下剋上を始めます。これは私の復讐のお話

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「ルイセント殿、そのようなことが本当に起こるのですか？」

「もちろん全ては可能性の話だよ。まあ、僕の中ではほぼ確信に近いかな。でもね、そもそも国の存亡を1人の女の子に任せてる状態が異常なんだよ。それを疑問にも思ってないしね。」
ルーイ先生の鋭い指摘に全員が口をつぐむ。


「数年前から聖火の弱体化は問題視されてたんだ。でもアルト家が生み出した結界魔道具が第2の防衛になってくれた。これを期に各領地も独自に対策してくれたら良かったんだけどね。結局、あの王女様の出現で元に戻っちゃったでしょー。聖火が弱まってるって言ってんのに何考えてんだろうね、あの馬鹿王はー。」

あっ！ちょっと！
ルーイ先生それは絶対まずいです！


「ブフッ！」
お父様まで！しっかりしてください！

吹き出して笑っているお父様の横で、公爵は顔を引き攣らせていた。



「あ、あの。じゃあ俺達はどうしたらいいんですか？」
不安そうに手を上げたロイドが、ルーイ先生に問いかける。


「君はさ、大切なものはある？それこそ命をかけられるものが。」

命をかける。
そのずっしりと重い言葉を、ルーイ先生は真っ直ぐロイドに投げかけた。


「俺は、俺達は生まれ育った故郷を守りたい！」
ロイドとニルフはお互いの目を合わせて力強く頷いた。


「うんうん、いいね。だから僕のところへおいで。鍛えてあげるから。」

「「はい！」」
決意を固めたロイドとニルフは、とても大人びて見えた。


「私も、行きたいです！家族を守るために。」
先程まで怯えていたリズベルもしっかりとルーイ先生に向き合っていた。


「よし！決まりだね！心配いらないよー。アルト商会には全面的に協力してもらうからねー。」


「あらら、聞いてませんよ、ルイセント様。」
お父様は呆れたようにルーイ先生を見ているけれど、なんだか楽しそうだ。
なんだかんだ言っても、しっかり協力するのだろう。


「リルちゃんとレブロン嬢はどうするー？あっ！でもリルちゃんは僕の弟子だから強制的に加入させるよー。」

え！？私もギルドで働くの！？


「ルイセント様、リルはアルトの宝なので駄目です。」


「えー！いいでしょー。貸してよ！頂戴よ！」

いや、あげませんよ、先生。

ルーイ先生とお父様が言い争っているのを公爵が呆れた目で見ていた。