下剋上を始めます。これは私の復讐のお話

ハルイロ

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「ご、ご機嫌よう、リルメリア様。あ、あの...」

「ああ、大丈夫だよ、ダリア。僕が付いているからね。それに君は聖女なんだ。何でも好きにしていいんだよ?」
相変わらず辿々しく話すダリア様を、隣の男子生徒が甘く慰めている。

この男子生徒はバレントの公子、ダンディーラー・バレント様だろう。ベイルリーン様と同じ綺麗な黒髪を、肩に流していた。


「ああ、女の子が争っちゃダメだよ。君がリルメリアだね?ダリアのこと、虐めないでほしいな。ダリアは、この世界で大事な大事なお姫様なんだから。」

「あ、あの!私の事はいいんです。私こんなだからリルメリア様に嫌われても仕方ないし。で、でも、ウィルフレイ様には謝ってください。前みたいにウィルフレイ様が笑ってくれないのってリルメリア様のせいですよね?ウィルフレイ様は頑張ってるんです!意地悪しないでください。」


「意地悪って何ですか?」
冷え切った私の心が限界を迎えて、思わず言葉が出た。

「え?」

「だから、意地悪って具体的に何ですか?私がいったい何をしたのでしょう。教えてくれません?」


「え?っえっと、それは、だって。」
ダリア様は下を向いて泣き出した。


ほら、また始まった。私を責めるくせに、話しかけるとすぐに泣く。
私が怖いなら近寄らなければいいのに。


「まあ、ダリア様。泣いてはダメよ?素敵な赤い目が、余計に赤くなっちゃうわよ?」
ダリア様をベイルリーン様達が優しく慰めている。いつもの見慣れた光景だ。

そんな中、私はゆっくりとダリア様に近付く。


「ちょっと、貴女ね!聖女様に近付かないで!」
リノアーノ様の制止を躱すと、私はダリア様の前に立った。
そんな私を生徒達が刺すような目で見る。


「ダリア様、そのペンダントはウィルからの贈り物ですか?」
私は出来る限り冷静に、ダリア様へ尋ねた。

ダリア様の首に掛かっているペンダントは、私とお揃い。私が初めてリングドン領に行った時に、ウィルがくれたラフィールの花のペンダント。
ウィルの瞳の色と同じ青の魔鉱石が、ダリア様の首元で輝いていた。


「あ、あの、これは。私、リルメリア様が羨ましくて。それで...リルメリア様には不快に思われちゃうかもしれないけど。どうしてもってお願いしたら、その...。」

「そうですか。」
これ以上聞きたくなくて、私はダリア様の言葉を遮った。



「あっ!こちらです!」

「ダリア様!リングドン様をお連れしましたよ!」

廊下が再び騒がしくなると、慌てた様子の女子生徒がウィルを連れて部屋へ入ってきた。










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