【都市伝説】新妖怪ワリメのエロ恐怖

紅灯空呼

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第1章. 絵露井家の騒動

010. 射精ができなくなっている

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 得意気な様子を見せていた助夫の顔がまた急に険しくなって吾郎を睨みつける。

「うおっほん! やい吾郎よ、お前には解説しておくことが1つ以上ある。そのうちの1つ、ワシのカワイイ娘・栗花は〈スーパーレズロリアン〉なのだ。判かるな?」
「判るもんか!」
「なぜ判らんのだ!!」
「解説になってないんだよ!」
「なにを云う、ワシが今ちゃんと解説してやったではないか?」
「だからスーパーレズロリアンがどう云う意味なのかを話してくれよ」
「お前は大学へ行っておるようだが、そこでなにを学んでおるのか!」
「今は一般教養科目を色々だよ」
「英語は?」
「ああ、もちろん英語だってある」

 助夫は、ドヤ顔で答えた吾郎の斜め右上辺りを見つめながら溜め息をつく。

「やれやれ、ジャパンのユニバースもレベルが落ちたものだ。英語力が低すぎてマッターホルンが鹿の頭くらいの高さに見えるぞ」
「は?」

 吾郎の方は最早あきれ果て、ロクに言葉を返せない。

「スーパーは超だ。そしてレズロリアンはレズビアンとロリータと云う2つの単語に接尾語の~~なんちゃらアンをくっつけて短縮させてできた連語であーるの3乗。だからスーパーレズロリアンは超レズビアンの超ロリータ好きと云う意味になる。覚えておけ」
「くだらな~。はい超しょーもない解説をどおも、あざーっす!」
「このバカ者めが! くだらないのはむしろお前のチンポコ頭だ!」

 ここまで黙っていた満子が叫ぶことにした。

「ワタシも解説するわー、わぁー、わあーっ! で3つ輪!」
「びでぶぅ! おいこら満子よ、ワシの耳元で急に大音響を出すんじゃあない! 人知れずワシの鼓膜を貫通したではないか!」

 助夫は激怒したが、それでも手は出さないでおくことにする。なぜならヒステリー満子からの反撃チョップ〈800裂拳〉が滅茶苦茶に強烈だと知っているからだ。
 それでこそ満子は悠々自適に解説を始められる。

「さっき栗花ちゃんが吾郎に『2度と射精のできない体にしてやるわ!』なんて云ったけど、実はもう吾郎の体は射精ができなくなっているのよ」
「ええええーっ!」
「な、なんだと!」
「ちょ、母さん!」

 満子の解説が他の3人の胸をえぐった。19歳の男子でありながら既に射精ができなくなっていると云う事実ほど衝撃的な逸話は、この世間で滅多にないからだ。

「少し訂正するわ。普通の射精ができなくなっているのよ」
「ねえねえオバサン」
「それは違うでしょ栗花ちゃん」
「ふぇ?」
「オバサンではなく、お母さん、もしくはママあるいはマミーでしょ?」

 満子が絶対零度の視線を栗花に向けた。
 さすがに栗花は満子がなにを主張したいのかを、本能的に察した。

「ねえねえマミー」
「なあに栗花ちゃん。遠慮ぜずに、なんでもかんでも云って頂戴な。ただし今後2度とワタシを冒涜するようなことを云えば、お尻ペンペンのみならず、栗花ちゃんのピンク色のマンポコリンの穴に、冷凍してカチンコチンになっている剣先イカをぶち込むわよ。そしてマンポコリンの表面に、練りカラシと練りワサビと刻みショウガと宇宙で1番に辛いタバスコとエロナイン軟膏とナベアとワタシの液便をふんだんに塗りたくって、その上にタロンパスを貼ってやるわよ?」
「いやよそんなの!」
「そうだ母さん、自らの品格を下げるような言動はしないに限る。それから今の問題発言の中で並べ立てられた食料品やら薬用品やらを製造販売している会社とそこで働く全社員さんたちに謝ってくれ。貴社の商品イメージを損ねてしまって悪かったと」

 珍しいことに、吾郎が栗花の肩を持つような形になっている。

「まあ吾郎ちゃん! 母さんがいけなかったわ。あなたもいつの間にか、立派な大人の男におなりね」
「判ればいいんだ。そして、父さんと姉さん、よく聞いてくれ。さっき母さんが云った通り、オレは射精ができなくなっている」

 吾郎が発したこの台詞によって絵露井家の居間が沈黙に包まれた。
 こうして春の夜の家族会議もいよいよ酣のときを迎えるのだ。
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