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何台もの馬車が行列を作り、やっと辿り着いた王宮は、沢山の人で溢れていた。
人の輪ができている場所には、異国の衣装を纏う人達もいる。
その中を給仕が、いつもとは違う豪華な制服で人の間を行き交っていた。
警備の騎士も正装姿で会場内を見渡している。
私達が会場内に入ると、一瞬賑やかなお喋りが止み、窺うような視線を向けられた。
その中をお父様とお母様が、堂々と進む。
私達に話しかけに来る貴族はいない。遠くにフェリナとアデリアの姿が見えたけれど、顔を逸らされてしまった。
仕方がないとはいえ、友達に無視されるのは悲しい。
「なぜ、アルト侯爵が?」
「レブロン公爵もいないというのに、よく顔を出せたものだ。」
「侯爵としての最後の公務だからじゃないか?男爵に格下げされるようだし。」
「まあ、それは本当だったの?恥ずかしい。」
アルト家を馬鹿にしている人達に、お父様が睨みを利かせると、ビクリと震えて黙り込んでしまった。
「リルメリア嬢!良かった。貴女に会えて。」
貴族の中を掻き分けて、ゲイツ様が駆け寄ってきた。そして、人目も気にせず膝を突く。
周りにいた人達が驚きのあまり声を上げた。
「申し訳ありません。私は貴女の辛い現状を知らなかった。大切な貴女が苦しんでいる時に駆け付けられない私は騎士失格だ。」
ゲイツ様が私の手を握り、自身の額に当てる。
「あのっ!ゲイツ様、頭を上げてください!ゲイツ様は民を守っていたのでしょう?アルバス様と大変な思いをされたと聞きました。それなのに、私の事を心配していただいて、ありがとうございます。」
「心配するのは当たり前です。私は貴女を守りたい。せめて今だけでも貴女の盾でいさせてください。」
そう言うとゲイツ様は、私の隣に立って、不躾な視線を遮ってくれた。
人の視線がこちらに向いている中、会場内にファンファーレが響き渡る。
ゲイツ様に背中を支えられ壇上を見ると、陛下にエスコートされたダリア様がゆっくりと階段を登っていた。その後ろに王太子殿下とアルバス様が続く。
しかし王妃様の姿はどこにもなかった。
私は内心首を傾げながら壇上を見つめる。
「今宵は素晴らしい日だ。歴史的な日になる!ダリアよ。」
「は、はい、お父様。」
一歩前に出たダリア様は、今まで身に付けていた聖女のような清楚なドレスではなく、真紅の豪奢なドレスを着ていた。その頭には、王妃様が式典で着用されてきた国宝のティアラが乗っている。
相変わらず不安そうに背を丸めながら、その手に王家の秘宝たる錫杖を握っていた。
「では、その輝かしい瞬間を皆で迎えよう。」
陛下の掛け声で、会場のドアが大きく開いた。
人の輪ができている場所には、異国の衣装を纏う人達もいる。
その中を給仕が、いつもとは違う豪華な制服で人の間を行き交っていた。
警備の騎士も正装姿で会場内を見渡している。
私達が会場内に入ると、一瞬賑やかなお喋りが止み、窺うような視線を向けられた。
その中をお父様とお母様が、堂々と進む。
私達に話しかけに来る貴族はいない。遠くにフェリナとアデリアの姿が見えたけれど、顔を逸らされてしまった。
仕方がないとはいえ、友達に無視されるのは悲しい。
「なぜ、アルト侯爵が?」
「レブロン公爵もいないというのに、よく顔を出せたものだ。」
「侯爵としての最後の公務だからじゃないか?男爵に格下げされるようだし。」
「まあ、それは本当だったの?恥ずかしい。」
アルト家を馬鹿にしている人達に、お父様が睨みを利かせると、ビクリと震えて黙り込んでしまった。
「リルメリア嬢!良かった。貴女に会えて。」
貴族の中を掻き分けて、ゲイツ様が駆け寄ってきた。そして、人目も気にせず膝を突く。
周りにいた人達が驚きのあまり声を上げた。
「申し訳ありません。私は貴女の辛い現状を知らなかった。大切な貴女が苦しんでいる時に駆け付けられない私は騎士失格だ。」
ゲイツ様が私の手を握り、自身の額に当てる。
「あのっ!ゲイツ様、頭を上げてください!ゲイツ様は民を守っていたのでしょう?アルバス様と大変な思いをされたと聞きました。それなのに、私の事を心配していただいて、ありがとうございます。」
「心配するのは当たり前です。私は貴女を守りたい。せめて今だけでも貴女の盾でいさせてください。」
そう言うとゲイツ様は、私の隣に立って、不躾な視線を遮ってくれた。
人の視線がこちらに向いている中、会場内にファンファーレが響き渡る。
ゲイツ様に背中を支えられ壇上を見ると、陛下にエスコートされたダリア様がゆっくりと階段を登っていた。その後ろに王太子殿下とアルバス様が続く。
しかし王妃様の姿はどこにもなかった。
私は内心首を傾げながら壇上を見つめる。
「今宵は素晴らしい日だ。歴史的な日になる!ダリアよ。」
「は、はい、お父様。」
一歩前に出たダリア様は、今まで身に付けていた聖女のような清楚なドレスではなく、真紅の豪奢なドレスを着ていた。その頭には、王妃様が式典で着用されてきた国宝のティアラが乗っている。
相変わらず不安そうに背を丸めながら、その手に王家の秘宝たる錫杖を握っていた。
「では、その輝かしい瞬間を皆で迎えよう。」
陛下の掛け声で、会場のドアが大きく開いた。
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