下剋上を始めます。これは私の復讐のお話

ハルイロ

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「貴女なんて、大嫌い。光輝く貴女なんか...。」

「ええ、私も。愛されることを当たり前だと思っている貴女なんて、嫌いです。」

私とダリア様は真っ直ぐ、その瞳をぶつけ合う。
私達は結局、最初から最後まで歩み寄ることは出来なかった。


私はその視線を逸らすことなく、聖剣を振り上げる。
ダリア様の瞳には、長剣を天に向かって突き上げる私の姿が写っていた。

私はそのまま真っ直ぐ、聖剣を振り下ろした。
何の抵抗もなく、刃は羽を切り落とす。
ゴトリと鈍い音を響かせて、ダリア様の片羽が、地面に落ちた。


どこからかやってきた風に乗って、真紅の羽が散っていく。それは、赤い花弁が風に舞う花園の風景にも見えた。

その光景を無抵抗で見ていたダリア様の体が、力を失い崩れ落ちる。
ダリア様の背に残っていた片羽も、風に乗って消えていった。



「これで終わったの?」

地面に伏しているダリア様は、ピクリとも動かない。
胸は規則的に動いているから、呼吸はしている。でも、魔力は一欠片も感じられなかった。



「終わった!」

「終わったよー!」

「頑張ったね!」

「ちゃんと約束守れた!」
大分数の減った妖精達が、騒いでいる。


「あっ!」
呆然と妖精達の光を眺めていた私の右手に、小さな振動が走った。


カラン


高い金属音が聞こえ、聖剣の刃先が地面に落ちるのが見えた。


聖剣が...。

刃が真っ二つに折れ、聖剣は輝きを失っていた。



「この子も役割を終えたんだね。」

「約束守ったんだね!」

「すごい、すごい!」

「頑張ったね。」

妖精達が、折れた聖剣に群がっている。


「貴方達と聖剣の役割は、世界と戦う私の力になることだったの?」

「うん!いつか来る後輩を守ってあげてって言われたの。僕達は、そのために生まれたんだよ!だから良かった!ちゃんと出来て!」

「良かった!良かった!」

それぞれ好き勝手に動いていた妖精達が、フワリと舞い上がる。そして、上へ上へと登り、私の手の届かない所まで行ってしまう。もうお別れの時間が来たかのように。


「またね、後輩!」

「またね!」

そう言い残して、妖精達はあっさり消えていった。


「...またね。」

ありがとう。

私は消えた光に、感謝と再会の願いを送った。





「リルちゃん、大丈夫?」

「はい。ルーイ先生は、大丈夫...、じゃなさそうですね。」

ゲイツに背負われてきたルーイ先生は、岩の横に座ったまま動かない。


「色々折れちゃってて、身体中痛いよー。でもゲイツ君に足になってもらうから、大丈夫!」

「そ、そうですか。」

隣にいるゲイツをチラッと確認すると、彼はルーイ先生を呆れた目で見ていた。


「では先生、今すぐ脱出しましょう。」


私はみんなにもう一度、回復魔法をかけた。





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