぶん、大丈夫と思います…」
「また、わからなかったら聞きにきて」

 ちょっと、突き放したようになったけど、こればかりは慣れてもらわなければならないから、がんばってもらいたい。

 そのうち時間がきて、新人の黒柴さん(くん?)は今日の終業時間になった。
 特に問題なかったし、できればこれる範囲でバイトを続けて欲しいと思うけど、どうなることか。

「ありがとう、そろそろ時間だから上がっていいよ、お疲れ様」
「お疲れ様です」
 挨拶して、黒柴くんに上がってもらった。

 そういえば聞いておこうと思ったことを、帰り間際に黒柴くんに聞いてみた。

「次の出勤時間とか聞いてる?」
「あ~、一応聞いてます」
「いつ?」
「あさっての夕方からです」
「わかった、ありがとう、それじゃまたあさってによろしくね」
「じゃ、お先です」

 黒柴くんは帰っていった。
 あとは、店長が来るまで一人でやるだけ。時間も遅いし、忙しいこともないから、なんとかなる。
 ついでに、自分の出勤も確認してみた。

「あ」
 見れば、あさっては休みだった。ついあさってもよろしくなんて言ったけど、自分が休みなら、会うこともない。
(まあいいか)
 あさって会わないのなら、その次があるだろうし。



 一時間、二時間と時間が過ぎて、真夜中になって、店長が来た。

「お疲れ様です」
「お疲れ、新人さん、大丈夫だった?」
「はい、特にこれがだめだったとかも、なかったです」
「レジとか教えてくれたんだよね」
「一応は」
 その辺は問題なかったし。

「続きそうだと思う?」
「わかんないです」
「そうだよね…」
 話が長くなりそうなので、そそくさと帰る準備をする。
 店長と交代して、自分は仕事を終わらせた。

「すいません、それじゃ失礼します」
「お疲れ、また明日」
 そう言っても、すでに日付は変わっているから、今日になるけど。

 真夜中、自転車を漕いで自分の部屋に帰る。
 時々真っ暗になるいつもの道。自転車のライトだけを頼りに進んでいった。まだ桜は咲いているけど、さすがに今は見て帰る気分じゃない。(真夜中だし)

(今度、名前の事聞いてみてもいいかな)
 新人さんの名前が気になったから、もう少し話せるようになったら、聞いてみたいな。そう思った。
 失礼かもしれないけど。
















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた――― ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。 それは同棲の話が出ていた矢先だった。 凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。 ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。 実は彼、厄介な事に大の女嫌いで―― 元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...