櫻月の巫女 〜過去のわたしと今の私

川まき

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はじまり

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 藍色のとばりが広がる空。

 大きな桜の木の下。

 誰か言っていた。帰って来ないのかと。

 自分の意思でここにいる。

 誰も助けてくれなかった。けど、誰を助けることはできたかな。

 今はどうしてここにいるのだろう?
 何かがしたかったけど、それもできなかった。

 帰りたいけど、帰る場所もない。

 けど、誰か待ってくれているのなら、帰れるのかな?

 あの木の下でなら、いてもいいのかな。

 静かな木の下は、静かで不思議とそこにいるのだけで、すべてを忘れることができそうな場所だった。

 桜の木に月がかかって見える。月は、とても大きくて、なぜか青白く見え、そしてとても美しく見えた。


 これは、夢なんだと思える風景。
 こんな場所は、見たこともないのに。
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