【都市伝説】新妖怪ワリメのエロ恐怖

第2章. 新妖怪ワリメ

016. 筋好太郎の単独ライブ

　今年から数えるとちょうど69年の昔、このジャパンで総理大臣をしていたのは、その当時与党第1党だった共生党の書記長・核さね捻介よじすけである。
　核のことを、周囲の政治家や秘書や官僚や記者やお茶の間の国民たち、要するにオールジャパニーズが〈エロテク総理〉や〈スケベ度ジャパンNo.1〉や〈絶倫妖怪〉などと呼んでいた。
　核には愛人の数が常に2桁を下回ったことはなかったとも云う。特に女を秒でイカせるエロテクとして核が得意としたのは〈高速陰核捩り〉あるいは〈クイッククリクリック〉などと命名されていて、多くの女を悶えさせ失神させ失禁もさせ昇天させていたものだと、当時を知る者は口をそろえて云っている。
　それほどまでにエロテク総理の名をほしいままにした政界かつ性産業界の覇者・スケベ度ジャパンNo.1絶倫妖怪の孫が、他でもなく発情5連発不倫前総理・筋好すじすき太郎たろうなのだ。
　その筋好が先日ソーシャルネットワークサービス、略称〈SNS〉を通して「ワシを支持しているジャパニーズ男子たちに重大発表がある。今月30日の午後3時から帝京都内の野球場〈ジャパンプレミアム帝京スタジアム〉で異例の単独ライブを開く。ただし女性は減菌な」とアナウンスした。それが一気に拡散したため「バカヤロー！　女性を菌扱いするな！」や「カバヤロー！　お前が減菌されるべきだ！」や「カバチンポコリン！」などとネット上は大炎上を始める。
　そして数時間が経過した頃に筋好は「訂正する。さっきのは秘書が変換ミスをやからした。誤：減菌。正：厳禁。女性の入場は厳禁と云う意味だ！　女は絶対くるなよ。きても入れてやらないからな」と再アナウンスした。これが火に油をさすことになり、ネット上ではさらなる大大炎上のババババーン祭りが始める。
　当然のように連日連夜マスコミは沸騰状態となり、どこもかしこも抗議の電話が鳴り響いた。
　こうして迎えた西暦202X年4月30日午後3時0分1秒ジャスト、ジャパンプレミアム帝京スタジアムの大迫力32Kエキシビション大画面に『発情5連発不倫前総理・筋好太郎の単独ライブ』と表示されて、観客席に集まっている22万人の男どもが「やんややんや！」や「なんやかんや！」や「ぱぱらぁぱぱらぁぱーぱーぱー♪」などと大騒ぎの大盛り上がり大会となった。
　だがしかし、その直後かつてない規模の巨大竜巻が発生したかのような大ブーイングが巻き起こる。
　なぜならマウンド上に、プロ野球の試合中に交代要員の救援ピッチャーを運んでくるバギーみたいなオレンジ色のエレキカーに乗って登場したのが、テレビ帝京放送、略称〈テレ帝〉のエロ度No.1美人アナとして知られている陳湖田ちんこだ萌絵もええ、通称〈チンパン〉だったからだ。
　観客席にいる1人の男・掻升かきます種馬たねまが大きく唸り「あっちゃー、テレ帝に出し抜かれたよ、おいおいノンオイル～ルルル♪」と焼けの勘八よろしくボケ混じりの愚痴ソングを歌うしかなかった。
　この掻升は、朝毎放送（モーニングエブリーブロードキャスティングシステム）、略称〈MEBS〉が先月放送した緊急特別生番組『珍病ワリメ渇望症とはなにか？　前総理・筋好太郎が独白！』でディレクターをやった男なのだ。その放送で驚異的な瞬間視聴率79％を弾き出し有頂天になっていたところに、テレ帝からやり返されてしまった。
　もちろん、他の観客たちも「女は厳禁じゃねえのか、ホラ吹き前総理！」や「ふにゃちんぽこりんワリメ渇望症・筋好」や「チンパン萌えぇぇ～！」などと引き続き大騒ぎの大盛り上がり大会開催中状態。
　興奮冷めやらぬジャパンプレミアム帝京スタジアムのマウンド近くに停車したエレキカーからチンパンが降りるとき、彼女がお約束にしている「足がもつれちゃってスッテンコロリン」をやってのけた。もちろん超ミニのスカートを自分の手でわざとめくって薄黄色の透け透けパンティーをモロ見せする演出もしっかりこなした。もちろんその詳細部分が大迫力32Kエキシビション大画面に大写しされて、観客席は割れんばかりの大喝采が発生する。
　そして筋好がバッターボックスに入り純金製バットを構えようとしたとき、やはりお約束のようにして、突然にして発情状態となったのである。

「ワリメワリメ、ワリメを見せろ！　萌絵ちゃ～ん、ワシにワリメを見せてくれ！　スカートを脱いで、パンツも脱いでくれ！　ワシがナメナメしちゃるわい。ナメッコナメッコ、萌絵ちゃんのワリメをナメッコ！」
「きゃあ～～～～～～っ！」

　チンパンは甲高い叫び声を上げながら走って逃げた。
　だがしかし、その尻を目がけて筋好が野獣のような猛ダッシュで追いかける。79歳のくせして、無駄に強靭な駆動力を持っている。その走りはエレキカー並みの速さのように錯覚してしまう者もいたことであろう。
　それでもチンパンは、なんとか逃げ延びて貞操は守られた。
　筋好は屈強なアンパイアたちによって取り押さえられた。
　このようにして、波乱に満ちた筋好の単独ライブが幕を上げたのである。