37 / 308
2-24
しおりを挟む
「もうすぐ長期休みだけど2人はどうするの?」
出された課題の参考書を探しに、リズベルとティーナと一緒に図書室に来ていた。
「私は家に帰るんだ。うちは兄弟が多いからお土産いっぱい買って帰らないと。」
面倒見の良いリズベルらしい。リズベルの家は、王都から馬車で1日ほどの距離にある港町にあるそうだ。
「私は社交もあるからずっと王都にいるわ。リルは王宮のお茶会には出ないの?」
「私まだお茶会デビューしてないの。お父様から許可が降りていないから今年は参加しないつもり。でもお母様が領地からいらっしゃるから、私も王都にいる予定かな。」
私は本来、今年からリトルレディとしてお茶会デビューする予定だった。
でもアルト家が結界魔法具の発表を控えている今、お父様から無期限の保留を言い渡されてしまった。
「じゃあ私と2人でお茶会しましょうね。」
「いいなー。私もリルとティーナと遊びたかったな。」
「ふふ。リズベルも帰ったらきたら3人でお茶会しましょうね。」
「楽しい休暇にするために課題早く終わらせなきゃね。」
私達は目の前の課題に集中することにした。
「リルたん!もう限界!」
週末、いつも通りマレーゼ先生の授業を終え、自室で寛いでいると、ドアを壊す勢いで1人の人物が飛び込んできた。
「レイズさん!お嬢様のお部屋ですよ。」
ラナが怒りながらドアを閉めた。
「レイズどうかしたの?」
「リルたん。どうもこうもないの。仕事が終わらない!誰か優秀な人紹介して。じゃなきゃお肌の手入も出来ない。見てよ、この肌荒れ。」
「分かった。とりあえず落ち着こう。こっちに座って。」
レイズをソファに座るように促し、ラナにお茶を頼む。
目の前に座るレイズは確かに少し疲れているようだ。いつも、美にうるさいレイズの顔に隈がある。
レイズ・グローリー
お父様が隣国から拾ってきた天才魔道具士。
赤みがかった巻毛のブロンドを優雅に下ろし、切れ長の桃色の瞳を持つ美女。
でも実はこれは仮の姿で、髪や瞳の色は彼が自ら開発した魔道具で変えている。
そう、目の前の彼は女性ではなく男性だ。こんなに美人なのに。
レイズは隣国の魔道具士ギルドで美容関係の魔道具を開発していた。
美を追求する彼にとって、最早性別などどうでもいいらしい。
美を求めすぎて、体の内部まで弄ろうとしたところ、ギルドから追放されたそうだ。
「商会の魔道具士を増やすならお父様に相談した方がいいんじゃない?」
「今欲しいのは魔道具士じゃなくて、リルたんに頼まれた医療魔法の方を任せられる人なのよ。」
今、商会は結界魔法具の開発を優先している。
以前私が頼んだ解析魔法は、レイズが空いた時間に少しずつ進めていたそうだ。けれどここに来てもう限界らしい。
「分かった。お父様とも相談してみるね。」
「お願いね。そう言えば、子爵が離れの研究室を増築してくれるって。私の実験室もそっちに移すからよろしくね。」
初めて聞きました、お父様。
これから研究室は賑やかになりそう。
出された課題の参考書を探しに、リズベルとティーナと一緒に図書室に来ていた。
「私は家に帰るんだ。うちは兄弟が多いからお土産いっぱい買って帰らないと。」
面倒見の良いリズベルらしい。リズベルの家は、王都から馬車で1日ほどの距離にある港町にあるそうだ。
「私は社交もあるからずっと王都にいるわ。リルは王宮のお茶会には出ないの?」
「私まだお茶会デビューしてないの。お父様から許可が降りていないから今年は参加しないつもり。でもお母様が領地からいらっしゃるから、私も王都にいる予定かな。」
私は本来、今年からリトルレディとしてお茶会デビューする予定だった。
でもアルト家が結界魔法具の発表を控えている今、お父様から無期限の保留を言い渡されてしまった。
「じゃあ私と2人でお茶会しましょうね。」
「いいなー。私もリルとティーナと遊びたかったな。」
「ふふ。リズベルも帰ったらきたら3人でお茶会しましょうね。」
「楽しい休暇にするために課題早く終わらせなきゃね。」
私達は目の前の課題に集中することにした。
「リルたん!もう限界!」
週末、いつも通りマレーゼ先生の授業を終え、自室で寛いでいると、ドアを壊す勢いで1人の人物が飛び込んできた。
「レイズさん!お嬢様のお部屋ですよ。」
ラナが怒りながらドアを閉めた。
「レイズどうかしたの?」
「リルたん。どうもこうもないの。仕事が終わらない!誰か優秀な人紹介して。じゃなきゃお肌の手入も出来ない。見てよ、この肌荒れ。」
「分かった。とりあえず落ち着こう。こっちに座って。」
レイズをソファに座るように促し、ラナにお茶を頼む。
目の前に座るレイズは確かに少し疲れているようだ。いつも、美にうるさいレイズの顔に隈がある。
レイズ・グローリー
お父様が隣国から拾ってきた天才魔道具士。
赤みがかった巻毛のブロンドを優雅に下ろし、切れ長の桃色の瞳を持つ美女。
でも実はこれは仮の姿で、髪や瞳の色は彼が自ら開発した魔道具で変えている。
そう、目の前の彼は女性ではなく男性だ。こんなに美人なのに。
レイズは隣国の魔道具士ギルドで美容関係の魔道具を開発していた。
美を追求する彼にとって、最早性別などどうでもいいらしい。
美を求めすぎて、体の内部まで弄ろうとしたところ、ギルドから追放されたそうだ。
「商会の魔道具士を増やすならお父様に相談した方がいいんじゃない?」
「今欲しいのは魔道具士じゃなくて、リルたんに頼まれた医療魔法の方を任せられる人なのよ。」
今、商会は結界魔法具の開発を優先している。
以前私が頼んだ解析魔法は、レイズが空いた時間に少しずつ進めていたそうだ。けれどここに来てもう限界らしい。
「分かった。お父様とも相談してみるね。」
「お願いね。そう言えば、子爵が離れの研究室を増築してくれるって。私の実験室もそっちに移すからよろしくね。」
初めて聞きました、お父様。
これから研究室は賑やかになりそう。
13
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語
スピカナ
恋愛
親の再婚で8歳の義妹・莉子がやって来たのは春樹が22歳の医大生の時。莉子が病弱ゆえに、開業している実父から勉強になるからと、治療や看護の記録を書くように言われ、治療にも立ち会うようになった。それ以来毎日診察することが日課となる。その莉子も今年から大学生となり、通学に便利だからと、俺のマンションに引っ越してきた。このお話は、春樹が男としての欲望にジタバタしながらも、溺愛する可愛い莉子の闘病に奮闘する甘~い二人の愛の物語です。
なお、このお話は全て想像で書いた架空の話なので、医学用語や病気情報はすべて真に受けないように、どうぞよろしくお願い致します。エロいマークは*です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。
りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。
伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。
それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。
でも知りませんよ。
私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!
乙女ゲームに転生?そんなの知りません私はとことん家族と幸せに暮らします!
みゆ
恋愛
宮崎華蓮は、高校2年生で1人っ子な上に父と母は幼い頃に他界していた。
その為華蓮は家族愛というものを知らずに育ち、友達と一緒に普段生活していた。
だが、友達の1人に乙女ゲームを勧められ、それをやったところ思ってたよりも面白くついついやり込んでしまった。
そんなある日、いつの間にか寝ていて、起きてみると白い部屋に!?
女神様が私を守りきれなかったらしく、死んじゃったらしい。
「おぎゃーおぎゃー!!」
ん?え?はああああああ!!!!!!まさかの最近はやってる転生的なやつ?強制!?えええええ!!!!私まだやり残してることあったのにいぃぃ!!!ルークルートまだ途中だよぉぉおお!!どうしてくれんのおぉ!女神様ああ!!!
乙女ゲームに転生?そんなの知りません私はとことん妹と弟を愛でます、から名前変えました!
初心者なので誤字脱字が出るかも知れませんが、暖かい目で見守ってくれるとありがたいです。恋愛にしていくつもりではありますが、かなりファンタジー要素の方が強いかも知れません!恋愛までは気長に待っていただけるとありがたいです。
更新は不定期です!すみません!それで、私情により数ヶ月更新できなくなる場合があります!ご了承ください!
現在、1話ずつ読みやすいよう修正しておりますがペースが遅いため途中で読みにくくなってるところがございます。
ご了承ください┏●
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる