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「バレリーさん、また会えて嬉しいです。」
「あの時は、お別れの挨拶もせずに、すみませんでした。あれだけお世話になったのに。」
「いいえ。理由は団長から聞きました。あれは、どう考えても悪いのは団長ですよ。それよりも…、フッ。」
「おい。」
私の隣にいたヴェイル様が、牙を剥き出して唸り出す。刺すような殺気が漂う中、それを吹き飛ばす場違いな笑い声が響き渡った。
「フフッ。だ、団長が、フフフ。我らが獣人騎士団の団長が、猫に。そ、その首輪、よくお似合いです。アハハハ!」
「おい、ニルセン!」
黒豹姿のヴェイル様を見て、ニルセン様が笑い転げている。
そんなニルセン様へ、ヴェイル様が爪を剥き出して飛びかかっていた。
ヴェイル様が言っていた毒に耐性のある人物とは、ニルセン様のことだった。正確には、ニルセン様の実家の蛇獣人一族。
彼らには、強力な毒耐性があり、自然毒、魔法性毒のどちらも殆ど効かないのだそうだ。
そんな蛇の一族の協力を得るべく、ヴェイル様は、その場で姫様から許可を取ると、すぐにサウザリンド王国とイザリア聖国を転移魔法陣で繋いでしまった。そして、一族との橋渡し役としてニルセン様をこちらに呼び寄せたのだ。
「ニルセン、ヴァングレーフの一族の協力を得られるか?」
ヴェイル様は、深刻な表情でニルセン様に問いかける。
「もちろん、と言いたい所ですが、団長もご存知の通り、私の一族はアレですからね…。」
「だな…。」
二人が大き過ぎる溜息を同時に吐き出した。
「族長は、団長が説得して下さい。私では、話にならないと思いますので。」
「…分かった。何とかしよう。」
二人とも、物凄く嫌な顔をしている。
そんなに嫌なのかな?
そう言えば、以前、ニルセン様は自分の実家を毛嫌いしていると聞いた。
どうしてなんだろう。
「ステラ、俺はこれから、ヴァングレーフに行く。あの一族は特殊で、俺が説得しないと駄目なんだ。だが、のんびりしている時間はない。このまま乗り込むから、ステラも付いてきて欲しい。」
ニルセン様の様子を窺っていると、突然、ヴェイル様がこちらに振り返った。
それに、私は、ほぼ反射的に頷いて返す。
すると、ずっと黙ってヴェイル様とニルセン様のやり取りを見ていた姫様が、声を上げて反対した。
「勝手に決めないでくれないかしら?偵察は必要だけど、今、ステラを神殿から出すのは危険よ?魔物の王が目覚めたせいで、ステラの中の魔核が活性化しているの。ステラの位置がバレちゃうわ。」
「だが、俺はステラを置いて行く気はない!」
「もう!これだから本能で動く獣人は!何で、世界の危機に進んで協力しないのよ!」
姫様は、ソファの肘置きに拳を叩きつけると、すぐに立ち上がった。
そして、私の後ろに回り、きっちり結んだ赤毛に触れる。
「ごめんね、ステラ。」
切ない声で呟いた姫様が、私の髪を解き始めた。
私は、姫様の行動を不思議に思いつつも、大人しく受け入れる。すると、焦った顔のヴェイル様が、私の視界に入った。
「あの時は、お別れの挨拶もせずに、すみませんでした。あれだけお世話になったのに。」
「いいえ。理由は団長から聞きました。あれは、どう考えても悪いのは団長ですよ。それよりも…、フッ。」
「おい。」
私の隣にいたヴェイル様が、牙を剥き出して唸り出す。刺すような殺気が漂う中、それを吹き飛ばす場違いな笑い声が響き渡った。
「フフッ。だ、団長が、フフフ。我らが獣人騎士団の団長が、猫に。そ、その首輪、よくお似合いです。アハハハ!」
「おい、ニルセン!」
黒豹姿のヴェイル様を見て、ニルセン様が笑い転げている。
そんなニルセン様へ、ヴェイル様が爪を剥き出して飛びかかっていた。
ヴェイル様が言っていた毒に耐性のある人物とは、ニルセン様のことだった。正確には、ニルセン様の実家の蛇獣人一族。
彼らには、強力な毒耐性があり、自然毒、魔法性毒のどちらも殆ど効かないのだそうだ。
そんな蛇の一族の協力を得るべく、ヴェイル様は、その場で姫様から許可を取ると、すぐにサウザリンド王国とイザリア聖国を転移魔法陣で繋いでしまった。そして、一族との橋渡し役としてニルセン様をこちらに呼び寄せたのだ。
「ニルセン、ヴァングレーフの一族の協力を得られるか?」
ヴェイル様は、深刻な表情でニルセン様に問いかける。
「もちろん、と言いたい所ですが、団長もご存知の通り、私の一族はアレですからね…。」
「だな…。」
二人が大き過ぎる溜息を同時に吐き出した。
「族長は、団長が説得して下さい。私では、話にならないと思いますので。」
「…分かった。何とかしよう。」
二人とも、物凄く嫌な顔をしている。
そんなに嫌なのかな?
そう言えば、以前、ニルセン様は自分の実家を毛嫌いしていると聞いた。
どうしてなんだろう。
「ステラ、俺はこれから、ヴァングレーフに行く。あの一族は特殊で、俺が説得しないと駄目なんだ。だが、のんびりしている時間はない。このまま乗り込むから、ステラも付いてきて欲しい。」
ニルセン様の様子を窺っていると、突然、ヴェイル様がこちらに振り返った。
それに、私は、ほぼ反射的に頷いて返す。
すると、ずっと黙ってヴェイル様とニルセン様のやり取りを見ていた姫様が、声を上げて反対した。
「勝手に決めないでくれないかしら?偵察は必要だけど、今、ステラを神殿から出すのは危険よ?魔物の王が目覚めたせいで、ステラの中の魔核が活性化しているの。ステラの位置がバレちゃうわ。」
「だが、俺はステラを置いて行く気はない!」
「もう!これだから本能で動く獣人は!何で、世界の危機に進んで協力しないのよ!」
姫様は、ソファの肘置きに拳を叩きつけると、すぐに立ち上がった。
そして、私の後ろに回り、きっちり結んだ赤毛に触れる。
「ごめんね、ステラ。」
切ない声で呟いた姫様が、私の髪を解き始めた。
私は、姫様の行動を不思議に思いつつも、大人しく受け入れる。すると、焦った顔のヴェイル様が、私の視界に入った。
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