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きっかけは一隻の難破船だった。南の小さな漁村に行き着いたその船には、魔物に襲われたような大きな傷があり、生存者は1人も確認できなかった。
調査をすると、船底には隠されるように数体の魔鉱石化した死体があった。
粉末状のサンクティーも発見されたため、王家は秘密裏に捜査をしていたそうだ。
「初めはどこの船か分からなかったんだ。所属が分かりそうな物は何も残されていなくてね。でも、その船にはちょっとした特徴があった。調べてみると、リークロン港で何度か見られていたようなんだ。」
その船は船底が浅く、船体が木で作られた高速船だった。
リークロン港に入る船は、他国行きの貿易船が多いため、耐久性が高い金属で補強された船が大半だ。
そのため、特徴的なこの船を覚えている船員がいた。
「その船員はアルト商会の従業員だったんだ。貴女の商会は本当に優秀な人材が多いね。」
アルト商会への賛辞は何よりも嬉しい。少しだけ私の頬が緩んだ。
「リークロン領には数名の暗部の人間を潜入させている。私は彼らが動きやすいように、視察と称してリークロン伯爵を揺さぶるつもりだ。リルメリア嬢にはその協力を願いたい。」
「分かりました。」
ふと、私の中に疑問が浮かぶ。
「あの、父はこの事を知っているのですか?」
「もちろん知っているよ。あの人が知らない事なんてないんじゃないかな。」
アルバス様が苦笑いを浮かべた。
そうなのです。本当にお父様は不思議な人なのです。
私はお父様の人好きする笑顔を思い出した。
「侯爵は貴女がこの件に関わることを良しとはしなかった。でも私も色々と条件を出して頑張ったんだ。グランディスの同行の件とかね。」
アルバス様の笑顔に、私の肩がビクリと跳ねる。
「え、え、えっと。」
「そんなに動揺しないで。彼にも協力してもらえたら助かるしね。でも、ルイ君か。フフ、あの時の貴女は可愛かったよ。」
もう!お父様も初めから言ってくれれば良かったのに。
私は口をへの字にして、アルバス様を睨んだ。不敬罪なんて知りません!
「ごめんね。」
アルバス様の首を傾げた仕草に、私の怒りが一気に消える。どうしよう、可愛い。
「貴女は必ず守るから。私の命にかけて。」
ウィルより深い青の瞳が私を射抜く。
瞬きも忘れてその瞳に魅入っていると、アルバス様が吹き出すように笑った。
「貴女に何かあったら、私はそれはそれは惨い方法で侯爵に殺されそうだ。」
「いえ、さすがの父もそんな不敬な...」
やるのだろうか。ちょっと不安になってきた。
顳顬を揉んでいると上機嫌のアルバス様が軽く手を打った。
「これから私達はパートナーだ。ではリルメリア嬢、作戦会議といこうか!」
調査をすると、船底には隠されるように数体の魔鉱石化した死体があった。
粉末状のサンクティーも発見されたため、王家は秘密裏に捜査をしていたそうだ。
「初めはどこの船か分からなかったんだ。所属が分かりそうな物は何も残されていなくてね。でも、その船にはちょっとした特徴があった。調べてみると、リークロン港で何度か見られていたようなんだ。」
その船は船底が浅く、船体が木で作られた高速船だった。
リークロン港に入る船は、他国行きの貿易船が多いため、耐久性が高い金属で補強された船が大半だ。
そのため、特徴的なこの船を覚えている船員がいた。
「その船員はアルト商会の従業員だったんだ。貴女の商会は本当に優秀な人材が多いね。」
アルト商会への賛辞は何よりも嬉しい。少しだけ私の頬が緩んだ。
「リークロン領には数名の暗部の人間を潜入させている。私は彼らが動きやすいように、視察と称してリークロン伯爵を揺さぶるつもりだ。リルメリア嬢にはその協力を願いたい。」
「分かりました。」
ふと、私の中に疑問が浮かぶ。
「あの、父はこの事を知っているのですか?」
「もちろん知っているよ。あの人が知らない事なんてないんじゃないかな。」
アルバス様が苦笑いを浮かべた。
そうなのです。本当にお父様は不思議な人なのです。
私はお父様の人好きする笑顔を思い出した。
「侯爵は貴女がこの件に関わることを良しとはしなかった。でも私も色々と条件を出して頑張ったんだ。グランディスの同行の件とかね。」
アルバス様の笑顔に、私の肩がビクリと跳ねる。
「え、え、えっと。」
「そんなに動揺しないで。彼にも協力してもらえたら助かるしね。でも、ルイ君か。フフ、あの時の貴女は可愛かったよ。」
もう!お父様も初めから言ってくれれば良かったのに。
私は口をへの字にして、アルバス様を睨んだ。不敬罪なんて知りません!
「ごめんね。」
アルバス様の首を傾げた仕草に、私の怒りが一気に消える。どうしよう、可愛い。
「貴女は必ず守るから。私の命にかけて。」
ウィルより深い青の瞳が私を射抜く。
瞬きも忘れてその瞳に魅入っていると、アルバス様が吹き出すように笑った。
「貴女に何かあったら、私はそれはそれは惨い方法で侯爵に殺されそうだ。」
「いえ、さすがの父もそんな不敬な...」
やるのだろうか。ちょっと不安になってきた。
顳顬を揉んでいると上機嫌のアルバス様が軽く手を打った。
「これから私達はパートナーだ。ではリルメリア嬢、作戦会議といこうか!」
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