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下拵えC⑥
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「ランバルト公爵! 貴殿は本気でそんなことを言っているのか!」
カイルの声にアーノルトは驚いたようにたじろぐが、「当たり前です」と言い放った。
緊張した空気で対峙する二人を見て、ララスティは思ったよりも大事になったかもしれないとベールの下で笑いそうになるのを必死で堪える。
「あのー……」
場違いなエミリアの声が響いたのはそんな瞬間だった。
「えっと、女主人の証? それをお姉様がお母さんから取ろうとしたとか、何の話? あたし、全然知らないけど?」
「お前は知らなくていい」
エミリアの言葉に対してアーノルトがすぐさま答え、部屋に戻るように言う。
だが、エミリアは「でも」と引き下がらない。
その様子にララスティは面白い事になりそうだと内心で笑う。
エミリアの態度から、ララスティの怪我やその原因も本当に知らなかったようだ。
翌日に家族三人で外出したとコールストに聞いたし、てっきり事情を知っていると思ったし、先ほどの態度もどこか演技なのではと思っていたが本気だったようだ。
「えっと、お姉様が悪いとしても……その、やっぱり怪我をするまで叩くのはだめなんじゃない? お父さんだってあたしが誰かに叩かれたら怒るでしょう?」
「当たり前だ! お前は俺の娘だぞ!」
「じゃ、じゃあさっ! お姉様だってお父さんの娘なんだし、やっぱりさ、ね?」
具体的なことは言わないが、アーノルトが悪いようなニュアンスのエミリアが気に入らないのか、アーノルトの機嫌は悪くなっていく。
「そもそも、呼んでもいないのに勝手にこっちに来やがって! しかもわざとらしくそんなものを被って、ふざけるな!」
怒りをエミリアに向けないためか、ララスティにそう言ってアーノルトは手を伸ばすが、カイルがその前に立って邪魔をする。
「何をするんですか」
「どうせ大げさにしているだけに決まってます! そのベールは大したことがないのを誤魔化すためなんですよ!」
そう言うと、アーノルトはララスティにベールを取るように命令する。
びくりと体を震わすも、ララスティは言われたとおりにベールに手をかけようとし、伸びてきたカイルの手に止められる。
「無理はしなくていい」
「いえ、大丈夫……ですわ」
ララスティはそういうとゆっくりとベールを取る。
そこには頬に大きな紫色の痕がある顔があり、カイルたちは思わず言葉を失う。
「ひっどい……」
しばらくして、ぼそっとエミリアが思わず言葉を漏らしたがまさにその通りで、公爵令嬢の顔にあっていいものではなかった。
いや、平民であっても女の子にあっていいものではない。
「ちょっとお父さん! さすがにひどいよ!」
「あ、いやっ……」
ここまで酷い状況だとは思っていなかったのか、アーノルトも動揺しているようで、うまい言い訳ができずにいる。
「……お見苦しいものをお見せして———」
「ララスティ嬢が謝ることは何もない!」
ララスティが謝ろうとした時、カイルがそう叫んだ。
「いくら細君の訴えとはいえ、年端もいかない実の娘を泥棒呼ばわりして打つなどありえない! しかもこんなひどくなるほどの力で……本当にっ、信じられない!」
カイルはそう言うとララスティの手を握って踵を返す。
「ランバルト公爵! このことは王家から正式に抗議させてもらいます!」
「あっ、カイル様! 待って!」
ララスティの手を離さないまま外に出ようとするカイルをエミリアが追いかけるが、カイルは足を止めることなく歩き、外に止めたままの馬車まで歩いていく。
「ララスティ嬢、乗って」
「カイル殿下、あのっ」
「いいから乗って」
「……はい」
いつにない強引さにララスティはカイルの手を借りておとなしく馬車に乗る。
「カイル様! あのっ……あたしっ———」
「申し訳ないが、今日はララスティ嬢に会いに来たのであって、エミリア嬢に会いに来たのではない」
「で、でも」
「それから、敬称は【殿下】にするように言われているだろう」
冷たく突き放すような声音に、エミリアがショックを受けたような表情を浮かべるが、カイルは気に止めることなくララスティに続いて馬車に乗り込み、間をおかずに扉を閉めて内鍵をかけてしまった。
そのまま出発した馬車を見送ってエミリアはすぐさま本邸に引き返し、アーノルトを責めたが、ララスティは関与しない事だった。
一方、馬車の中でカイルはララスティにベールを被り直すように言ってから無言になる。
ララスティもどうすべきか考えて何も話さない時間が続いてしまう。
(ここまで怒るとは思いませんでしたわね)
カイルがアーノルトを多少責めるとは思っていたが、ここまで怒りをあらわにするとは思わなかった。
ベール越しにカイルの顔を見るが、眉間にしわを寄せて何かを考えているようだが、その内容まではわからない。
「……あの、カイル殿下」
「………………ごめん」
「え?」
急に謝られてしまい、ララスティは意味が分からずに思わず間抜けな声が出てしまう。
「僕が怒るのはおかしいのはわかってたけど、止められなかった。ララスティ嬢が我慢したのに、ごめん」
「いえ、お気になさらずに……」
アーノルトの愚かな行いがカイルを通して王室に伝わり、そこから貴族全体に知れ渡っていけば面白いと思っていただけなのだが、カイルはその事を知らないので純粋にララスティの健気さに感銘を受けたのかもしれない。
それにしても、とララスティは考える。
アーノルトをはじめ本邸の者がララスティの怪我について全く言ってこなかったが、アーノルトはエミリアにも話していなかったようだ。
だが、事情を知っているシシルジアとスエンヴィオも何も言ってこない時点で、ランバルト公爵家におけるララスティの微妙な立ち位置が分かる。
コールストの話では、スエンヴィオはもしかしたらエミリアに情が湧き始めているかもしれないらしいので、ここでアーノルトがララスティに手を出したことは、ある意味好都合だった。
実際、参加予定だったお茶会に断りの連絡をし、新しく誘われても事情があって行けないと断っているため、何かあったのではないかと心配する手紙が何通か届いている。
社交に復帰した暁には少し怪我をしていたことを仄めかせばいい。
あとは勝手に想像して噂が広がっていく。
「エミリア嬢にも八つ当たりのような態度を取ってしまった……」
落ち込んでいるカイルの姿を見て、ララスティはもしかしたらこれが二人の仲が進展するきっかけになるかもしれないと感じた。
「しかし、住まいは違うが同じ敷地内に居るし、なにより家族なのにララスティ嬢の状態を知らないとは、薄情だな」
「仕方がありませんわ。別邸に来ることはほとんどありませんもの」
もっとも、予定外にいきなり訪問されても迷惑だし、ララスティはアインバッハ公爵家に滞在していることも多いため、不在を安易に知られたくはない。
ララスティは今ぐらいの関係性がちょうどいいのだ、カイルには家族の情が薄く見えるため、もどかしさに苦悩しているようだ。
家庭の事情を知っているだけに、あまり口出しできないと感じている分、力になれないことが悔しいのかもしれない。
「かまいませんのよ。そうそう、先日はカイル殿下に頂いた刺繍糸を見に来ていたそうなんです。あいにくその日は……あ、えっと……その日はわたくしが本邸に行ってすれ違ってしまったのですが」
濁された言葉に、その日に怪我を負わされたと察したカイルは悲痛な表情を浮かべるが、せっかくララスティが話題を変えようとしているのだと思い、話に乗る。
「エミリア嬢も刺繍に興味が?」
「どうなのでしょう? わたくしがカイル殿下に贈るハンカチに刺繍をしていると話して興味を持ったようですわ」
「そうなんだね」
カイルはエミリアとララスティがお互いに歩み寄ろうとしているのかもしれないと感じ、うまく言ってくれればいいと思ったが、その後ララスティが言葉を続けないことを不思議に思う。
「……どうしたの? いや、なにかあったのかい?」
「いえ、わたくしが自慢したのがいけなかったのかもしれませんわ」
どこか寂し気な響きの声にカイルの心に不安がよぎる。
ララスティが刺繍を施したハンカチは無事に手元に届けられている。
嫌がらせをされたとは思えないが、なにかあったのかとカイルは気づかわしげにララスティを見る。
「この際だ、教えて欲しい。僕は……ララスティ嬢の婚約者で、戦友みたいなものなんだし」
「………………実は、刺繍糸が」
「うん」
そこで再度間をおいてララスティは震える声で呟く。
「刺繍糸がほとんどなくなっておりましたの」
まるで泣くのではないかと思える声に、カイルは胸が締め付けられそうになった。
あの刺繍糸はカイルが贈ったというだけではない。
気まずい雰囲気で終わったお茶会のお詫びであり、ララスティがカイルの気持ちを汲んで返礼をするために使ってくれたものなのだ。
それを奪われるのはカイルの気持ちも、ララスティの気持ちも踏みにじられたように感じてしまう。
「彼女は、また君の物を盗んで……」
カイルが悔しそうに言うのを聞いて、ララスティは内心で笑う。
(エミリアさんへの印象が悪くなっていきますわね? この状態で貴方は真実の愛を貫けますの? ぜひとも貫いてくださいな?)
「きっと刺繍糸が素晴らしかったから……そ、それに残っている糸もありますの」
「無理に庇う必要はないよ。人の物を奪うなんて最低な行為だ」
「……はい」
しょんぼりとしたララスティの声に、カイルはエミリアに対する憤りを感じる。
もし自身の考えが当たっているのであれば、ララスティが怪我を負っているまさにその瞬間、エミリアはララスティの元から盗みを働いていたのだ。
(コソ泥はエミリア嬢の方じゃないか!)
ベールで見えないララスティの表情を想像しながら、カイルは父親であるハルトに伝えるべき内容を整理し始めた。
カイルの声にアーノルトは驚いたようにたじろぐが、「当たり前です」と言い放った。
緊張した空気で対峙する二人を見て、ララスティは思ったよりも大事になったかもしれないとベールの下で笑いそうになるのを必死で堪える。
「あのー……」
場違いなエミリアの声が響いたのはそんな瞬間だった。
「えっと、女主人の証? それをお姉様がお母さんから取ろうとしたとか、何の話? あたし、全然知らないけど?」
「お前は知らなくていい」
エミリアの言葉に対してアーノルトがすぐさま答え、部屋に戻るように言う。
だが、エミリアは「でも」と引き下がらない。
その様子にララスティは面白い事になりそうだと内心で笑う。
エミリアの態度から、ララスティの怪我やその原因も本当に知らなかったようだ。
翌日に家族三人で外出したとコールストに聞いたし、てっきり事情を知っていると思ったし、先ほどの態度もどこか演技なのではと思っていたが本気だったようだ。
「えっと、お姉様が悪いとしても……その、やっぱり怪我をするまで叩くのはだめなんじゃない? お父さんだってあたしが誰かに叩かれたら怒るでしょう?」
「当たり前だ! お前は俺の娘だぞ!」
「じゃ、じゃあさっ! お姉様だってお父さんの娘なんだし、やっぱりさ、ね?」
具体的なことは言わないが、アーノルトが悪いようなニュアンスのエミリアが気に入らないのか、アーノルトの機嫌は悪くなっていく。
「そもそも、呼んでもいないのに勝手にこっちに来やがって! しかもわざとらしくそんなものを被って、ふざけるな!」
怒りをエミリアに向けないためか、ララスティにそう言ってアーノルトは手を伸ばすが、カイルがその前に立って邪魔をする。
「何をするんですか」
「どうせ大げさにしているだけに決まってます! そのベールは大したことがないのを誤魔化すためなんですよ!」
そう言うと、アーノルトはララスティにベールを取るように命令する。
びくりと体を震わすも、ララスティは言われたとおりにベールに手をかけようとし、伸びてきたカイルの手に止められる。
「無理はしなくていい」
「いえ、大丈夫……ですわ」
ララスティはそういうとゆっくりとベールを取る。
そこには頬に大きな紫色の痕がある顔があり、カイルたちは思わず言葉を失う。
「ひっどい……」
しばらくして、ぼそっとエミリアが思わず言葉を漏らしたがまさにその通りで、公爵令嬢の顔にあっていいものではなかった。
いや、平民であっても女の子にあっていいものではない。
「ちょっとお父さん! さすがにひどいよ!」
「あ、いやっ……」
ここまで酷い状況だとは思っていなかったのか、アーノルトも動揺しているようで、うまい言い訳ができずにいる。
「……お見苦しいものをお見せして———」
「ララスティ嬢が謝ることは何もない!」
ララスティが謝ろうとした時、カイルがそう叫んだ。
「いくら細君の訴えとはいえ、年端もいかない実の娘を泥棒呼ばわりして打つなどありえない! しかもこんなひどくなるほどの力で……本当にっ、信じられない!」
カイルはそう言うとララスティの手を握って踵を返す。
「ランバルト公爵! このことは王家から正式に抗議させてもらいます!」
「あっ、カイル様! 待って!」
ララスティの手を離さないまま外に出ようとするカイルをエミリアが追いかけるが、カイルは足を止めることなく歩き、外に止めたままの馬車まで歩いていく。
「ララスティ嬢、乗って」
「カイル殿下、あのっ」
「いいから乗って」
「……はい」
いつにない強引さにララスティはカイルの手を借りておとなしく馬車に乗る。
「カイル様! あのっ……あたしっ———」
「申し訳ないが、今日はララスティ嬢に会いに来たのであって、エミリア嬢に会いに来たのではない」
「で、でも」
「それから、敬称は【殿下】にするように言われているだろう」
冷たく突き放すような声音に、エミリアがショックを受けたような表情を浮かべるが、カイルは気に止めることなくララスティに続いて馬車に乗り込み、間をおかずに扉を閉めて内鍵をかけてしまった。
そのまま出発した馬車を見送ってエミリアはすぐさま本邸に引き返し、アーノルトを責めたが、ララスティは関与しない事だった。
一方、馬車の中でカイルはララスティにベールを被り直すように言ってから無言になる。
ララスティもどうすべきか考えて何も話さない時間が続いてしまう。
(ここまで怒るとは思いませんでしたわね)
カイルがアーノルトを多少責めるとは思っていたが、ここまで怒りをあらわにするとは思わなかった。
ベール越しにカイルの顔を見るが、眉間にしわを寄せて何かを考えているようだが、その内容まではわからない。
「……あの、カイル殿下」
「………………ごめん」
「え?」
急に謝られてしまい、ララスティは意味が分からずに思わず間抜けな声が出てしまう。
「僕が怒るのはおかしいのはわかってたけど、止められなかった。ララスティ嬢が我慢したのに、ごめん」
「いえ、お気になさらずに……」
アーノルトの愚かな行いがカイルを通して王室に伝わり、そこから貴族全体に知れ渡っていけば面白いと思っていただけなのだが、カイルはその事を知らないので純粋にララスティの健気さに感銘を受けたのかもしれない。
それにしても、とララスティは考える。
アーノルトをはじめ本邸の者がララスティの怪我について全く言ってこなかったが、アーノルトはエミリアにも話していなかったようだ。
だが、事情を知っているシシルジアとスエンヴィオも何も言ってこない時点で、ランバルト公爵家におけるララスティの微妙な立ち位置が分かる。
コールストの話では、スエンヴィオはもしかしたらエミリアに情が湧き始めているかもしれないらしいので、ここでアーノルトがララスティに手を出したことは、ある意味好都合だった。
実際、参加予定だったお茶会に断りの連絡をし、新しく誘われても事情があって行けないと断っているため、何かあったのではないかと心配する手紙が何通か届いている。
社交に復帰した暁には少し怪我をしていたことを仄めかせばいい。
あとは勝手に想像して噂が広がっていく。
「エミリア嬢にも八つ当たりのような態度を取ってしまった……」
落ち込んでいるカイルの姿を見て、ララスティはもしかしたらこれが二人の仲が進展するきっかけになるかもしれないと感じた。
「しかし、住まいは違うが同じ敷地内に居るし、なにより家族なのにララスティ嬢の状態を知らないとは、薄情だな」
「仕方がありませんわ。別邸に来ることはほとんどありませんもの」
もっとも、予定外にいきなり訪問されても迷惑だし、ララスティはアインバッハ公爵家に滞在していることも多いため、不在を安易に知られたくはない。
ララスティは今ぐらいの関係性がちょうどいいのだ、カイルには家族の情が薄く見えるため、もどかしさに苦悩しているようだ。
家庭の事情を知っているだけに、あまり口出しできないと感じている分、力になれないことが悔しいのかもしれない。
「かまいませんのよ。そうそう、先日はカイル殿下に頂いた刺繍糸を見に来ていたそうなんです。あいにくその日は……あ、えっと……その日はわたくしが本邸に行ってすれ違ってしまったのですが」
濁された言葉に、その日に怪我を負わされたと察したカイルは悲痛な表情を浮かべるが、せっかくララスティが話題を変えようとしているのだと思い、話に乗る。
「エミリア嬢も刺繍に興味が?」
「どうなのでしょう? わたくしがカイル殿下に贈るハンカチに刺繍をしていると話して興味を持ったようですわ」
「そうなんだね」
カイルはエミリアとララスティがお互いに歩み寄ろうとしているのかもしれないと感じ、うまく言ってくれればいいと思ったが、その後ララスティが言葉を続けないことを不思議に思う。
「……どうしたの? いや、なにかあったのかい?」
「いえ、わたくしが自慢したのがいけなかったのかもしれませんわ」
どこか寂し気な響きの声にカイルの心に不安がよぎる。
ララスティが刺繍を施したハンカチは無事に手元に届けられている。
嫌がらせをされたとは思えないが、なにかあったのかとカイルは気づかわしげにララスティを見る。
「この際だ、教えて欲しい。僕は……ララスティ嬢の婚約者で、戦友みたいなものなんだし」
「………………実は、刺繍糸が」
「うん」
そこで再度間をおいてララスティは震える声で呟く。
「刺繍糸がほとんどなくなっておりましたの」
まるで泣くのではないかと思える声に、カイルは胸が締め付けられそうになった。
あの刺繍糸はカイルが贈ったというだけではない。
気まずい雰囲気で終わったお茶会のお詫びであり、ララスティがカイルの気持ちを汲んで返礼をするために使ってくれたものなのだ。
それを奪われるのはカイルの気持ちも、ララスティの気持ちも踏みにじられたように感じてしまう。
「彼女は、また君の物を盗んで……」
カイルが悔しそうに言うのを聞いて、ララスティは内心で笑う。
(エミリアさんへの印象が悪くなっていきますわね? この状態で貴方は真実の愛を貫けますの? ぜひとも貫いてくださいな?)
「きっと刺繍糸が素晴らしかったから……そ、それに残っている糸もありますの」
「無理に庇う必要はないよ。人の物を奪うなんて最低な行為だ」
「……はい」
しょんぼりとしたララスティの声に、カイルはエミリアに対する憤りを感じる。
もし自身の考えが当たっているのであれば、ララスティが怪我を負っているまさにその瞬間、エミリアはララスティの元から盗みを働いていたのだ。
(コソ泥はエミリア嬢の方じゃないか!)
ベールで見えないララスティの表情を想像しながら、カイルは父親であるハルトに伝えるべき内容を整理し始めた。
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