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「すごーい!君、言い切ったね!そこまで来ると、寧ろ清々しいよぉー!でも、残念。これを知っちゃったリルちゃんは、このまま無視するなんて出来ないんだなぁー。」
ウィルを揶揄うように、シロは飄々とした口調で話す。
そんなシロを、ウィルはきつく睨みつけていた。


「リルちゃん、騙すようにここに連れて来てごめんねぇー。君がこの世界で生を受けた日、世界はすぐに君の存在に気付いた。だから、いつかこの日が来ることは分かってたんだぁー。僕はねぇー。ずっとずっと、リルちゃんの成長をあの泉の底から見てきた。君も僕の可愛い使徒達同様、強く優しい子になったねぇー。聞き慣れた安っぽい言葉かもしれないけど、僕は、リルちゃんを信じてるんだ。だから、どうかお願い。僕の世界を守って、聖女リルメリア。」

シロは淡い光を纏い、フワリと宙に浮かび上がった。そしてウィルを飛び越えると、私の額に右手を添えた。


シロの手から、温かい何かが私の中に流れてくる。
昔からよく知っている、ずっと共にあったような何かが。


「リルちゃん、受け取って。」

そう言ったシロの輪郭は、光の中でボヤけていた。
私は声を頼りに、光に手を伸ばす。



リン、リン、リン。


澄んだ鈴の音が光と共に、優しく私を包む。その音は、私に燻る不安や恐怖を浄化しているように感じた。


怒りが消え、冷静になった頭で、私は思う。
私は、神という存在に上手く利用されているだけなのかもしれないと。
可愛い狐の姿をしていても、シロは神。
私達、人より遥かに上位の存在だ。
聖女と言われ、特別に力を与えられていても、所詮私は神々にとって道具の一つなのだろう。


でも、私は感謝しているのよ。
一度失った家族を、再び得ることが出来たのだから。大切な人達だって、沢山できた。
理花が失ったものを、私は今、この手に抱きしめられている。

だからシロ、これは私の恩返しでもあるの。貴方と、そしてこの世界への。



目の前の光が、少しずつ弱まっていく。シロの声も、不鮮明になっていた。


「これは...、僕が出来る最後の贈り物。リルちゃんが呼べば、必ず応えてくれる。大丈夫!君なら大丈夫だよぉー。だから...、どうか、お願い...無事...。」


「分かった!私、やってみる!ダリア様を止めるから!シロはちゃんと、私達が帰るのを待っていて!」

その会話を最後に、辺りは真っ暗な闇に包まれる。そして、私の手には温かい何かが残っていた。

 

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